食欲魔人日記 01年03月 第3週
3/12 (月)
鯛飯 (夕御飯)
ほっけの塩焼き
納豆
小松菜と油揚げの味噌汁
御飯
抹茶入り玄米茶

つい数週間前、この日記に「だんなはほっけが大好きで〜」と書いたところ、それを読んだだんなの同僚Sさんが「ならば」とやたらと高級そうなほっけを2枚、土産だと言って先日貢いでくださった。いいなぁいいなぁだんな。私もここで「私はフォアグラが大好きで〜」などと騒いだら、誰か友人がくれちゃったりしないだろうか。(←「まんじゅうこわい」じゃあるまいし……)

好物だというのに、だんなの「ほっけ観」は少々変わっていた。北海道物産展などで高いものを買う必要はない。そこらのマーケットで2枚300円で安売りしているような時に買ってくれば良いのだと。別に、高いからと言って美味しいとは限らないけど、いつもいつも「そんなに高いの買わなくて良いよー」と美味しそうなほっけを前にうろたえているのを見ると、こいつは「安ほっけ専」の嗜癖でもあるのかと思ってしまう。
いただいたほっけは巨大でざらりとした皮の具合もとても綺麗で、いかにも高そうなものだった。それはそれで、だんなはとても幸せそうなのであった。別に「安ほっけ専」というわけでもなさそうなのであった。

グリルでほっけを両面こんがりと焼いて、御飯と味噌汁の朝御飯。ほっけは朝食か、あるいは酒の肴かという感じがする。ほろりと焼けた身をだんなと2人でつついては御飯をかきこむ。磯の味がする塩が程良く効いたほっけは旨かった。
窓の外は、もう3月半ばだというのに雪だった。どーりで寒いと思ったよ。

卵サンド
ピーナッツバターサンド
はちみつレモンカルピス

いただきものの、ころりとしたパンがまだいくつも残っている。これをサンドイッチにして昼御飯。
そのまま食べるとちょっとポソポソとして食べにくいパンだけど、レンジでチンするとふかふかと柔らかく美味しくなる。温めたパンを半割にしてバターをなすりつけ、そこにレタスを敷いてゆで卵のマヨネーズ和えをたっぷり挟む。もう1つには「これ、美味しいのよー」とお義母さんからいただいた、粒々入りのピーナッツバターをこってりとつける。

2つのサンドを並べて、お供は「はちみつレモンカルピス」なる面妖な濃縮カルピスを水で割ったやつ。カルピス(株)は、ここ数年むきになったように様々な味のカルピスを生産販売している。そのうち野菜カルピスでも出るんじゃないかと私はドキドキだ。「ほうれんそうカルピス」とか「にんじんカルピス」とか。

ともあれ、はちみつレモンカルピス。ノーマルカルピスをはちみつレモン水で割ったような、まんまの味だ。本当は温めて飲むのが良いらしいけど、冷たいのを作ってぐびりぐびりと飲み干した。飲んだ後に口と喉の境目が何やらニカニカしてしまうのがカルピスならではだ。

焼き鳥(皮・ねぎま)
鯛のあら煮
大根とかぶの葉の味噌汁
鯛飯
ポータービール

不二家の三角ショートケーキ
紅茶

昨日、1尾丸々の鯛を買ってきた。ぶつ切りになっていたその半身は昨日刺身で喰ったので、残りの半身は「鯛飯」にすることに。研いだ米に水を注ぎ、塩と醤油と味醂と酒を放り込んで鯛を置く。上にべろんと昆布を乗せて、あとは炊くだけ。残りのアラの部分は醤油と味醂と酒で炊いてあら煮にしてしまうことにした。具はごぼうとかぶ。
味噌汁は大根。ついでにかぶの葉も放り込んだ。

だんなは駅前の焼き鳥屋で焼き鳥を買ってきてくれ、これとあら煮でビールを飲む。
こってり煮含めたあら煮も、ちょいと化学調味料の味がする焼き鳥もいい肴になった。かぶというやつは、大根のつもりで煮込むとあれよあれよという間に煮崩れてしまうものであったらしい。強火であら煮をガーッと作っていたら、かぶはすっかり角が取れてぐずぐずになってしまった。ちょっとトホホだ。

炊き立ての鯛飯には、三つ葉を散らして食べる。御飯の上に魚がどかんと乗ったままの炊きあがりの骨を取りヒレを取り、身をほぐして御飯と混ぜると綺麗なうす茶色の御飯になった。魚もほこほこでとても良い感じだ。

デザートに、だんなのお土産不二家のケーキ。先日、だんなが電話もなしに職場で飲み会していて帰宅が遅くなったことがあり、その時私は
「そーゆー時はご機嫌取りにケーキの1つも買って帰るもんだ!」
と烈火のごとく怒ったのだった。それを覚えていたらしい。別に、今日の帰りが遅いというわけではなかったけれど。
三角形の、苺が詰まったシンプルなショートケーキ。ホイップクリームが三角形の頂点近くに3カ所それぞれキュッと絞られ、中央に苺が1つ。絵に描いたようなショートケーキは、ほんわかと美味しかった。不二家のケーキは旨いと思う。

3/13 (火)
ほうれん草のサラダ (夕御飯)
鯛飯
大根とかぶの葉の味噌汁
抹茶入り玄米茶

昨夜、珍しくだんなは御飯のお代わりをしなかった。普段の白い御飯はもとより、混ぜ御飯系なら限りなく100%に近い確率でお代わりをするのに。
「続きは、明日の朝。」
としおらしく、昨日は1膳で食事を終えたのであった。なので炊飯器にはまだまだ御飯が残っている。残り物の御飯と味噌汁で朝御飯。

炊き込み御飯というものは、時間が経つと炊飯器全体に何やら匂いがついてしまうのが難点だ。今日の炊飯器はすっかり魚臭くなっている。食事を終えた後、まだ3膳分ほど残る御飯はとりあえずおむすびにすることにした。水を手にさっとつけて、小ぶりのおむすびをぎゅうぎゅうと4〜5個作り、テーブルの上に置いておく。
置いておいたら、いつのまにか1つ減り2つ減り、夕方までに消えてしまった。どうやら息子が「素敵なおやつだ」とばかりに通りすがりにばくばくと喰ってしまったらしかった。私も食べようと思っていたのに。あらら……。

ジャムバターサンド
アップルパイ
チャイ

いただきもの消化フェアの昼御飯。Kさんから先週末にいただいたパンとアップルパイが残っていたので、これらをテーブルにどかんと乗せてがつがつと食べる。パンはチンして、薄くバターとジャムを塗る。巨大な巨大なアップルパイもどかんと乗せて囓りつく。

カクスコ……じゃない、コスクコ……でもない、「コストコ」(←店名が覚えられない私……)はそりゃもう大きなものとか多いものを売ってるところらしく、パンも大量ならパイは巨大だ。中心角30度程度のアップルパイが手のひらからあふれんばかりで、そりゃもう大変なサイズだ。大きさがアメリカンサイズなら味も何やらアメリカンで、こってりとした甘さが強い。今日は甘さを少しも加えなかったチャイを片手にぐびりぐびりと飲みながら甘〜いパイを喰ってみた。

しかし息子よ。片手に鯛飯のおむすびを持ちつつ片手でアップパイを食べるというのは、行儀以前に美味しくないとおもうが、どうか。

キャベツたっぷりポトフ
ほうれん草のサラダ
タコライス
アイス烏龍茶

「タコライスを食べよう」
と野菜を買ってきた。そうでなくても冷蔵庫には根菜類だの三つ葉だの小松菜だのがみっちり入っているのである。今日は野菜を食べようと決意した。

「タコライス」は「蛸ライス」ではない。「タコス・ライス」である。沖縄名物であるらしい。「タコス」は「タコシェル」というパリパリのクレープ状のものに野菜だの肉だの詰めて食べるものだけど、タコライスはライスに野菜だの肉だのをぶっかける。
白いあつあつの御飯に千切りにしたレタスを敷き、角切りトマトを広げ、レトルトパックのを温めたスパイシーひき肉をトッピングした後にチーズも乗せる。添付の辛いタコソースをかければ完成。御飯にレタスだの生のトマトだのチーズだの、と想像するとちと不気味ではあるけれども、これがなかなかどうして美味しい。関西以西じゃけっこう売ってるレトルトタコライスだけど、関東圏ではとんと見かけぬ。いや、別にレトルトのを買わなくても自分で作ろうと思えばきっと作れるものだけど。

あとはじゃがいも玉ねぎにんじんと一緒に豚肉の塊をぐつぐつ煮込んだスープ代わりのポトフ。出来上がり十数分前にキャベツの巨大な塊をえいやっと沈め、キャベツたっぷりのスープにした。あとは、生のほうれん草をバリバリ食べようと、サラダ。
生のほうれん草をボウルに積み上げ、上に黄身とろとろの半熟ゆで卵をつぶして乗せる。ベーコンをオリーブ油でカリッと炒め(というか揚げて)、そこへ塩と胡椒をふりかけて赤ワインビネガーを加えた熱いソースを上からかける。それだけ。生のほうれん草のサラダはいかにも野菜喰ってますという気分が盛り上がるので大好きだ。

御飯も生レタスが入ってシャキシャキするし、サラダもほうれん草でシャキシャキするし、ポトフはポトフでちと堅めのキャベツが入っててシャキシャキするしで、全体的に何やらウサギにでもなったような食感の夕食だった。
もう少し温かくなったらタコスもしよう。レタスいっぱい刻んで、甘いトマト使ってね。タコスも大好き。

3/14 (水)
キャベツとアンチョビのスパゲッティ (夕御飯)
キャベツたっぷりポトフ
卵とチーズのホットサンド
カフェオレ

冬になると朝食におけるホットサンド比率が高くなる我が家だけど、今年はあまりやっていないような気がする。サンドイッチ用のパンを買ってきたので、ちょっと久しぶりのホットサンド。具は大量に冷蔵庫に詰まっている卵を使うことにした。
固ゆで卵を作り、ざくざくと粗くほぐしてマヨネーズで和えたもの。それをとろけるチーズと一緒にホットサンドメーカーにセットする。じわじわと焼き上がりを3分ほど待ってできあがり。
食パンの、具側ではなく鉄板に当たる側に薄くマーガリンを塗っておくと、良い感じのサクサクしたきつね色になる。

焼きたてのホットサンドは、冬の朝には(ってもう春か)しみじみ美味しい。サクッと焼けたパンのみみのところもまた美味しいのだ。ぴよーんと伸びるチーズをはふはふ言って囓り、スープとカフェオレを啜る。あったまります。

小松菜のお浸し
大根の味噌汁
卵御飯と焼き海苔
抹茶入り玄米茶

朝飯が洋風だったので、昼は御飯を食べることにした。生卵をパカンを割って醤油を垂らして御飯にぶっかける。海苔をサッとあぶってパリパリにしたやつを適当な大きさに切り、それで卵御飯をくるんと巻いてばくばく食す。小松菜のお浸しに大根の味噌汁。これで塩鮭でもあったら何やら民宿の朝御飯のような感じになるんではないか。

……そう、民宿や旅館の朝飯というのは無性に「御飯のお供」が多い。生卵があって、海苔があって、納豆があって、ついでに塩のきつい燒き魚があって漬け物があって味噌汁もあって……となると一体御飯を何膳食べれば良いのかわからなくなる。

卵と海苔で1.5膳でしょ、納豆で1膳でしょ、魚と漬け物でこれまた1膳喰えそうだし……と、学校でたたき込まれたように「御飯、おかず、お茶(牛乳)」という「三角食い」をしようとすると御飯消費量が7膳くらいになっちゃいそうなのだった。そして私は出されたものを残すのがキライなのである。もとより生卵も納豆も好きなので、結果として「生卵ぶっかけ飯に途中から納豆も乗せ、それを海苔でくるんで食べる」というようなことになってしまうのであった。いや、美味しいんだけどね、生卵ぶっかけ飯に納豆に海苔。でもちょっと不気味だ。(更に佃煮なんて添えてあるともう途方にくれてしまったりして)

ほうれん草のサラダ
キャベツたっぷりポトフ
キャベツとアンチョビのスパゲッティー
モルツ

不二家の三角ショートケーキ
紅茶

今日は巷ではホワイトデーなのだそうである。だんなは1週間ほど前、「これ、ホワイトデーのプレゼントの1つね」といつも使っている化粧品屋の洗顔用石鹸をデパートで買ってきてくださった。今日は不二家のケーキの箱と、赤いリボンを巻いた赤いチューリップ3本持って帰ってきた。私は、バレンタインデーにはたまたま見つけたアランジアロンゾの缶入りチョコレート数百円なりを「面白いから」という理由であげただけだ。うぉー、ン倍返し。ありがとうだんな。

で、夕御飯はキャベツのスパゲティ。何やら昨日から腹具合がよろしくないというだんなのために、さっぱりした料理を心がけてみた。昨日煮込んだポトフに、昨日ざくざく大量に切ったやつが残っていたので引き続きほうれん草のサラダ。そしてスパゲッティ。

スパゲッティを茹でる時に、ざくざく切ったキャベツも同じ鍋に放り込んで一緒に柔らかく煮てしまう。パスタを茹でつつ、隣のフライパンにオリーブ油を"だばだば"くらい(パスタに良い感じに絡むくらい)注ぎ入れ、そこにみじん切りのにんにくをたっぷりと、アンチョビを細かくしたやつを数枚放り込んで炒める。パスタが茹であがったところでキャベツと一緒に皿に盛り、にんにくがきつね色になったくらいのオイルソースを上からジャッとかけてできあがり。皿の上でかき混ぜて、塩味パスタをツルツルと食べる。

シンプルな材料しか使っていないパスタだったけれど、そのさっぱりしたパスタはすこぶる旨かった。だんなも「こういうの、好み〜」とえらい勢いでたいらげていた。
アンチョビは冷蔵庫にあると何かと便利だ。無くなってしまったオリーブ油とアンチョビを明日は買いに行こう。

3/15 (木)
アジアン・デリの「豚排飯」 (夕御飯)
ツナとチーズのホットサンド
カフェオレ

サンドイッチ用パンがある日のだんなは、何だか心持ち楽しそうだ。というか、もうホットサンド以外のものをするという考えは全くないかのようだ。今日も少しばかり寝坊したにも関わらず、
「朝御飯、どうしましょうかー?」
と聞いた私に
「ホットサンドがいいな。具は、まかすー。」
と即座に返事が返ってきた。すぐに準備できるものと言ったら、ツナだろうか。ツナ缶をぱっかんと開け、刻み玉ねぎを混ぜ込んで、マヨネーズをにゅるにゅると。とろけるチーズを一緒に挟んでホットサンドメーカーにセット。

だんなにパンのマーガリン塗りを任せたところ、私が乗せるよりも大量に、そして私が塗るよりも丹念にこてこてと塗っていた。できあがったホットサンドは表面のマーガリンが溶けて染み込み、何やらパイのようにサクサクとしたものになった。こんがりと焼き目がついていて、とても美味しそう。

囓ると中の具から熱い空気と溶けたチーズがぶわっと押し寄せてくる。私は猫舌だもので(しかも猫手で持つのも苦労だ)、焼きたてのホットサンドはほとんど凶器だ。いつも鼻の頭に汗をかきつつ、赤い顔して歯を前に突き出すようにして食べる羽目になる。誠に美しくない食事姿勢であることだろう。……でも美味しいのよね。熱いツナも熱で甘くなった玉ねぎも、溶けたチーズも。

千葉三越の食堂にて
 ハイカラ定食

今日は20℃を越えるらしい。午前中早くに千葉駅前のデパートに出かけてみるかと外に出た。
風は強いけど天気は上々、何だか屋内に閉じこもっているのは勿体ない気がしてしまったものだから、千葉駅からそのままモノレールに乗り換えてしまい、そのまま突然に千葉市立動物園に向かってしまった。
ガラガラの動物園、いるのは遠足(というか散歩?)で来ているような小学校低学年の団体と、数組の親子グループ客、カップルもちらほら。

カルピスウォーターを1缶買って息子と奪い奪われしながらぷらぷらと歩く。人気のあまりない園内を歩き、10頭ばかりの鹿の団体やら猿の親子に見つめられると、観察されているのはこちらのような気がしてくる。ペンギンの前で缶コーヒーでも飲んで「まいったなぁ」とか呟かなきゃいけないんじゃないかという気分に。(←……というCMがあるのです……と海外在住の友人に向けて注釈してみる)
ゾウもいるし、シマウマもいた。キリンの檻は改装中で、肝心の子供動物園(山羊やらうさぎやらが放し飼いになっていて触れるところ)もまた改装中だった。ミーアキャットとレッサーパンダをまじまじと観察できたので満足だ。

12時過ぎて、2時間ほどの動物園散策を終えてまた千葉駅周辺へ戻ってきた。動物園の後はやはり「お子さまランチ」だろう、とデパートの大衆食堂へ向かってみた。千葉三越の8Fには、思ったとおり和洋折衷の大衆食堂然としたものが。新幹線をかたどった皿に盛られたお子さまランチを発見したので息子にそれを。私は「ハイカラ定食」なるミニ卵丼とミニとろろそばのセットを。どちらも700円なり。

味はまぁ、大衆食堂の味だ。卵丼は完全に完熟に固まっていたし、そばは「そこまでせんとも」と思うくらい汁が黒く甘辛かった。「まずかないけど、まぁ普通だ」という感じ。
でもでもやっぱり、お子さまランチというのは心そそられちゃう。洋食風のと和食風のと2種類あるお子さまランチの、新幹線型のは和食風。メインはお寿司で、いかとまぐろの握りが両断されて一口大になり2個盛られている。鉄火巻きも3つ。そして卵焼き2切れにミートボールが1つ、小さなカップ2つのうち1つはオレンジジュースで1つは海老を乗せた日本蕎麦だ。更に皿に区切り1つ分がデザートコーナーで、パイナップルとさくらんぼ、フルーツカクテルが盛られている。いいなぁいいなぁ、お子さまランチっていいなぁ。

息子はというと、彼のポリシーは「好きなものから食べる」という鉄則があるようでフルーツカクテル→さくらんぼ→パイナップル→日本蕎麦半分→卵焼き1つ→ミートボール一口で飲み込む→鉄火巻き3つ一気食い→卵焼き残りの1つ……てな順序でもりもりと喰っていた。

お子さまランチはステキだ。食べ歩いて画像から各店舗のデータやら揃えてホームページにでもしちゃうか、というくらいステキだ。きっと20年後くらいに「あの時代はそんなものがあったんだよねー」などと面白くなること請け合いだと思うけど。
でもきっと、同じ事を考えている人がすでにどこかにいるはずだ。

アジアン・デリの
 豚排飯
 豚モツの煮込み
モルツ、ウィンターエール

6時間に及ぶ動物園散策及びデパ地下探索。ついでに化粧品コーナーにも立ち寄ってきて疲労困憊という感じだ。午後4時半に帰宅してから、2時間以上も昼寝(夕寝)してしまった私と息子なのであった。

もそもそと7時前に起床して、とりあえず御飯を炊いておく。数日前に、買ったまぐろのサクを、"づけ"にし、ついでにだしを取って吸い物も作っておいてみた。でも、やる気なーし。
「今から帰るコール」をしてきただんなに、やる気のない旨を伝えたところ、何とも魅惑的なアジア飯を買ってきてくれた。

最寄り駅の駅前につい最近、「アジアン・デリ」なる大層怪しげな店がオープンした。赤と黄色の華やかな柄が基調となる内装のテイクアウト専門店のその店は、店頭に「豚モツ」だの「排骨飯」だのという怪しげな文字が並んでいる。店頭にはあんまんなどの点心類や中国茶のパックが並び、でもお弁当などを売っている気配はなくて、何となくとにかく怪しかった。香港のファーストフード丼もの屋を思わせるその店は、私とだんなの"この店美味しいかな予想"でも4割ハズレ6割アタリという感覚だった。でも、いつもいつも気になっていたのだ。

で、だんな、その店で魅惑的な丼ものを2つ買ってきた。ついでに豚モツに煮込みも。
「豚排飯」(豚ロース丼)は650円、「叉焼飯」(チャーシュー丼)も650円。赤いキッチュなプラスチック容器に入るその丼はやたらと美味しそうだった。御飯の上に、表面をカリッと上げられた豚肉。高菜の炒めともやしの炒め、青梗菜の茹でたやつが添えられている。上から甘辛いタレが御飯に染み込むようにたっぷりと。豚モツの煮込みも、黒々としていていかにも美味しそうだった。早速ビールを入れてモツをつまむ。

いやぁ、このテイクアウト店はめちゃめちゃアタリだった。こってり甘辛く煮込まれたモツはしっかり味が染みていてピリリと辛い香辛料も効いている。モツはコリコリと、でもトロンと柔らかくもあって何とも旨い。ビールが進む。最初に入れたモルツをすぐさま飲み干して、2本目の琥珀色のウィンターエールの封も切る。
そして、丼だ。「排骨飯」は、豚の骨付き肉を唐揚げにしたものを乗せた丼だ。「豚排飯」は骨なしバージョン。でも味は見事に「排骨飯」そのもののものだった。カレー粉がほのかに香る衣はパリッパリに揚げられていて、オイスターソースが香る醤油だれがこってりとかかっている。高菜やもやしの炒めはナムルのようにごま油が効いていて、それらを御飯に混ぜ込んで肉を囓ると、なんだか香港の街角のような匂いを感じてしまうのだった。怪しいだなんて思ってすみません。この店めっちゃ良いじゃないですか!

「……美味しいよー、どうしよう。」
「また買わなくちゃね。やる気のない時はこれに限るね。」
などと言いながら平らげた。
弁当と一緒にだんなが持って帰ってくれた手作りのコピーメニューには「煮卵100円」「バンバンヂーサラダ180円」「肉醤炒豆腐飯(揚げ豆腐肉みそ丼)530円」なんて文字が並んでいる。豚足や豚耳、豚ガツの煮込みまである。そのうち私は豚足を囓りながらラム酒を啜る、なんてことをやってしまいそうだ。

備忘録。
今日の「どっちの料理ショー」は和風ハンバーグVS豚肉の生姜焼き。ハンバーグはいかに旨そうであろうとも、私は大根おろしで喰うよりドミグラスソースとかとんかつソースwith目玉焼き乗せで喰うのが好きだ。生姜焼きの方が、ガツンと食べられてお腹が空いた時にはこれはサイコーだよ、という感じ。あの生姜焼きのタレを刻みキャベツに絡めて食べるのがまた美味しいんだよなぁ〜。って、そういえば豚肉の薄切りが冷蔵庫の中にあったのであった。え、キャベツも残ってますか、そうですか……(←これは数日中に作るとみたね)。

3/16 (金)
Johnaの「チョコブレッド」 (昼御飯)
大好物なのだ〜
ミニづけ丼
鶏肉とごぼうの吸い物
抹茶入り玄米茶

昨日、まぐろのさくを"づけ"にしておいた。吸い物用にとっただしを少量ボウルに移し、醤油と煮きり味醂を入れる。薄切りに切ったマグロを密閉容器に並べ、だしを注いで冷蔵庫に。ついでに吸い物も作った。母が頻繁に作ってくれた鶏肉とごぼう入りの吸い物だ。舞茸も入ると一層旨いけど今回はなし。三つ葉を散らして食べるのだ。

白い御飯にまぐろを並べ、漬け汁を少々かけて刻み海苔と胡麻を散らす。ミニづけ丼と吸い物の朝食なんて、何やら豪華だ。嬉しい。

Johanのチョコアーモンドブレッド
ホットミルク

昨日午後2時、千葉三越にてチョコブレッドを買ってきた。銀座三越じゃ、確かいつも並んで買っていた品である。午前10時と午後1時、買いたかったらその時間に合わせて買いに行っていたのであった。千葉三越は、2時を過ぎても数個がちんまりと棚に置かれているのであった。

千葉三越は、食料品フロアがいまいち充実していない。「三越ならあるじゃろ」と上質のオリーブ油とアンチョビを買いに行った私はその品揃えの悪さに愕然としてそごうに向かうのであった。
そごう内にはJALショップが入っていた。オリーブ油も瓶入りアンチョビも揃っている。探していた旨そうなゴルゴンゾーラチーズも売っていた。その食料品フロアの充実ぶりはなかなかだったが、こういう時ばかりは都内に住んでいた方が便利だったよなとしみじみ思う。

で、チョコブレッドだ。簡単に買えたこのときばかりは千葉に住んだ自分を嬉しく思う(気持ちの移り変わりの激しい私)。
さくさく切って皿にどかんと乗せ、息子と一緒に1切れつかんではわしわしと食べる。チョコを練りこんだパンはもちもちと弾力があり、そのチョコの量もやたらと多い。マーブル状にまんべんなくチョコが混ぜられて、甘さもしっかり、でもそれほどこってりした甘さじゃない。

「このパンになら牛乳だよねぇ」と牛乳を温めて、甘味は入れずにパンのお供にがぶがぶと飲んだ。……昼寝、するかな。

根三つ葉と豚肉のピリ辛炒め
焼き茄子の大根おろし和え
豚モツの煮込み
鶏肉とごぼうの吸い物
鶏肉と小松菜の炊き込み御飯
ウィンターエール

コーヒー
マンゴーフルーチェ

買ってから少々日数の経ったデンジャラス豚肉と、同じくデンジャラス鶏肉があったので、これを使ってあっさりめの和食を心がけて作ってみる。野菜もたくさん野菜庫に詰まっていることだし、野菜もたくさん食べねばならない。

小松菜は1把全部使って炊き込み御飯に。研いだ米の上に醤油を絡めた鶏肉を乗せ、ごま油で炒めたみじん切りの小松菜を乗せて炊く。生姜がガツンと効いたものにしたかったので、千切り生姜をどさっと入れ、醤油と酒を放り込んで炊飯器のスイッチを入れる。本当は餅米を半量混ぜると良いらしいけど今日は普通の米のみで。

豚肉は塩と胡椒で根三つ葉と一緒にざざっと炒める。食べる時に、だし汁と醤油と酢、XO醤を合わせたピリ辛のたれをぶっかけて食べる。茄子は輪切りにして揚げよう……と思ったのを多めのサラダ油で焼きつけるのにとどめ、おろし醤油を絡めて食べることにした。うむ、野菜たっぷりのおかずだ。肉も多いけど。

昨日だんなが買ってきてくれた豚モツの煮込みをつまみつつビールを1杯。
根三つ葉の炒めも茄子も、どちらかというと「御飯が旨いおかず」の味だったので、うっすら醤油味の炊き込み御飯と共におかずを食す。

さて、デザートはフルーチェだ。最近発売されたマンゴーフルーチェ。
マンゴープリンの密かなブームがマンゴーブームを呼び寄せたものか、CooDoのマンゴーの素が出たと思ったらフルーチェもまたマンゴーバージョンが発売された。マンゴープリン好きとしては買わずにはいられない。

フルーチェは、これまでイチゴ味以外のものをこれまでほとんど食べたことがなかった。苺味の香料やその味はあまり違和感なく食べられたけれど、ピーチだのメロンだのというのはいまひとつハマれなかった。
さて、フルーチェは一体何種類あるのだろう。ホームページを探してみたところ、
リンゴ・イチゴ・ブルーベリー・ピーチ・ブドウ・メロン
とこれまで6種類あったことが判明した。おう、ほとんど喰ったことがないぞ。ブルーベリーとか。

新発売のマンゴー味。やっぱりフルーチェはフルーチェ味以外の何物でもなかったけど、フルーチェ味と共に漂うマンゴーの味と香りは悪くない。へたなマンゴープリンの素を使うよりは、よっぽど理想のマンゴープリンに近い味がするというか(フルーチェ味ではあるんだけど)。
フルーチェは美味しい。ボウル一杯に4人分作って、それを一人で食べるのはサイコーだ。

3/17 (土)
L'OSIER(銀座)の「ガトーフレーズ」(おやつ)
なんと800円のショートケーキだ!でもおいしいんだ……。
Johanの
 チョコアーモンドブレッド
牛乳

9時起床。今日はお昼頃から高校時代からの友人Sちゃんが遊びに来るのだ。
慌ただしく洗濯をし、部屋をざっと片づけてから朝御飯。Johanのチョコブレッドをさくさく切ってさくさく食べる。数時間後には豪華サンドイッチパーティーをするので、量は心なしか少なめに。

Sちゃんと一緒に
 オープンサンド
紅茶

午後0時40分、Sちゃんが大きなケーキの箱と共に我が家にやってきた。こちらに転居してきてから遊びに来た私の友人はSちゃんが初めてだ。先日一人で作ったローストビーフサンドが大層美味しかったので、今日はサンドイッチの昼御飯を出してみることにした。

具は豪華にずらずらと用意。肉屋で買ってきたローストビーフとボンレスハム、ウィンナーにスモークサーモン。野菜はレタスとトマトと玉ねぎときゅうりとマッシュルーム。グリュイエールチーズにゴルゴンゾーラチーズ、ゆで卵、ケッパー、グリーンオリーブ、ブラックオリーブ。室温で柔らかくしたバターにガーリックマーガリンにマヨネーズ、ケチャップ、粒入りマスタード。ミニホットドッグも作れるようにカレー粉炒めキャベツも準備した。
パンは、コーンパンに全粒粉のくるみパン、普通の食パンとバターロール。大皿にこれでもかと積み上げた。壮観だ。

各自好き勝手に好みのサンドイッチを作り出す。
まずはくるみパンにガーリックマーガリンを塗り、レタスときゅうり、トマトやマッシュルームを積み上げる。スモークサーモンを1切れ乗せてケッパーを散らし、オリーブと薄切りゆで卵を積み上げてマヨネーズをかけ、レタスとパンで蓋をする。分厚くできたサンドイッチを上からぎゅうぎゅうと押さえつけつつ食べる。出来たてのボリュームサンドイッチは、お金取れちゃいそうなほど旨かった。

続いて、ロールパンに炒めキャベツを詰めてソーセージととろけるチーズを乗せてからトースターで焼いてミニホットドッグに。卵多めのローストビーフサンドもいけるし、ゴルゴンゾーラチーズがピリリと辛くて強く香るスモークサーモンサンドもなかなかだった。皆でわいわいと作るサンドイッチはとても美味しい。

銀座「L'OSIER」の
 ガトーフレーズ
カフェオレ

Sちゃんがお土産に持ってきてくれたのは、銀座資生堂「L'OSIER(ロオジエ)」のケーキであった。資生堂パーラーのケーキじゃなく、資生堂が経営するフレンチレストランのケーキショップのケーキだ。銀座にしか売っていないものであるらしい。
もう1年ほど前、Sちゃんが買ってきてくれたこのケーキがいたく美味しくて大騒ぎしていた私である。また買ってきてくれたのねー。とても嬉しい。

「ガトーフレーズ」はショートケーキ。丸いスポンジケーキの間にイチゴとクリームがたっぷり挟まれ、上半分はモンブランのクリームのごとく生クリームがうねうねと大量に絞られている。頂上にイチゴが2切れ。
この一見飾りも少ないシンプルなショートケーキのお値段は、なんと800円である。不二家のケーキなら3個は買えてしまうだろう強気の値段だ。クリーム一口80円、という感じ。でもこのケーキは天高く昇ってしまいそうなほど美味しいのだった。

箱の中にはこのガトーフレーズとシュクリーム、プリンやパリブレスト風のモカケーキ、チョコレートケーキが詰まっていた。いやーん、どれもこれも美味しそう。でも私はガトーフレーズを食べるのだ。これはもう決まっているのだ。(←ひでぇ)

1年ぶりに食べたガトーフレーズは、相変わらず絶品だった。砂糖を入れて泡立てただけのようなクリームなのにふわふわとした口当たりはやたらと滑らかで濃厚だ。何百グラム舐めても胃もたれしなさそうな美味なるクリームの中には甘酸っぱいイチゴ。たまらなく美味しい。

で、他人のケーキも味見と称して奪っている私である。黄色が濃厚なカスタードクリームがむっちりと詰まったシュークリームもごてごてと飾りの無いステキなフォルムだった。歯ごたえはあるのに滑らかさが際だつプリンはカラメルが良い感じに苦く大人の味。ああ、どれもこれもステキに美味しいけれど、きっとお値段も恐ろしくお高いはずだ。すまんSちゃんありがとうSちゃん。貴女が結婚する折には貴女が好きなアレッシのキッチングッズをイヤというほどプレゼントするので期待していてくださいまし。

この「L'OSIER」、本来はフレンチレストランだ。一食3万円はくだらないという恐ろしいレストランと聞いた。
でも美味しいんだろうな。いつか金持ちになったら行きたいものだ(っていつのことやら)。

だんな特製豚肉の生姜焼き with 千切りキャベツ
ミックスサラダ
だんな特製豚汁
御飯
ウィンターエール、冷茶

L'OSIERの
 チョコレートケーキ、モンブラン
アイスカフェオレ

午後5時、Sちゃん帰宅。駅まで送って、今日発売の漫画本数冊を購入して帰ったらそのまま漫画を読みふけってしまった。気が付いたら7時前。もう当然のごとく夕食を作る気力はなくて、「焼き肉が食べたい気分……」とだんなを上目遣いに見る。食べにいこーよー。行きませんか?
しかし、だんなの思惑は違ったようだ。

「ガツンと肉か〜。生姜焼きとかしませんか?ガツンと焼いてガツンと食べよう。」
とひょいひょいと近くのマーケットに買い出しに行ってしまった。「豚汁も作ろうよ」と豚汁の材料まで揃えて帰ってきた。

かくして重い腰を上げてだんなと一緒に夕食の準備。私が材料を刻む横からだんなが豚汁を作り、米を研ぎ、生姜をおろししてくれた。2人でやると準備も早い。私は野菜と刻み千切りキャベツを作っただけなのに、立派な夕食ができあがった。

生姜がこれでもかと入る生姜焼きはタレたっぷりでこっくり甘い。山盛りの刻みキャベツにそのタレを浸して、げしょげしょになったキャベツを口に放り込む。
私が入れるのの数倍は入っているだろうごま油がやたらと香る豚汁は、表面に細かく砕けた肉の脂がふわふわと浮いて、ごま油と共に上部に数ミリの油膜を作っちゃうようなやつだ。恐ろしく濃厚な豚汁だ。

「生姜焼きには、やっぱり豚汁だと思うんだよねぇ〜。」
と準備を終えただんなは至極満足そうに箸を動かす。確かに、豚肉と豚肉がかち合うけれど生姜焼きと豚汁はとても良く似合っていた。
(「違うんだよおゆきさん!トンカツ屋とか定食屋って、トンカツや生姜焼きで使わなかった肉の部分を豚汁にして出したりするんだよ。だから生姜焼きには豚汁なの!」だんな語る。そんな熱っぽく語らなくても。)

ついでに、昼のサンドイッチで余った野菜やハム類は全部細かく切って混ぜ合わせてミックスサラダに。お気に入りの「ピエトロ」ドレッシングをかけてバリバリ食べる。オリーブだのローストビーフのかけらだのゆで卵だのが入るサラダはこれまたゴージャスで旨かった。

食後にSちゃんが持ってきたケーキの残りを食べる。「明日まで残しておいたら不味くなっちゃうしね」なんて理由をつけながら嬉々として家族でつまむ。
チョコケーキとモンブラン、どちらのケーキにも店のロゴが入った小さな紙の飾りがつき、チョコケーキの上には白砂糖で「L」の文字が染め抜かれている。

メレンゲの上にたっぷりの生クリーム、栗の小さな粒々が混ざり、表面にはたっぷりとマロンクリームのモンブラン。チョコレートケーキは10層くらいの細い繊細な生地とクリームが積み上がったものだった。んまぁどれもこれも「手間かかってます材料も良いです故に高いです」と主張しているようなシロモノだ。頻繁にさらっと食べられる普段着のケーキとはほど遠い存在だけど、それはそれは美味しかった。一口食べては「……ふぅー、」という感じ。

3/18 (日)
胡同MANDARIN(丸の内)にて「牛頬肉のあんかけそば」 (昼御飯)
コーンパン
牛乳
2日目の豚汁

なんてこった。私の起床は11時だった。
10時半頃に起きただんな曰く、
「いやー、おゆきさん気持ちよさそうにイビキかいて寝てたからさー……」
って、日曜の11時にイビキかいて寝ている私なんてちょっと恥ずかし過ぎる。一日の半分を損したようで、これまた情けないことこのうえない。
「おでかけ、しよう。大手町でやってる銀河英雄伝説の原画展見に行こう。」
とわたわたと動き出す。

朝御飯はパンと牛乳、そして豚汁。めちゃめちゃな取り合わせだけど、豚汁というやつはパンにでも似合うのである。気にしないのである。

丸の内「胡同MANDARIN」にて
 牛頬肉のあんかけそば
 汁なしタンタン麺
 小龍包
 焼棒餃子
   マンゴープリン
 プーアル茶

午後2時前、東京駅に到着。そういえば丸の内には、気になるマンゴープリンのお店があったのである。原画展会場に向かう前にぽてぽて歩いてお店を目指し、行ってみる。

そのお店は「胡同MANDARIN」(ふーとんまんだりん)。紅虎餃子房と同じ経営のお店である。「クラシックモダンなチャイニーズレストラン」などと雑誌には載っていて、そのあおり文句にクラクラしながら扉をくぐる。はっきり言って、味の期待はほとんどしていない。何せ私は紅虎餃子房が(というより、その経営者が)大嫌いなのだ。紅虎餃子も、あまり美味しかった記憶がない。サービスも良いとは言えなかったし。

茶色と黒が基調の重厚な内装。スタッフもパリッとした制服を着て動いている。箸置きには鶴のくちばしのような華奢な木製のお箸。刺繍つきの布製ナプキン。かなり高級そうな雰囲気ではある。
値段も高級だ。そば類1皿1500円前後。500円程度で供する店が多い点心類も800円ときた。「とりあえず注文は少しにしておこう」とそば2皿と点心2つを注文。

まずは、牛頬肉のあんかけそばがやってきた。平麺が大きな大きな皿にちんまりと盛られ、角切りの頬肉がこってり煮含まれて乗っている。にんじんや京水菜が表面を覆うようにこれでもかと積まれていて、意表をつく盛りつけだ。
こってりと甘くホロホロに煮込まれた牛頬肉は思いの外美味しかった。少しばかり苦みも感じられる水菜もシャキシャキと麺と混ざり、さっぱりと食べられる。不味くはない。ていうか美味しい。「……お、美味しいじゃないか……」と呟きながら皆で取り分けつるつる食べる。

続いて、汁なしタンタン麺。これまた上に水菜がどかんと盛りつけられている。黒胡麻を使っているというこの皿、茶色い肉味噌がこってり絡む麺には確かに黒胡麻の粒がたっぷりと混ざっている。唐辛子もこれまたたっぷりと。
山椒や豆鼓など、風味の強い中華材料もたっぷり入るタンタン麺はめちゃめちゃ辛く、濃厚だった。唐辛子特有のガツンとした辛さが喉の奥から唇までじわーっと押し寄せてくる。旨味もあるし、香りも高い。これまたなかなか良い感じだ。しかし、辛い。とにかく辛い。唇がタラコ状に腫れてくるような錯覚さえある。しかしタンタン麺とは辛いものだから仕方がない。白い御飯を1つ貰って、間に御飯を噛みながら麺を食す。

プーアル茶をがぶがぶ飲みながら、続いて点心が2種類やってきた。
小さな小龍包は4つ、蒸籠の中に白菜を敷いて並べられている。黒酢に生姜を浸したものもやってきて、予想以上に本格風。中にはしっかりスープも詰まっていて、どことなくケダモノ臭さもただよう中の肉のぷりぷりした感じもバッチリだ。

先日行ったホテルの中華屋の小龍包がもうサイテーだったものだから、この基本を押さえた小龍包は嬉しい限り。……ていうか、小龍包は本来こういうものでなければならない筈なのだ。「これにはちゃんとスープが詰まっているかなぁ」と戦々恐々としながら食べなきゃいけない中華料理屋が多いということの方が問題なのだ。ああ、それでもこれはなかなか美味しい。

そして、紅虎餃子房から継いだ餃子技術をして作られた「焼棒餃子」。1つが長さ20cmはありそうな巨大餃子だ。それが2本、陶器の黒く細長い器にドンドンと乗せられ、ナイフとフォークが添えられる。ナイフでさくさく切り、豆板醤や醤油をつけていただく。
これは……何というか、普通だった。皮にサクサク感はなく、肉のジューシー感というものもあまり感じられない。私は餃子の美味しさはパリッとした皮と中の肉汁たっぷりのもちもちした肉の食感の妙にあると思っているので、これはいまいちに感じられた。不味くはないけど。

して、結局お腹もいっぱいになってデザート。マンゴープリンは果肉味濃厚な、ふわふわとした予想以上にハイレベルなものだった。量もたっぷり。我がマンゴプリン探索に悔いなし、という感じ。
それでも、これしか喰わないで7000円超のランチというのは、どうかと思う。やはり紅虎グループは、どことなくぼったくりの雰囲気が漂っていた。
帰宅してみて、お店のカードに書いてあったホームページを見てみる。ほぼ全てのページがフラッシュで作られた、見る人のダウンロードの苦痛を何も考えない何ともイヤらしく素晴らしいページだった。
紅虎餃子房の他に、この店くらいしかチェーンが無いのかと思っていたのに、びっくりだ。経営は和食からイタリアンまで及んでおり、衣料品や日用雑貨の店まであるらしい。その店舗数は総計108店舗。儲かっているのねぇ〜。でも私は、キライ。(ついでにKIHACHIグループも、料理鉄人石鍋系列もキライ〜)

ピザハットの
 ピザ とりたま親子
 フライドポテト
 チキンナゲット
ダイエットコーク

帰宅5時半。東京駅→有楽町寄り丸の内→神田寄り大手町→東京駅と今日はたいそう歩いた気がする。帰るとすっかり疲れ切ってしまった。ばたりと私が昼寝をし始め、続いてだんなと息子が次々と居間に倒れ伏した。一家で静かに昼寝する。

午後7時半、最初に起きた私がHPの更新作業をし始め、続いてだんなが8時半頃起床。息子も9時頃起きてきた。夕食を食べようと思っても、えらく半端な時間になってしまった。
「カツオのたたきがあるから、それで御飯をわしわし食べる?」
「……んー……」
「CMでやってたピザでも1枚とって喰う?」
「……それかなー……」
全員やる気がなかった。

結局、TVCMを見ていて気になっていた「とりたま親子」なるピザを注文。目つきの悪いニワトリのイラストが飛び交うCMだ。鶏肉にほうれん草、卵の具にマヨネーズ入りチーズソース。どことなく子供向きのジャンクな味のピザを食べつつポテトとナゲットもケチャップつけつつつまむ。お供には近所のコンビニでだんなが買ってきてくれたダイエットコーク。

夜10時にピザだなんて、なんて不健康なんだ。とぼやきつつもその不健康ぶりがちょっと楽しかったりして。