食欲魔人日記 07年10月 第5週
10月29日 月曜日
トマトがちょっと粗めですが、ミートソース
ミルクフランス
カフェオレ

昨日買い物に行ったスーパーで特売していた、神戸屋のミルクフランス。ミルクフランスマニア(マニア?)としては、これは気になるところ、と、1人1本買ってきてみた。ソフトフランスパン的な塩気のある生地のコッペパンの中に、ホイップクリームっぽいミルククリームがにょろりと挟まれている。お供にカフェオレ。

ミルクフランスなんて、どこも大きくは違わないものじゃないかと思っていたのだけれど、でも、このミルクフランスは今ひとつだった。

パンはパサパサポソポソで喉に詰まる感じだし、クリームも練乳っぽいいかにもなあの味が感じられずに植物系ホイップクリームの匂いの方が強いような感じ。あの練乳っぽいバターっぽい感じが良いんだよー、パンとクリームの分量の比率にも小さな拘りを感じたいところなんだよー、と目の前の神戸屋ミルクフランスに訴えかけてみながら平らげた。……アンデルセンのミルクフランスって、もしかしてすごく美味しいミルクフランスだったのかしらん。

ルッコラのサラダ シーザーサラダ風
ミートソーススパゲティ
ロールキャベツ ケチャップにょろにょろ
白ワイン(Villa Russiz Tocai Friulano)

キャベツ1玉使って作ったロールキャベツが、まだまだたくさん。あと8個。

「ですから今日の夕御飯のメインはロールキャベツなんです」
だから、昨日お義母さんから貰ってきたしめ鯖は出さないよ、ていうか出せないよ、とだんなに告げておいたところ、
「夕飯はロールキャベツとミートソーススパゲティという組み合わせはどうでしょう」
とだんなからの提案メールがお昼過ぎに届いた。

ロールキャベツと白い御飯という組み合わせはどうだろう、と私も思っていたところだったので、一も二もなく賛成。よくよく考えてみればロールキャベツもミートソースもひき肉料理なのだけれど(更には私はロールキャベツにケチャップをかけて食べる人なので、両方ともトマト味、と……)、細かいことは気にしないことにする。ミートソース、私も恋しかったところだった。

刻んだ玉ねぎを中華鍋で炒めて、そこに合いびき肉を加え、炒め炒めて染み出てきた水分がすっかりなくなる感じになるまで炒めて、赤ワインを適当に注いでそれもまたしっかり煮詰めて飛ばしてから缶詰のトマトを投入。水分の具合を見つつ、適当に水も加えてから30分ほど煮込み、塩胡椒などで味を調えればできあがり。材料の分量もかかる時間も全てが適当な、「いつもの我が家のミートソース」がこんな感じだ。肉を炒め炒めるうちに独特の肉の生臭さは飛ぶし、ワインを1カップ以上加えても、しっかり飛ばせば独特の酸味は綺麗になくなってコクだけが残る。肉の炒めとワインのアルコール分飛ばしさえ間違わなければ、とても簡単だ。

本当は玉ねぎと一緒に人参やセロリも加えると若干お店のものっぽくなるのだけれど、「玉ねぎ、肉、そしてトマト」という組み合わせがいかにもな感じで、その方がけっこう好きだったりする。で、中華鍋を使うのも「我が家のミートソース」の基本だったり。ざかざかと玉ねぎと肉を炒めるのに、中華鍋はとても便利だ。

今回、ホールトマトを手で潰すのではなく、カットトマトの缶詰だったものだからそのまま投入してみたところ、思ったよりトマトが煮崩れずにざっくりとしたトマトの果肉が残るミートソースになった。無精しないでホールトマトを使うべきだったかしらと思いつつ、今回はこんな感じで。

ルッコラのサラダにはベーコンビッツ、チーズ味のクルトン、ガーリックチップを適当に散らして、シーザーサラダ風に。ちょうど先日だんなが白ワイン、Villa RussizのTocai Friulanoを買ってきてくれたところだったので、それを開けることにした。

レストランで覚えた「Villa Russiz」(ヴィッラ シッツ)というイタリアのワイナリー。そこのトカイ・フリウラーノは存在感があるのに主張しすぎず、フルーティーで香り豊かだけれど後味はすごくすっきり、という、切れ味の強いとても好みな味がする。ぐいぐい飲めてしまうのである意味危険なワインで、今日も
「スパークリングワインだったら飲み干さなきゃだけど、白ワインだったら、残ったらとりあえず冷蔵庫に入れておけるし」
とか何とか言っていたはずなのに2人で1本、綺麗に空にしてしまった。このワイナリーのシャルドネがおっそろしく美味しかったのでずっと探しているのだけれど、それは全然見つからない。

ロールキャベツを1人2個しっかり食べるつもりの私とだんなはスパゲティはあくまで軽めに、
「ロールキャベツはあんまりいらない、スパゲティは山盛りで!」
とリクエストの出た息子のスパゲティは山盛り(かわりにロールキャベツは1個)に。息子のスパゲティの盛りは私の皿の倍くらいあって、その分量比はロールキャベツ1個の差とは釣り合わない分量なのでは……と密かに思っていたのだけれど、息子は御機嫌に完食。思春期になった息子はどれほど食べるようになるんだろうと想像するとちょっと怖い。

10月30日 火曜日
しめさば!
ピーナッツバタートースト
カフェオレ
ヨーグルト

千葉県産ピーナッツを原料にしたのだという、豪華なパッケージの瓶入りピーナッツバターを週末お義母さんからいただいてきた。残っていた食パンをバター塗らずにトーストして、そこにそのピーナッツバターをこてこて塗って食べてみることに。

砂糖が加えられた甘いピーナッツバターだったのだけれど、でも甘さはかなり控えめなものだった。ねっとりと濃厚でピーナッツ自体の油分から来る粘りがあるような感じで、水飴が加えられたようなピーナッツバターよりは、いっそ「練り胡麻」に近いような印象。パンに添えたりするよりも、案外と白和えに使ったり、茹で野菜のピーナッツソース和えなどに使った方が引き立つのではないかなという味だった。本当に濃厚だ。

「僕はねー、最近のブームがバタートーストなの」
と息子は今日も飽きずにバタートーストで、デザートにヨーグルト。

ほうれん草と山のきのこの浅葱ポン酢
しめ鯖
いわしの味醂干しの炙り
知多牛肉味噌
豚汁
羽釜御飯
ビール(キリン秋味)
日本酒(上原酒造 鶴亀諸白)

今日はじんわりと暖かい一日だったけれど、豚汁気分が盛り上がってきたところだったので、初志貫徹で豚汁の準備。これまたお義母さんにいただいてきた、真空パックのしめ鯖と鰯の味醂干しが冷蔵庫に入っているので、これをおかずにすることにした。

「そうそう、いただきものと言えば、缶詰も大量にあったんだわー」
と、食料庫から引っ張り出してきたのが「山のきのこ」とラベルのついている缶詰。
秋田の母が米やら野菜やらと共に時折送ってきてくれるものの中に山菜やきのこの缶詰があって、我が家にはフキの缶詰やわらびの缶詰、あと姫筍の缶詰、なめこの缶詰などなどが「このへん食べ続ければ、一家で2週間くらいは籠城できます」というくらいの量が揃っている。ちゃんと古いものから食べなきゃなと昨日のお昼に缶詰の整理をしたところだったので、一番古い日付の「山のきのこ」の缶詰を出してきた。

中身はしめじやひらたけ、あと、椎茸となめこと「もたし」と呼ばれるきのこの5種類らしい。味はついていないようで、「味噌汁や納豆汁にどうぞ」とラベルに書かれていた。とりあえず、どんな中身なのか確かめようと缶を開けてみて、今日のところはさっと湯通しして茹でたほうれん草も添え、浅葱を散らしてポン酢かけて食べることに。大ぶりなきのこがどっさり詰め合わせになった、面白い缶詰だった。普通に味噌汁にするのがやっぱり美味しいのかもしれないと思いつつ、水煮されているものだけれど、にんにくとオリーブ油で炒めてパスタの具にするのも悪くないかも(でも、なめこが入ってるんだった……合わないかな)。

こうなったらいただきもの尽くしにしてみようかなと、名古屋在住の友人からいただいていた「知多牛の肉味噌」なるものも酒の肴に出してみた。
愛知の知多牛を使った肉味噌なのだそうで、沖縄の「油味噌」(あんだんすー)と似ているものなのかなと思ったのだけれど、ちょっと違った。肉と調味料だけで構成されたあんだんすーとは異なり、一味唐辛子や葱が使われていて甘さはさほどなく、かなり大人っぽい味。御飯の供というよりは酒のアテにちびちび舐めたいような感じで、しめ鯖がまだ数切れ残っていたこともあって、ビールから日本酒に移行。お猪口に2杯分だけ残っていた「鶴亀諸白」をちびちび飲みつつ、すっかり良い気分になったところで豚汁と御飯でシメにした。

ここ数年で私の「秋刀魚嗜好」が異様な傾きぶりを見せているのだけれど、「鯖嗜好」もどうやら同じ傾向だったようで、鯖が美味しくて仕方がない。酢締めも良いし焼いた鯖も絶品だし、お寿司屋でたまに食べられる生の鯖も大好き。酸っぱすぎず、適度に染みた感じの今日のしめ鯖も最高だった。

10月31日 水曜日
今シーズン初豚味噌鍋でした
「Krispy Kreme Doughnuts」のオリジナルグレーズド2個
カフェオレ

だんなが昨日、Krispy Kremeのドーナッツ1ダースを買ってきてくれた。なんでも有楽町にオープンしたイトシア内に国内2号店がオープンしたのだそうで、
「通りかかったらけっこう行列してたけど、オリジナルグレーズドの箱買いは別行列だったから10分も待たないで買えた」
だそうで。

Krispy Kremeのキモは、なんといってもシンプル極まりないオリジナルグレーズドだと思うのだけれど(というか、正直なところ、私はオリジナルグレーズド以外のドーナツだったらミスドの方が好きかなー、みたいな)、巷ではまだまだ各種バラエティ系が人気らしい。そちらの方は1時間待ちくらいの大行列ができていたのだそうだ。クリスピークリーム熱は、まだまだ続いているよう。

「うん、美味しいよ、すっごく美味しいと思うけど」
私は2個くらいで充分だわーと呟く私の真向かいで、だんなと息子が「わーいわーい」とせっせとドーナツに取り組んでいる。
「クリスピークリーム?クリスピークリーム?アメリカで、すっごく食べたやつだよね!!」
とはしゃいでいた息子の喜びようは尋常じゃなく、「食べられるだけ食べていい?」と、朝から4個のドーナツを平らげて登校していった。だんなは3個で私は2個。

砂糖のコーティングがなされた、甘くてふわふわのドーナツは、レンジで少しだけ温めてから食べると出来たてに近い食感になる。出来たてほやほやの、店頭で「サンプルでーす」と手渡して貰えるまだ温かさが残るドーナツの美味しさがなんといっても格別なのだけれど、久しぶりのオリジナルグレーズドは相変わらずのふわんふわんっぷりで美味しかった。……しかし、やっぱり甘さの方はかなりなものなので、今の私には2個くらいで充分かな、みたいな……。

「目に来るよね、目に来る甘さだよね、ツーンってくる」
「その甘さが良いんじゃん、わっかんないかなぁ」
「いや、わかるけど、美味しいけど、でも甘い……」
おゆきさん甘党なのに、我が家で一番クリスピークリームが嫌いな人だよね……とだんなに言われて、否定できなかった私。

豚味噌鍋(白菜・長ねぎ・豚肉・うどん)
ビール(キリンクラシックラガー)
焼酎ロック(やきいも黒瀬)

10月も後半になると「そろそろ豚味噌鍋だ!」とうずうずしてくる。
今年はまだ一度も練り味噌作成に着手していない(これという酒粕が見つかっていないというのが要因らしい)のだけれど、冷蔵庫の奥底に今年の春に練っておいた練り味噌がまだ残っていて、味の方も問題はない様子。今日はこの昨シーズンの練り味噌を使って豚味噌鍋にしてしまうことにした。

仙台味噌と酒粕、練り胡麻や醤油、酒等々を練り合わせて作る練り味噌を使う鍋なので、基本は「味噌味」なのだけれど、酒粕効果でか体はぽかぽかあったまるし、こっくりしているけれど飽きの来ない味だし、シメのうどん(及び翌日のおじや)は最高だし、と、料理本で知ってからというもの以来、我が家の定番鍋料理になった。もう足かけ7年ほど、毎年冬になるとだんながうきうきと練り味噌を作ってくれている。

具はきのこや根菜も似合うものの、基本は「白菜と葱と豚肉」。豚肉は、しゃぶしゃぶ用に切られた薄切りバラ肉もしくはロース肉があれば最高だと思う。豚の脂がじんわり溶けた味噌スープを吸った白菜は、どうしてくれようかと思うほどに美味しい。豚や白菜の旨味の溶けまくった、最後のスープにうどんを入れて啜るのも、これも人間がダメになりそうなほどに美味しい。

今日は最初の1杯をビールにして、「なんか飲みたりない」と、一升瓶買いしてあった「やきいも黒瀬」を開けてしまうことに。芋焼酎ならぬ「焼き芋焼酎」という面白い焼酎で、ほくほくした芋の甘く丸い感じが全面に出た、でもその甘さやコクの切れが良い、なんとも好みな焼酎だ。芋焼酎も焼き芋焼酎もあれこれ飲んできたけれど、目下、値段が手頃で気兼ねなく飲める「家飲み焼酎」で不動の一位の座についている。少しばかり野暮ったいような印象もある焼酎なのだけれど、そこがまた好みで、どうにも嫌いになれない。

それでも暑い季節はどうしてもビールの出番が続いていたので、久しぶりの黒瀬だったのだけれど、やっぱりとても好みな味だった。
「あー、おいしーね……この、黒瀬と豚味噌鍋のマリアージュのすばらしさを、世界発信したい気分です」
「すればいいよ、てか、するんでしょ」
腹ぺこ状態でのビールの後の焼酎ロック、美味しい豚味噌鍋と一緒に口にしていたこともあってか、すっかり良い気分にアルコールが回った状態で「まりあーじゅ、まりあーじゅ」言いながらけっこうな量の黒瀬を飲んでしまった。

「ねぇね、夕飯食べたら、夕飯のデザートにクリスピークリームのドーナツ食べていい?」
今日、確か夕方にも「1個食べていい?」と残っていたドーナツ1個を食べていた息子、食後にまでドーナツ1個を平らげていて(んで最後の1個はだんなが食べて、おしまい)、今日はさながらアメリカ人のお子さまにでもなったかのような息子のドーナツへの喰いつきっぷりだった。チョコレートにもスナック菓子にもほとんど興味を示さない息子なのに、なぜクリスピークリームにだけ……(ミスドのドーナツにもそこまで喰いつかないのに……)。