食欲魔人日記 09年01月 第5週
1月26日 月曜日
ごくごくフツーなクリームシチュー
「アンデルセン」の
 ピロシキ
 くるみミルク
カフェオレ

昨日一昨日とあんなに激務(?)だったのに、今日はだんな、早めの出勤なのであるらしい。相当早く布団に入ったとはいえ、多分起きる時にはまだ眠い状態だろうなと、コーヒー淹れてすぐ食べられるものをと昨日パンを買って帰ってきた。「ミルクフランス」ならぬ「ミルクくるみ」だか「くるみミルク」だか、くるみパンにミルクフランスのクリームが挟まっているものは1本をだんなと半分こ、あとは少々小さめなサイズのピロシキを1人1個ずつ。

息子は今ひとつお好きでないらしいけれど、私はくるみ入りのパンがけっこう好きで、だからくるみミルクパンもかなり好き。くるみの香ばしさと少し感じるほろ苦さがクリームと似合わなくもなくて、パンがふわっと柔らかなのも良い感じ。
あまり買ったことのないピロシキも、適度に肉肉しく、でも油っこくもなく美味しかった。サイズがカレーパンより小さめだったから「このくらいの大きさがいいなー」と選んだのだけれど、これはまた食べたいかも。

だんなと一緒になんとか起きたは良いけれど起きた直後に食事をする元気もなく、だんなが朝食を済ませる様を横でぼーっと眺めていた。
「よっしゃあ!行ってくるか!狩りしながら行ってくるか!」
と、昨日一昨日あんなに狩りしたのに、今日も狩りしながら出勤するらしい夫を見送って、さて今日はお仕事しなきゃな昨日と一昨日の日記もつけなきゃな、と大あくび。……可能だったら昼寝もしたいな。

レタスと茹で野菜のサラダ
チキンクリームシチュー
羽釜御飯
アイスティー

結局昼寝はできず、昼過ぎに「夕飯の事を考えなきゃ」と近所のスーパーに買い物に。そういえばシチューのルーの買い置きが山のようにあったんだっけと思い出して、肌寒い今日の夕御飯はクリームシチューにすることにした。寝不足と外泊でか微妙に風邪気味なので、体がしっかり温まりそうなものが良いかなと。

先日買ったコーン味のドレッシングに相変わらず息子が夢中なので(料理の付け合わせの茹でブロッコリーみたいなものにまでかけようとする……)、そのドレッシングに似合いそうな野菜でサラダにすることにした。たっぷりのレタスのサラダの上に、茹でて冷ましたスナップえんどうとブロッコリー、いんげんなど緑の野菜を乗せてみる。案外大根や人参、セロリのスティックなども似合わなくはないかもしれないと思ったけれど、今日は大根もセロリも手元に無いので、それは次回ということに。

「サラダ、たっぷりあるからね。シチューもあるし、御飯もお代わりあるよ」
と、居間のこたつに食器を並べて、暖かい部屋で夕御飯。シチューは変哲のない、鶏肉と玉ねぎとにんじん、じゃがいもを炒めて煮込んでルーを溶かして牛乳を入れた、ルーの箱にあった作り方通りのもので、でも一つだけ「コンビーフ入れちゃおっかなーどうしようかなー」とそれだけを悩んでいた。コンビーフ入れた分牛乳か水を増やさないと塩気が強くなってしまうけれど、あのコンビーフの肉がヒラヒラと入るシチューは素晴らしく美味しい。美味しいけれど当然カロリーも高くなる(しかも、おっそろしく高くなる)ので、ここはぐっと堪えておいた。

コーンビーフと言えば最近ホットサンドともご無沙汰だわーと思いながら、私は山盛りのサラダにピエトロのドレッシングかけつつ。……って、居間「どれっしんぐ」とキーボードで打ったら「怒烈震具」と出てきたのだけれど(多分"どれっしん"で一度スペースキー押しちゃったんだな)それなんてモンハンの素材の名前?という感じで笑ってしまった。モンハンには「逆鱗」とか「天殻」とか「厚鱗」とか「剛爪」とか、そんな単語ばっかり出てくるものだから、私のパソコンの辞書は相当変なことになっています。

1月27日 火曜日
一見和風、でもカレー味の煮物
チキンクリームシチュー
ミルクパン
アイスカフェオレ

朝御飯にシチューとかあると、きっとだんなが嬉しい……と思って、たっぷりめに作っておいたクリームシチュー。だんなも喜んでいたけれど、息子が隣でそれ以上に喜んでいた。

「まだありますか!?おかわりありますか!?」
と朝から鼻息の粗い息子に、昨日の夜もシチューだったし朝からお代わりするのは止めておかない?と苦笑いして「夕御飯とかのために残しておいたら?」と、それでも多めによそってあげた。ついこの間まではそれほどシチューが「大好き」というわけではなさそうだった息子、「これって美味しいじゃん!」と何かに目覚めてしまったように昨夜もえらい勢いでシチューを平らげている。私はというと、子供の頃から今までも、クリームシチューはずっと変わらずの好物だ。

シチューに合わせるつもりで買ってきていたミルクパンも出して、朝からちゃんとあったかいものが食べられるのはこの季節嬉しいねぇなどと言いつつ朝御飯。

芽キャベツのグラッセ
蕪と豚肉の和風カレー煮
豆腐と油揚げの味噌汁
羽釜御飯
麦茶

先日銀座のホテルに泊まった時に部屋においてあった、持ち帰り可能なタウン誌。パラパラとめくって眺めて、持ち帰るほどでもないなと部屋に置いてきたのだけれど、その雑誌に飲み屋さんのレシピのようなものがいくつか載っていた。簡単に作れて美味しそうな印象だったので「おっ」と思ってメモして持ち帰ってきた。

豚バラ肉を塊のままフライパンで焼き色がつくまで焼きつけ、一口大に切ってから和風のだし汁で蕪と共に煮込む。味付けは醤油適量、カレー粉適量。
「味付けが全部"適量"だと、目指す味が皆目わからないよねぇ……」
と思いつつ、ほんのりカレーの香りがする豚と蕪の煮物というのは美味しそうだった。だんなの弁当にも入れるつもりで材料を買ったので、バラ肉を使うと弁当に似合わないなと、塊のヒレ肉(半額の赤札がついてた)と、ヒレ肉だけでは物足りない分量だったことから薄切り肉も少々。塊肉と薄切り肉を併せて使うのも、それはそれで面白いかなとフリーダムな感じで調理したけれど、思った通り案外悪くなかった。……でも、これは確かにバラ肉の方が美味しくできあがるかも。

出来上がったのは、お弁当に入れるには少々物足りないかなという程度の、醤油もカレー粉も淡めな味つけ。蕪の甘さほろ苦さが感じられて、でもレシピは多分「酒の肴」を想定されて作られていたようだったから、本当はもっと強く味をつけても良いかもしれない。御飯と一緒に食べるなら充分な味だった。

割合と綺麗な状態だったのに驚くほど安かった芽キャベツ(20個ほど入っていて50円……)は、添え物のつもりでグラッセに。コンソメで煮て、仕上げにバターと少々のサラダ油(バターだけだと冷めると凝固してしまうから)を落として絡めてできあがり。こんな感じで良いでしょう、と御飯の蒸らしに入ったところで「今日、これから帰れそう」とだんなから連絡があった。「何か食べるものある?」と言われて「明日のお弁当がなくてもいいなら、ひと揃いあるよ?」と答え、この献立がそのままだんなの夕御飯に。

先に一緒に食事を済ませた息子も、そして帰ってきて食卓についただんなも、2人して
「わ!これカレー味だ!」
と驚いていたのが面白かった。色合いは普通に醤油っぽいものだから、口にしてびっくりしてしまうものらしい。自分で作って自分で食べている私としては、出来上がりがわかってしまっているから驚きがなくてつまらないものだったりして、「いいなー2人ともなんかびっくりしてて」と思ってしまうのだった。。

1月28日 水曜日
最近スナップえんどうがお気に入り
チキンクリームシチュー(ラスト)
ミルクパン
カフェオレ
ヨーグルト

昨夜の食卓には出さなかったので、クリームシチューの残りがごく若干。牛乳足して塩足して、ぎりぎり3人でいただける程度の分量に調整して朝御飯に出した。
「これだけ?今日はもうおかわりなし?」
と息子が悲しそうに鍋に目線を投げていて、「そんなに好きならまた作るから。ルーたくさん買い置きあるから」と話しつつ朝御飯。

昨日と同じミルクパンにカフェオレ、あとは食後にチチヤスのヨーグルト。

「また作るから。……今度はコンビーフ入れちゃおっかなー」
と呟いたら、隣でだんながすごい勢いで頷いていた。
「そうだよ奥さん。その鍋はテフロン加工だからコンビーフ入れても焦げ付かないよ!」
いや、焦げ付く焦げ付かないは問題じゃなくて(焦げ付かないのは喜ばしいことではあるけれど)、コンビーフ入れるとただでさえカロリーの高いシチューがますますもってポイズンなことになるのが問題で……でも、コンビーフ入りのシチューは美味しいよねぇと朝から危険な思考にどっぷりと沈んでしまった。

帆立や海老入れてクリームシチューも美味しいよね、と思いつつ、でも魚介のシチューを作ったことのない私。「せっかくシチュー作るなら!やっぱりお肉にしなきゃ!」と、どうしても毎回お肉になっちゃうのだった。

芽キャベツのグラッセとウィンナー
菜の花の辛子マヨネーズ和え
ブリの照り焼き 千切り大根添え
鶏団子と野菜のスープ
羽釜御飯
麦茶

「でも今日の夕飯はお魚にします」
できれば鯖の味噌煮とか、青魚焼いて葱塩だれとか、そんな感じが良いなーと思いつつ魚屋さんを覗きに行ったのだけれど、残念ながらこれという青魚がみつからず。スミイカが安かったけれどイカが食べたい気分ではなく、サクで安かったブリやマグロも食べたい感じとちょっと違う。子持ちカレイを煮付けにしようかなと思いながら売り場を眺め歩いて、結局ブリの切り身を買って帰ってきた。……で、変わり映えしないいつもの感じの照り焼きに。照り焼きが好きなんだな……。

でも今回は、いつもの照り焼きに胡麻も加え、千切り大根の上に盛りつけましょう、というレシピを見たので、そんな感じに。脇にはいよいよ季節到来という感じの菜の花を茹でて粒マスタードとマヨネーズで和えたものを添え、昨夜作った芽キャベツのグラッセは再度火にかけ刻んだウィンナーを足してみた。

スープは、鶏団子(多分おでんに入れる用なのだと思う、はんぺんやつみれと並んでいたから)が安かったので「……これは汁物の実にするの、あり?」と、試しに買ってきたものを入れてみた。鰹と昆布のだしにこの団子を入れて、最近お気に入りで何かと使っているスナップえんどうと、あとは刻んだ玉ねぎも加えて軽く火を通す。色づけ程度に薄口醤油を入れたら、なかなか良い感じの味噌汁代わりができた。

「今日はお魚かー」
「……そこでがっかりしないでください」
私とだんなの嗜好を受け継いだか、ばっちり肉好きに育ちつつある息子にため息つかれつつ、「でもせめて週に2回くらいはお魚食べましょうよ、私はお魚も食べたいの」と、今日も悪くない感じに焼けたぶり照りをもぐもぐ。肉もそりゃ美味しいけど、ぶり照りとか、秋刀魚焼いたのとか、鯖煮たのとか美味しいと思うけどなーと今の私は思うけれど、そういえば子供の頃の自分にとっては今日の献立なんて嬉しさのかけらもない内容だ。そう思うと息子に対して「すまん」と思ったり「でも食べてください」と思ったり。

「明日、ちょっとお出かけするから。帰りは夕方になるかもだから、夕飯に美味しそうなの見つけたら買ってくるね。焼売とか」
「シュウマイ!」
最近焼売に御執心の息子の目がキラーンと輝いて、そこから焼売談義。

「焼売、普通の買ってきてね。海老とか蟹とかじゃなくて、普通のね」
「んー……普通のがあったらね。ほら、中華料理のお店とかって"ウチの店の名物の焼売だよ"って感じに、他の店にはないものをって海老たっぷりとか蟹たっぷりとかふかひれ乗せとか、そういうのウリにしてたりするから」
「基本的な焼売は、ない?」
「まぁ、無くはないと思うけどね、置いてない店もあると思う」
「……基本を大事にしないお店はダメだなぁ……」
「……ダメですか」
「基本の焼売をまずお店に置いて、それから色々挑戦メニューを売ればいいのにね?」

息子は"基本の焼売"(豚肉ベースの、"崎陽軒の焼売"的な焼売)が大好きだったりするので、それからしばらく「基本の焼売はいかに大切か」についてとうとうと語っていた。語りながらぶり照りつついていた。

「たとえばー。肉まん買いに行って、そのお店にピザまんしかなかったらがっかりでしょ?"ちゃんと肉まん置いてください"って思うでしょう?」
うん、確かに。それはそうだ。息子にとってはフカヒレ焼売もピザまんと同列なわけか……。

1月29日 木曜日
大皿でやってきた、「焼物八寸」
もっちもち豚まんぱん
プーアル茶

昨日「明日の朝御飯はどうしようかな」とスーパーを歩いていたら、神戸屋の袋入りのパンが安売りされていた。
「もっちもち豚まんぱん」なる可愛いネーミングのパンに思わず足を止めてしまい、「肉まんっぽいのかな、美味しいのかな」と、試しに買ってみることに。家族3人分、3個買ってきた。
肉まんっぽいからということで、お供は温かいプーアル茶で。

これがまあ、なんというか微妙な味で、
「何もパンにしなくても良かったかな、みたいな……」
「なにもこんなにパンをモッチモッチにしなくても良かったかな、みたいな……」
という感じ。もっちもっちねっちねっちとした微妙の口当たりのパン生地の中に、肉まんっぽくはあるけれど、微妙にベチャリとした口当たりのあんが詰まっていた。家族皆で微妙な顔をしながら言葉少なにパンをねちもち囓っていて、大変申し訳なく思いつつも、その空気に笑いもこみ上げてきてしまった。

「……これ、美味しくないよね……」
呟いたら、だんなが「あーあ、言っちゃった」と苦笑い。

新宿パークハイアット東京内「梢」にて
 「耕」
     先付(このわた飯蒸し 芽甘草 柚子)
     椀盛り(葛餡仕立 甘鯛のかぶら蒸し 芽甘草 銀杏 木耳 人参 山椒)
     造り(よこわ鮪 甘海老 煽り烏賊 生海苔 大根けん 防風 山葵)
     焼物(八寸 鰆杉板焼 豆腐松風焼き 栗麩オランダ煮 芽慈姑真薯揚げ煮 鱚南蛮漬け 温燻胡瓜砧巻 紅白かぶら漬け)
     口直し(鱈白子豆腐 赤卸し 葱 割りポン酢)
     煮物(海老芋煮卸し 車海老 京菊菜 柚子)
     食事(白魚玉締めご飯 鼈甲餡)
     汁(豆腐 蒟蒻 葱 山椒)
     香の物(近江漬 胡瓜 沢庵 昆布有馬煮)
     デザート(豆乳とおからのチーズケーキ 白胡麻ソース 梅肉 ミント)

 日本酒(醸し人九平次 火と月の間に 純米吟醸)

今日は久しぶりに友人達とのランチ会。「たまーには背伸びしてリッチで旨いもの食べようじゃないか」という主旨で「セレブ会(=セレブじゃない自分たちが普段味わえないセレブ気分に浸る会)」とか名付けて、数ヶ月に一度あちこち食べ歩いている。今回はまだ行ったことのない「和食」もどうだろう、ということで、あちこち探して「パークハイアット東京」内の「梢」に行ってみることになった。

メインダイニングの「ニューヨークグリル」は大好きで何度か来ているし、ロビーフロアにある「ジランドール」でも数回食事したことがあるけれど、和食の「梢」は行ったことがない。高層階からの眺めも期待できそうだし、サービスに間違いはないだろうし、ということで、楽しみにしながら予約の電話を入れてみた。「可能であれば窓際のお席が嬉しいのですが」と伝えたら「あいにく窓際のお席は既に満席で」とのこと。その一つ内側のお席を用意しますということだったけれど、今日いざ行ってみたら窓際の良い席を用意しておいてくれていた。キャンセルが入ったのかな、良かった良かった。

パークタワー内のコンランショップではセール期間中で、食器や調理器具、花瓶など面白いものがあれこれお手頃価格になっているのを皆で眺めつつ、予約時間を待ちかねるようにしてお店に伺った。モダンな空間は吹き抜けが気持ち良く、久しぶりの機会だしということで少々お値段の張る懐石のコースを選択。お酒の種類はそう多くはなかったけれど魅力的な品揃えで、「醸し人九平次」の名前があったのを見て
「これ!私これ飲みたいです!九平次大好き!」
と私の一存で皆で分けつつこのお酒をいただくことになった。

「お好みの酒器をお選びください」
とテーブルに出てきたのは、氷の詰まった籠に入った冷酒用グラス色々。江戸切子や薩摩切子など目に美しいグラスを自分で選ぶところから始まって、ほぼ同時にやってきたのは先付の飯蒸し。団子状にまとめた餅米の上にこのわたが乗せられていて、いきなり良い感じに酒の肴が来たわ!とばかりに早速もぐもぐ。

3人で同じコース、いかにも友人同士という女性グループだったためか、料理のいくつかが大皿に盛られてきたのが軽い驚きで、とても楽しく目にも美しかった。料理全体もどこかモダンな感じで、特に「焼物八寸」などは遊び心が感じられるもの。普通は前菜の位置づけで出てくる「八寸」が焼き物の段で、小さいものがあれこれ盛り合わされて出てきたものだから「わ〜」「すごい!」「きれい!」とおしゃべりもぴたりと止んで、これは何?あれは何?といただいたメニューを見ながら1つ1つ美味しくいただいた。

くわいのしんじょの揚げ煮や、スモークしたサーモンをきゅうりで巻いたもの、一口で食べられるあれこれと、杉の板で巻いて焼いたのだという鰆も1切れずつ。レモンが添えられていた鰆は杉の木の香りが移り、燻製したような風味になっていた。

しっかりと仕事のしてある甘鯛のかぶら蒸しも美味しかったし、実に滑らかな口当たりだった鱈の白子の豆腐も、お代わりしたかったほど。
最後にどどーんと迫力のサイズでやってきたのは海老芋のみぞれ煮で、ほくほくしたお芋は良い味だったけれどこれはちょっとサイズが大きすぎたかな……後になって大変にお腹いっぱいになってきてしまった。

結局計3合の九平次を皆で飲み飲み、シメのお食事は白魚の卵とじを乗せた丼仕立ての御飯。卵がふわりとろりとした絶妙な固まり具合だった丼は最後まで手抜きの無さを感じさせてくれた。味噌汁には豆腐とこんにゃく入り。

……で、デザートは豆乳とおからのチーズケーキだったのだけれど、……これだけが満場一致で、ちょっと残念な味。白胡麻の濃厚なソースはチーズの風味と今ひとつ噛み合ってなくて、何よりおからの舌触りなのか、チーズケーキがざらり、ぼそぼそとした食感だったのが「あれ?」という感じ。白子豆腐がそれは見事な滑らかさだったこともあって、デザートに食感の妙が感じられなかったのは残念だった。「うーん、わざわざおからとか入れなくても」「普通に美味しいチーズケーキで良いよね」と。

食後にのんびりお茶でもしたいところだったけれど、今日は家に帰ってあれこれやらなければいけないこともあって、のんびりランチの後は新宿駅で解散。今日の夕飯は焼売をとても期待されている感じだったので、駅ビルで焼売探して買って帰った。

「パークハイアット東京」の鴨のコンフィと茸のサラダ
水菜とじゃこのサラダ
肉焼売
かき玉汁
羽釜御飯
梅酒、麦茶

「夕飯は焼売がメインディッシュ」は決まっていたのだけれど、
「でもでも、献立としては全然似合わないけれど、私はこれが食べたい……」
と、ホテルのデリショップを眺めて「鴨のコンフィと茸のサラダ」を100gだけ買ってきてみた。

いかにもワインに似合いそうなお総菜で、実際、これがあったら赤でも白でもいくらでもいけそうな味だった。ざっくり裂いたコンフィにした鴨肉と椎茸、エリンギなどをマリネしたサラダには下仁田葱と思われる太い葱もたくさん。椎茸と葱ということでどこか和風な味もする、でも日本酒よりはワインの供といった感じのサラダだった。

で、私はこのサラダを多めにいただきつつ、代わりに息子には焼売6個を。私は4個。小田急ハルクの中に出店していた特設コーナーで買ってきたもので、お勧めはアサリや海老入りの焼売とのこと。昨夜の息子との会話を思い出しつつ、
「いや、普通の、お肉だけの焼売はありますか?」
と聞いて、めでたく"基本焼売"があったのでそれを買ってきたのだった。

あとは帰宅してから用意した、水菜とちりめんじゃこのサラダ、簡単に作ったかき玉汁。和だか中だか洋だか良くわからない感じになった。

店名のよくわからないお店だったけれど、焼売はちゃんと美味しい焼売で、息子も満足の味だったようで何より。

1月30日 金曜日
じゃがいもごろごろ、我が家のカレーっぽいカレーでした
「パークハイアット東京」のクロワッサンブレッド
ミルクパン
カフェオレ

昨日は大変にがっかりなパンを食べてしまったので、「これなら絶対ハズレなしってパンを買って帰ろう」と、昨日パークハイアット東京のデリショップで「クロワッサン生地で焼いたカカオとプレーンの2色パン」といった風のものを買ってきてみた。

四角く食パンのように焼かれたサイズ小さめのパンは、クロワッサン生地特有のふわふわとした層が折り重なっていて、マーブル状に2色の生地がざっくりと混ざっている。Sサイズを買ったら、ちょうど家族3人で分けて食べてちょうど良いくらいの分量で、1個ずつ残っていたミルクパンも出し、あとはカフェオレ。今日はフルーツもヨーグルトも買い置きがなくて、"パンとカフェオレ"という組み合わせに
「すみません、フランス人の朝御飯みたいになりました……」
と言ったらだんなが笑っていた。

フランスは大昔に一度行ったきりで、あとはネットなどで仕入れた知識でしかないのだけれど、フランス人の朝御飯は「ブリオッシュとカフェオレ」「薄く焼いたトーストにチョコペースト(nutella)たっぷり、そしてカフェオレ」「クロワッサンにジャム、やっぱりカフェオレ」といったパターンが多いとか。全てのフランス人がそうだとは思わないけれど、「朝はしょっぱいもの一切なし、甘いもの食べます」と聞いたことがある。パリで宿泊したホテルの朝御飯はさすがにコールドミートの類が少しばかりはあったような記憶がおぼろげながらあるけれど、でもあったかい料理は無かったなー、と思い出す。

で、クロワッサン生地のパンだけれど、思いの外、甘さはほとんどなく、ミルクジャムあたりを添えて食べたくなる味だった。なんとなく「Johan」のチョコブレッド的な甘さを想像してしまっていたので、「あれ?甘くない」と、少しだけ肩すかしをくらった気分。濃厚なバターの香りにしっかり仕事された見栄えも見事なパンだったけれど、「なんかこう、ちょっとだけ違う」という感覚が残ってしまって、変な先入観をもって口にしてしまった自分を反省。

「CoCo壱番屋」の
 グランド・マザー・カレー
 トッピング(手仕込とんかつ)
 麦茶

今日は夜から、寝台列車に乗ってスキー旅行。
去年雫石に行った寝台列車旅行がたいそう楽しくて、今年も寝台列車ツアーがあると良いねと話していたら、蔵王行きのツアーが出てきた。ただし、寝台は寝台でも「ゴロンとシート」。枕もシーツも毛布もなく、ただ寝台の形にセットしただけの電車で「雑魚寝してね♪」というノリの列車。その分若干割安で、それはそれで面白いかなぁと申し込むことにした。

今回は、だんなの同僚さんたち、そして息子と年の近い息子さんも御一緒に。初対面の同僚さんたちではあるけれど、ひょんなことから私と趣味(=漫画やアニメ……)が近いことがわかって、だんな経由で漫画の貸し借りなどをここ1年ほど続けていた方たちだったりする。寝台列車で一夜を過ごした後は1日スキーゆえ、しっかり寝ておかなければ動けなくなるし、土曜の夜にもきっと睡魔が襲ってくるだろうなと思いつつも、あれこれおしゃべりするのが楽しみだ。

列車の出発は午後11時過ぎ。家で夕飯食べてお風呂入ってからでも充分間に合う時間だけれど、自炊して片づけてとなると慌ただしくなってしまうので CoCo壱番屋のカレーを頼んでしまうことにした。ここ最近、北海道旅行を前にスープカレーの画像を頻繁に見ているものだから「ここはやっぱりスープカレー……?」とたいそう悩みつつ、最近販売が始まったグランド・マザー・カレーを選択。チーズカレーを選んだ息子と半分こするつもりでトンカツのトッピングも頼んでみた。

「あ!とんかつ乗ってる!」
「うん、半分あげるよ、そのつもりで頼んだし」
案の定息子がトンカツに反応し、きっちり半分持っていってくれた。「グランド・マザー・カレー」は、厚めにスライスされた適度に脂身のついている豚肉が入っていて、じゃがいもも人参もごろごろ。ココイチのカレーの中では一番「我が家のカレー」に近い感じで、(味はココイチ以外の何物でもないけれど)けっこう気に入っている。ささっと食べて猫たちに多めの餌を用意してやって、買ったばかりのスノーブーツを玄関に用意して、いざいざ出発。

だんなと東京駅で合流した後、ビールなど買い込んだ後に列車の出る新宿駅に向かった。

埼京線のホームから出た臨時の寝台列車は、通路に平行して3段のB寝台が並ぶタイプ。昨シーズン雫石に行った時は通路に直角にベッドが並ぶタイプだったので、これはこれで壮観だなぁと狭い通路を歩いて指定のベッドにたどり着いた。ここで同行の皆様ともお会いできて、「はじめまして」「お世話になります」「よろしくお願い致します」と挨拶した後、大宮に到着するまで簡単に酒盛りして、就寝。電車の振動と車輪の音を感じる一夜は、新幹線が通るまでは毎年の秋田への移動に馴染みだった感覚なものだから、子供の頃を思い出しつつすっかり熟睡してしまった。

1月31日 土曜日
夕食の「芋煮」など。お酒たくさん飲みました〜
山形駅前「ガスト」にて  目玉焼き ソーセージ&ベーコンセット

寝台列車に乗って山形駅に到着したのが午前7時過ぎ。朝御飯はついておらず、スキー場までの移動は公共の路線バス等を利用して、とのことだったので、駅ビル内にあるガストで手早く済ませることにした。

昨夜の夕食は早めだったし、そのうえ夜更かししていたしですっかり空腹。目玉焼きとソーセージ、ベーコン、サラダ、トースト、スープとドリンクバーのセットにしてみた。この週末は天気があまり芳しくないようで、山形駅前もモツモツとした雪が降り続いて東京とは比較にならない寒さ。セルフサービスのもやし入りのコンソメスープをおかわりしたり、せっせと温かいものを摂取した。

今回の宿泊宿まで移動してレンタルスキーの手続きを終え、ゲレンデに立ったのは10時頃。うーん……吹雪だ。

蔵王「雪ぐら」にて
 玉こんにゃく
 カツカレー
 生ビール

悪天候のうえ風も強く、今日は頂上までのゴンドラ類も運転休止しているらしい。もとより上の方に行こうという気力もなく、午前中は麓の方の馴染みのゲレンデでつらつらと何本か皆で滑った。

今回、息子は年の近い男の子も一緒だということでたいそう楽しそう。昨夜寝台列車で出会うなり早速ゲーム談義に盛り上がっていたけれど、スキーのレベルもほぼ同じということで、2人できゃっきゃきゃっきゃと悪天候にも負けずスキーを堪能していた。このリフトを使って同じコースを滑るならと自由に滑らせていたら、私たち女性陣がのんびり滑る横を猛スピードで何度も通り抜けていた。だんなは一人、ちょっと上の方まで行ってみていたり。

天気の悪さに関わらずゲレンデはけっこうな混み具合で、昼時になってゲレンデに面したカフェテリアに行ってみれば大変な混雑ぶり。ならば、と、前回2日連続で訪れた食堂兼民宿の「雪ぐら」に行くことにした。同行Kくんが
「カツカレーがいいなーカツカレーが食べられるお店がいいなー」
と言っていたので、ついつい私も引きずられてしまってKくんと一緒にカツカレーを選択。定食ありラーメンありうどん、蕎麦ありの豊富な選択肢があるお店で、玉こんにゃくつついてビールも飲んで、一休みした。

今日は大変なベタ雪で、まだ一度も転んでもいないのに体中が雪まみれ。気温は高いらしく体についた雪は次々溶けていってしまい、ウェアもグローブすらも今日はびしょ濡れになってしまう状態。これは大変な事になったねぇと、全員濡れねずみのようになっての昼御飯だった。それでも息子たちは元気元気。

そういえば私、昨日の夕御飯もカツカレーだったなーと思い出してしまいつつ、でも適度に運動した後のカツカレーはそんなこと関係ないほどに美味しかった。しっかり食べたら午後もスキー。でもこの天気ではちょっとへこたれそう。

蔵王の宿にて
 サラダ
 菜の花となめこのおろし和え
 玉こんにゃく
 紅花の蕎麦
 しゃぶしゃぶ(牛肉・水菜)
 刺身(鮪とブリ)
 芋煮
 魚の塩焼き 酢蓮根
 つけもの(さくらんぼ漬け・おみ漬け)
 まりも昆布の吸物
 御飯
 お茶、日本酒

部屋で
 ビールいろいろ、ワインいろいろ
 おつまみいろいろ

結局、宿のチェックインの時間を待ちかねるようにしてスキーを切り上げ、途中でお酒など買い込みつつ宿を目指した。
スキー場までは若干距離があるものの部屋は広くお風呂も広く、良い感じ。早々にお風呂を済ませて部屋で軽くビールなど飲み交わしてから夕飯に臨んだ。

いかにもな温泉宿の食事は、酒の肴的なものが多かったものだから、
「さっきお部屋でビール飲んだしねー」
「じゃあ日本酒かしらねー」
と、飲んだくれの大人4人で日本酒を4合ほど。

夕飯にも玉こんにゃくが出てきて、今日は一体何個玉こんにゃく食べたんだろという感じで(スキーを始める前にもロッジで1串食べた……)、でも食べ飽きないわぁとここでも堪能してしまった。
美味しかったのは芋煮。醤油味醂味で甘く煮られた里芋とこんにゃくと牛肉と葱は親しみやすい味で、お酒にも御飯にもよく似合っていた。

で、食後はだらだらと部屋飲み。お土産物屋さんで買ってきた山形産のスパークリングワインやビールあれこれを飲み飲み、各自持ち寄ったスナック菓子やおつまみを並べながらおしゃべり。明日の旅程で調べ物をする必要があったので、持参した私のノートパソコンを立ち上げた勢いで、保存してあった「なつかしのアニメソングflash」などを流しはじめてしまって、全部で1時間以上もあっただろうそれをえんえんと流しつつ、大人たちはますますグダグダな状態になっていく。

あ、これ見てましたー、あれ私は知らないな、などと、でも50曲ほどはあったアニメソングで「これは誰も歌えない、サビすら知らない」というのは片手に足りるほどだったのがなんとも。「キャッツアイの最後ってどんなんでしたっけ?」「あー、私、ひばりくん好きでしたー。これって完結したっけ?してないよね?」「きゃー、星矢を流すのはヤメテー」「パンプルピンプルだっけ、ピンプルパンプルだっけ」「名探偵ホームズきたー!私これ大好きでした!」と、まぁ大人たち盛り上がる盛り上がる。子供2人は「うるさいなぁ」呆れたような風情で、少し離れた場所でDSに興じていた一夜だった。昨夜は寝台列車での一夜だったというのに、なんだかんだで今日も夜更かし。