食欲魔人日記 03年07月 第3週
7/14 (月)
鶏肉のバジル炒めかけ御飯 (夕御飯)
デニッシュブレッドの卵サンド
アイスミルクティー

週のはじめ、月曜日。今日はおべんといらないよ、とだんなから言われてはいたけれど、今日は朝御飯いらないよ、とは言われてなかったのである。なのに、なんとなーく気が抜けちゃって家族皆でだらだらだらと朝寝敢行。
「いーのいーの、こうなったらぎりっぎりまで寝て、職場のそばで適当に買い食いするから」
と、寝ぼけた声でだんなに言われたものだから、更にだらだらだらと朝寝続行。息子もぐーすか寝ているのを良いことにのんびり洗濯してのんびり掃除して、そして遅めの朝御飯……というか、早めの昼御飯。

デニッシュブレッドが残っていたので軽くトーストし、卵サンドにすることにした。卵茹でてー、刻んでからマヨネーズでじゃじゃじゃっと和えてー、卵を茹でている間にお茶の準備。アールグレイの茶葉にセイロンティーを混ぜてアールグレイ臭さをちょっと少なくしたものを淹れ、氷みっちり詰めたグラスにだばだばだーとお茶を注いでから牛乳も入れる。横でその準備を張り付いて見ていた息子が
「ぼくも、そのお茶、そのお茶が飲みたいなんだよー」
と言ってきたので、ほんとにいいのか知らないぞ?と言いつつ息子も同じミルクティー。想像通り、一口飲んだ息子はちょっと口の端をゆがめていた。

「おかーさんおかーさん、このお茶ね、なんか、ちょっと、においがするよ?」
「そうそう、匂いのするお茶いれたからね」
「なんかね、僕はね、くさいなぁ……って思うよ?」
「それを"いい匂い"と思うようになったら大人ってことだな、うん」
「くさいなぁ……」
アールグレイの良さは、息子にはまだまだまだまだわからないようだ。

鶏肉のバジル炒めかけ御飯
きのこのスープ トムヤムクン風
グリーンサラダ
ビール・麦茶
マンゴスチン

なんとなく、東南アジア系の味のものが恋しくなっていた今日この頃。ベランダに植えてあるバジルが良い感じに葉をつけはじめたので、枝の分岐を作りつつ収穫してみる。
「鶏肉とパプリカと一緒に炒めて〜、タイ風かけ御飯〜♪」
とメニューも決定し、明日のお弁当の仕込みも兼ねて台所で動き始めた。

まずは深さ数ミリ程度にサラダ油をフライパンに満たし、卵を揚げ焼きにする。黄身が半熟になるくらいに火を通したら卵は除けておき、油はちょっと減らしてから薄切りにんにくを炒める。鶏肉とパプリカを順に放り込んでせっせと炒めたら、半カップほどのスープにナンプラーとオイスターソースを同量くらいずつ合わせ、砂糖をちらりと入れた合わせ調味料を流し入れる。火を止める寸前に、バジルをぶわっと混ぜ合わせたらできあがり。御飯の上に鶏炒めをぶっかけ、卵を添えて完成〜。

ナンプラー味のバジル入りの炒め物は大好物なんだけど、どこかの本で見かけたナンプラーと塩、あと隠し味程度に砂糖を入れるだけの調味料ではどうにも物足りないなぁと思っていた。改めて「タイ・バジル・炒め・ナンプラー」なんてキーワードで検索してみると、オイスターソースを入れるレシピが数多く見つかり、「そうか!あれはオイスターソースの味だったのか!」と今回初めてナンプラーとオイスターソースを合わせて使ってみた。そうそう、こんな感じ、こんな感じを求めていたのよー、という理想に一歩近づいた味に。

御飯に合わせて、スープもほんのりタイ風。顆粒鶏がらスープを湯に溶いて、残りものだったエリンギと舞茸をぽいぽい放り込んで軽く煮こみ、ナンプラーとレモン汁で味を調える。もうちょっと酸っぱくて、もうかなり辛かったらトムヤムクンっぽいかもね、という味に。
母にこういう味のものを出したのは、これが初めてだったような気がする。
「あらー、これ、なに?初めて食べる味だわ。……これが?バジル?……ふーん」
と、面白そうにつつきまわし、それでも全部平らげてくれた。もとよりだんなと私は綺麗に完食。

そしてそして、今日のデザートは「フルーツの女王様」と言われているマンゴスチン。「王様」がドリアンであるのはけっこう有名だけど、女王様というのはあまり言われていないような気がするけれど、私はこのマンゴスチンが大好物で大好物で大好物で、南国に旅行に行ったときには密輸入の欲望といつも必死に戦っていた。これまでは虫がつくとか病気が来るとかいう理由で、生のマンゴスチンは日本にやってくることができず、冷凍ものだけが1個400〜500円といったバカげた値段で売られていただけで、それゆえにインドネシアあたりに旅行に行くときは1抱え300円くらいで購入できるマンゴスチンをせっせと買い込み、ホテルで食べたりしていた。

それが!先日行った新宿伊勢丹デパートでは山のようにタイからやってきた冷凍じゃない生の果実が売られていて、しかも同じ日に近所のスーパーに行った母も同様に生のマンゴスチンを発見していた。私は1パック3個入り1000円のそれを意気揚揚と買ってきて(安くはないと思いつつ……)、母は母でスーパーで1個180円くらいだったというそれを1個だけ買ってきてくれていた。私の手元には4個のマンゴスチン。ちょうど家族は4人だし、と食後にナイフ持って「マンゴスチンよマンゴスチン、マンゴスチンを食べるわよー」と雄叫びあげつつ皆でつまんだ。

赤紫の丸っこい可愛い固い皮(というか殻)に包まれた実には、これまた丸くて可愛らしいヘタがついている。深さ5mmくらいにナイフの刃を、横中央に一周ぐるりと入れてから上下にひねりつつ殻を外すと、中には白い果肉が詰まっている。甘くてほんのり酸味もあって、独特な甘い芳香のあるマンゴスチンは、やっぱり好みの味だった。熟した美味しい果実は本当に甘くて本当に香りが良くて、大好物なはずの完熟の白桃を越えるんじゃないかと思うほど好みの味。さすがにそこまでの美味しさはなくて、ほのかに酸っぱい果実だったけれど、それでもとても嬉しかった。そうか、知らないうちに日本でも生のマンゴスチンが食べられるようになっちゃったのね……。

7/15 (火)
お昼御飯。"カフェ風"を狙ってみました。
マンゴプリン
アイスカフェオレ

今日は早起きしておべんと作成。昨日のうちにほとんどの仕込みを終えていたので、今朝は卵焼きを焼くくらいしかやることがなかったけれど、それでもあれこれ美しく詰めようと努力している間に30分ほども経過してしまった。今日は私と息子もだんなと同じものを昼食に食べる予定。

朝御飯は、だんなには厚切りのバタートーストにベーコンエッグを添えたもの。私はお弁当作っている間になんとなく満腹感を感じてしまったので、買い置きのマンゴプリンを1個。見つけるたびにせっせと買い込んでしまっているマンゴプリンだけど、賞味期限が間近なもの(ケーキ屋さんのものとか)から平らげていると、賞味期限が3ヶ月先6ヶ月先のものは全然食べられなかったりして。まだまだ冷蔵庫の中はオレンジ色の物体がざくざくと……。

いなり寿司・納豆巻き
鶏肉とにんじんの甘辛煮
卵焼き
ピリ辛キュウリ
アイス烏龍茶
 で、カフェ風ワンプレート飯を演出

「Jean-Paul Hevin」のチョコレート

「毎月15日は特売セール」なスーパーに朝から行ってみたり(冷凍食品が4割引でしたよ奥さん!)、区役所に行く用事を片づけてみたり。午前中にぱたぱた動いていたおかげで、お昼には良い感じに空腹になった。

今日のお昼は私も息子もだんなとお揃い。お弁当箱には詰めずに、"ワンプレートディッシュ"っぽくしてみることにした。油揚げをふくふくに煮て、胡麻を混ぜた酢飯を詰めたいなり寿司、素飯が残ったので適当に作った納豆巻き。甘辛く煮た鶏肉とにんじんに彩りにと茹でたブロッコリーを混ぜたもの。刻んだキュウリに醤油や胡麻油や赤唐辛子を混ぜた辛いタレを熱してジュワッとかけた漬け物代わりの小皿と、あとは卵焼き。
「こう……大きな皿に小皿に入れた料理をちょこちょこっと盛りつけるのがカフェ風……って感じ?」
と、ろくに"カフェ"なるものも行ったことがない分際でちょこちょこと盛りつけてみた。一見美しく盛りつけられたけど、いなり寿司がなんだか巨大で台無しっていうかー。

自家製いなり寿司は、スーパーなんかで買ってくるものほど甘ったるくなく、なかなか好みな味にできていた。直前に少しも料理することなく、既にできあがったものを盛りつけるだけの昼御飯は、手軽でシアワセ。その分昨夜とか今朝にあれこれ作業していた事も忘れて、
「お弁当、いいねー」
「ぼくはねー、おいなりさんが、大好きなんだよー」
とへらへらしながら食事を済ませた。

で、デザートに「Jean-Paul Hevin」のチョコレート。先日新宿をぷらついたときに、伊勢丹の地下にあるショップで買ってきたものだけど、一緒にデパ地下を散策したTさんに
「私がパリで一番好きなショコラ・メゾンなんですよー」
と教えてもらって買ってみたお店だ。マカロンがお勧めらしいけれど、この湿気の多い季節にモハモハした食感のマカロンもちょっと……と、バラ売りのチョコレートのショーケースに張り付いて、数粒買ってきてみた。1個なんと250円!1個だったら大した金額にも思わなかったけれど、
「2粒買うと……うーん、牛丼より高いのか……3粒だと……おお、そのへんの店の昼定食くらいになるなぁ……」
と、あれ下さいこれ下さい言っている間に怖くなってきてしまったりした。20個のチョコレート(その気になれば10口くらいで食べられてしまいそうな分量の)を買うと5000円と思うと、この季節なのにかなり背筋は冷たくなる。

ドアマンがいて、薄暗い店内はチョコレート屋というよりもアクセサリーショップか何かのようで、チョコレート色の保冷袋に詰めてもらったチョコレートは食べ物というよりやっぱり宝石か何かのようだった。改めて今日、皿に並べて眺めてみる。バニラ味とかココナツ風味とか、あれこれ選んで1粒ずつ買ってきたのだけど、外見からは何が何やら状態だ。

「あー!ちょこだ!チョコレートだおかーさん!」
という息子に、さすがにこれだけはやれん、と心が狭い私(だって一粒250円……)。
「これはねー、大人用のチョコレートだから、すっっっっごく苦いの。大人用なの。君にはほれ、あれ、キットカットのお徳用袋から小袋1つをあげるから。ね?」
と持ちかけてみると、チョコレートだったら要するに何でも良いらしい息子はキットカットの袋と小さなチョコ1かけの大きさを見比べた後、満足そうにキットカットににじり寄って行った。しめしめ、と私は一人そのチョコレートをひとつ。

ふわんと口の中で溶けていくチョコレートは、確かに絶品な味だった。
「15度前後で保存してくださいねー」
というお店の人の言葉に「それは無理だー」と内心呟きながら冷蔵庫に保存してしまっていたのだけど、常温にちょっと出しておいただけでホロホロとした溶けそうな食感になってしまう繊細なチョコだった。アイスティーごときを傍らにして食べては申し訳ないような上品な味がする。ましてやいなり寿司を食った食後にこのチョコというのも、やっぱりチョコに対して申し訳ないような気分になってくる。
このチョコは、こう、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェあたりになった気分で(マリーアントワネットでも可)、
「食事の前に、熱いショコラを一杯くれないか?」
なんていうノリで食べなければいけないような感じ。とりあえずいなり寿司と組み合わせるものではないということは、わかった。Tシャツ短パンで食べるのもよろしくない、という感じ。……勿体なくて残りの数粒はしばらく食べられないよ、これじゃ……。

鶏肉の塩胡椒焼き乗せ アルフレッドスパゲティ
ローストビーフのサラダ
ビール

昨日今日と、この町にある大きな神社のお祭りなのである。朝からピーヒョロピーヒョロと笛の音やら御輿の音やら続々と集まる人の声やらが聞こえてきたけれど、何だか今年もものすごい人出なようなので家から参道の方面をにょろりと眺めるだけに。

夜店の焼きそばや唐揚げなどで夕飯を済ませても良いかなと一瞬思ったのだけど、あまりの値段の高さにおとなしくスパゲッティを茹でることにした。唐揚げ1皿500円、大サイズは800円。わたがしも600円、アニメの袋に入ると800円。スーパーボールすくいも300円から。あああ、100円玉一枚で何でもできた時代は、もういつのことやら、という感じで……。

で、スパゲティを茹で茹でし、クリームソースを作ることに。アメリカでさんざんお世話になったアルフレッドソースを作ることにする。生クリームを1パック全部鍋にだばだばだーと入れてバター落として軽く煮詰め、本当はパルメザンチーズを入れるところ、パルメザンチーズが買えなかったので代わりにトースト用のスライスチーズを入れて溶かしてしまう。乳製品だらけのクリームクリームしたそのソースを茹でたパスタに絡めて完成。ちと物足りないので上に塩胡椒してオーブンで焼いた鶏肉をトッピング。それに1パック(200gくらい入り)200円という超特価のローストビーフを乗せたグリーンサラダ。よく考えたらチョコ1かけよりローストビーフがお安い(←まだチョコの高価さを引きずっているらしい……)。

「すみませーん、パルメザンチーズが売ってなかったからスライスチーズで代用したんだけれども……」
と苦笑いしながら白いソースに絡まったパスタをテーブルに出したら、
「ん、いーんじゃない?アルフレッドソースってけっこうジャンクな味だったりするし」
とだんなが笑いながらもりもりと食べてくれた。確かにほんのりジャンクな味だったけれど、それはそれということで。

7/16 (水)
人形町の豆腐屋さんのスペシャル定食
「Johan」のチョコブレッド
牛乳

今日はお仕事の打ち合わせで、人形町。短い時間で済みそうだということもあり、8月までは幼稚園も保育園も定まらない息子も同行させていただくことになっている。1時間もすれば終わるだろうから、今日は終わったら博物館に行こうね、と約束している。

朝御飯は、「Johan」のチョコブレッド。昨日の夕方、お義母さんが
「ほほほほほ!千葉の三越で買ってきたわ!」
と、コーンパンと一緒にお裾分けしに来てくれたもので、こりゃいいやとざくざくスライスして食べることに。
甘くもちもちした独特の食感の甘いパンを薄く一切れと、牛乳2杯。では、お出かけしましょー。

人形町「双葉」の
 スペシャル定食 \1000
 (揚げだし豆腐・黒胡麻豆腐・煮豆・サラダ・味噌汁・御飯・沢庵)
人形町「柳屋」の
 小倉もなか

人形町での仕事が終わったのは11時50分頃。せっかく人形町にいることだし、どっか美味しいところで食べたいねぇ……と息子と一緒に町をぷらぷらとしてみるものの、サラリーマンのランチタイムと重なってしまって、どこも大変な混雑になってしまっていた。親子丼で有名な「玉ひで」はサラリーマン以外のお客さん(いかにもな観光客風の人々……)で今日も大行列だし、一度行ってみたいと思っていた洋食屋さんの「キラク」も、店の外に行列ができている。

「ん〜……でも、洋食って感じじゃないんだよねぇ。なんか、御飯の定食が食べたい気分……」
と甘酒横丁をぷらぷらした挙げ句、一度入ったことがあるお豆腐屋さんの二階の居酒屋に入ることにした。夜は日本酒各種を揃えた居酒屋だけれど、昼は食券制の定食類を出している。サラリーマンにはそこそこ人気なようで、12時半あたりには満席になった。なんでも、明治40年創業のお豆腐屋さんだとか。

注文したのは、「どうせ息子が横から食べるし」と、一番品数の多いスペシャル定食。見本が食券自販機の横に置かれていたけど、本当に大豆関連のおかずばかりの定食だった。葱を挟んだ揚げだし豆腐と、練り胡麻の甘いタレがかけられた黒胡麻豆腐。薄いだしで含め煮した大豆の煮豆と、コーンやワカメが入るサラダ。御飯と沢庵に、味噌汁の具は豆腐と油揚げ。
揚げだし豆腐はだしにお酢が入った、けっこう酸味の効いたもの。黒胡麻豆腐のタレもほんのりと酸っぱく、サラダのドレッシングは口が「*」の字になっちゃうほどに酢の効いたものだった。
「大豆料理に、お酢がたっぷり……健康になりそう」
と、ちょっと笑ってしまいながらも素朴な味のお豆腐や豆を堪能する。

息子にはサービスで小さなお碗1杯分の御飯をつけてくれたので、
「揚げだし豆腐、食べなー、お豆もあるし」
「味噌汁も、飲む?」
と横の席の息子にあれこれ料理を回してみる。想像以上に息子は真剣に豆腐料理に取り組んでくれちゃって、揚げだし豆腐の1/4と煮豆半分、味噌汁は7割くらいが持って行かれた。……もしかして息子用に別途「揚げだし豆腐定食」とか取った方が良かったかなぁ?と思いつつ、私の腹具合もちょっと物足りない状態になってしまったので、デザートに同じ甘酒横丁内にあるこれまた老舗のたい焼き屋さん「柳屋」に寄っていった。

12時半頃にオープンするこのたい焼き屋さん、通りかかるといつも数人が列を作っていて、けっこう多くの人が10個だの20個だのと盛大な量を注文するので辛抱して待たなければならない。たい焼きより、一度食べてみたかったもなかが食べてみたかったので、行列の脇から
「すみませぇ〜ん、小倉のもなか、ひとつくださいー」
と店内のおばちゃんに声をかける。はいよ、と竹のざるに乗せられて渡されたもなかをわしっと掴み、それっと店頭に移動して街路樹脇の柵に寄っかかって息子と二人で並んで食べた。

サクサクほろほろの皮に挟まるのは、ミルク分少なめなさっぱり味の小倉アイス。小倉アイスと小倉かき氷の中間のような味で、でも粒子は全然かき氷チックではなく、モロモロと軽く溶けていく細かな細かなさりさりとした食感。甘さがけっこう控えめな、素朴な味だった。ん〜旨い。近所に勤めていたりしたら、週に3回は買ってしまいそうだなぁと思いつつ、「よこせー」「ぼくも、ぼくももっと食べるー」と親子で奪い合いながら1個の最中を食べきった。

近所の「牛角」にて
 枝豆
 にんにくのホイル焼き
 網焼きとうもろこしの醤油味
 王様ソーセージ
 厚切り牛タン(塩ダレ)
 ねぎタン塩
 熟成ハラミ(塩ダレ)
 厚切り豚バラのサムギョプサン サンチュ盛り付き
 塩にんにくちゃっく
 中落ちカルビ(タレ)
 熟成ハラミ(タレ)
 ガーリックバターちゃっく
 焼きおにぎり
 牛角風盛岡冷麺(ハーフサイズ)
 冷やし牛角麺(ハーフサイズ)
 マンゴープリンdeバニラアイス
 もなかアイス(バニラ)
 生中×2
 桃&生グレープフルーツ
 夏みかんサワー
 コカコーラ・カルピス
……を家族3人で。……食べ過ぎ……

仕事は昼には終わったものの、それから食事して、それから葛西にある「地下鉄博物館」なぞに行ってみたのだけど、それがなかなか楽しい博物館で息子が2時間以上剥がれなくなってしまった。本物の操縦席を使った「電車でGO!」的なものもいくつかあるし、ぐるぐる走っている模型もあるし、昭和44年まで走っていたという銀座線の車両が飾られ、中に入って座ったりすることができるし。中には、営団地下鉄を定年退職したようなおっちゃんたちが働いていて、
「もうすぐ模型電車を動かしますよぅ」
「この地下鉄はね、君のおかーさんが産まれる前くらいに走っていたものでね……」
「ほら、運転できるよ?やってみるかい?」
と、ぼーっとしているとあれこれ声をかけられる。遊びに来る人も電車が好きで好きでたまらないという小さなお子さんや大きなお子さんだったりするけれど、働いている人もまた「僕ぁもう、電車が好きでねぇ……」という感じ。鉄分多めな空間だった。

数時間いたらさすがに疲れてしまって、息子を諭してひきずるようにしながら帰宅。そういえば我が家のパソコンのセッティング作業の途中だったんだっけ、と修理に出していて戻ってきたデスクトップマシンの復旧作業をせっせとしていたら、すぐに夜になってしまった。夕飯は近所の焼肉屋に行ってしまうことに。にんにく嫌いな母はパス。家族3人で、チェーン焼肉屋の「牛角」に向かった。

焼き肉というものは、なかなか遠出して食べに行くという気分になれない。散々飲み食いした後、徒歩か、せいぜい電車数駅程度で帰宅して、
「あー、喰った喰ったー」
「もう寝るぞー」
「……シャワーだけ浴びてからね。……寝るぞー」
とほとんど何もせずに倒れ込むのが気持ち良かったりして、だからこと焼肉に関しては「出無精」になってしまっている我が家。牛角は、一家でこれでもかと食べてもまず1万円を上回ることはないし、サービスも悪くないし、味は……値段相応ではあるけど、そのジャンクな怪しいメニューはけっこう好み。にんにくがっちょり系も多く、デザートも180円しかしない割には美味しいし。

「さー、食べるぞー」
「飲むぞー」
「ぼくもね、お肉食べるんだよー」
と箸と小皿と炭を前にして、食べた食べた食べた。今日は息子もよく食べた。ほんの数年前までは「ソーセージだけ!ソーセージがいいの!」なんて言って事実それしか食べなかった時期があったのだけど、タンもカルビもハラミも良く食べた。とうもろこしは半分以上が息子の腹に収まったし、骨つきの巨大なソーセージ(その名も「王様ソーセージ」だし)も私とだんなは味見程度に1切れずつ貰えただけだった。息子のせいだけではないと思うけれど、「大丈夫大丈夫、1万円はいかないし」と呪文のように唱えていたお会計は、9890円くらい。……そりゃ、確かに1万円いかなかったけど……たべすぎ?

網にバターとにんにくが入った小鍋を置いてバターを溶かし、それににんにくをこれでもかとまぶした"ちゃっく"(オーストラリアやアメリカで言われる肉の部位で、ロースとかバラとか、腕の部分の肉であったりするらしい)を炙ってからそのバターにつけて食べたりする。「これもね、炙って食べると美味しいんですよー」と勧められた枝豆も、普通に茹でられたやつを鞘の部分をこんがり焼いてから食べたり、ハケつきの醤油がついてくるとうもろこしや焼きおにぎりを、醤油ぺたぺた塗りながら焼いてみたり。昼に精進料理のようなもの食べたからってわけじゃないと思うけれど、今晩の私たちはちょっと凄かった。1万円を超える日も近い……(いやん)。

7/17 (木)
大皿惣菜 居酒屋 遊(船橋)にて、昼定食〜
「Johan」のチョコブレッド
牛乳

今日のだんなは、お仕事お休み。現在上映中の「ターミネーター3」の前売り券2枚が手元にあるのでそれを見に行こうという予定だ。息子はお義母さんがみていてくれることになったので、朝食を済ませたところでだんなの実家に「どうぞよろしくー」と息子を置きに行った。

朝御飯は昨日と同じく「Johan」のチョコブレッド。アイスコーヒーもアイスティーも切らしちゃったのよね、と牛乳をだばだーとコップに注いでぐびぐび飲み干したところで、
「そうだよ!こういうときのために"ミルメーク"があるんじゃない!」
と、バナナ味だのピーチ味だのがあるその存在を思い出した。そうだよ、こういうときにこそミルメーク……(でも手遅れ)。

船橋ららぽーと内「大皿惣菜 居酒屋 遊」にて
 昼定食
 (牛タンシチュー・鶏のモツ煮込み・温泉卵・ご飯・味噌汁)

映画を見に行ったのは、船橋にある"ららぽーと"。午後最初の回まで少し間があったのでショッピングモール内をぷらぷらして、沖縄の食材を扱うショップで「油味噌」を買ってみたり、九州の食材を扱うショップで「とんこつドレッシング」を買ってみたり。久しぶりに息子がいない、だんなと二人の外出だけど、やっていることはいつもとあまり変わりなかった。

上映開始まであと1時間となったあたりで、「とりあえず何か腹に入れてから映画見ようか」と、いくつかのお店の前を通り過ぎた後に、チェーン店っぽい居酒屋でやっているランチ定食を試してみることに。5〜6種類揃っているAからCまでのおかずから好みのものを1種類ずつ、合計3種類選択できるようになっている。その気になれば全種類野菜だらけにすることもできるし、唐揚げとコロッケと……という選択もできたりする。だんなは豚の角煮と揚げだし豆腐、温泉卵という組み合わせ、私はタンシチューと鶏モツ煮込み、温泉卵という組み合わせ。

「おゆきさんの料理……一見すると肉っぽいけど、肉じゃなくて内臓肉ばっかりなわけね……」
とだんなに苦笑されながら、アルコール片手に食べた方がおいしいんじゃなかろうかという内容の料理を食べた。そこそこ本格的な味のするタンシチューと、味噌味のモツ煮込み、そしてシンプルな味の温泉卵。御飯と水が進むおかずだ。

「なんかさ、居酒屋の昼定食ってそそられるんだよね」
豚の角煮をつつきながらだんなが言うので、
「そうそう、けっこう美味しいんだよね。これがさ、味つけが濃いめになっていたりしてね」
と返したところ、
「そうか!そうだったのか!」
と、目の前のわが夫は目からぼろぼろと鱗を落としまくっている。
「そうかー、なんか、"居酒屋の昼定食って好きだなぁ"って漠然と思っていたけど、そうだったのか!単に濃いめの味で俺の好みだったのかぁ!」
そうかそうかそうかー、っと納得しまくっているだんなの前で、「いや、別に味が濃いってだけが理由じゃないと思うけどね……」と呟く私の前に並べられたおかずは、やっぱりどれも濃いめの味つけだったりして。

M井さん来たりて、我が家で宴会
 ひつまぶし(米4合)
 茄子の揚げ煮
 枝豆
 ビール、冷茶

で、「ターミネーター3」を見て帰ってきたわけだけれども、
「すごかったね……」
「うん、映像は……すごかったね……」
「でも……救われないね」
「後味……悪すぎだよね」
と、微妙にもにょもにょした気持ちを抱えて帰宅。息子はというと、おばあちゃんと一緒に動物園に行って来たらしく、ゴリラゴリラゴリラ、ゴリラ見たんだよー、と帰宅するなりゴリラを連呼していた。

今日の夜は、友人M井さんが遊びに来ることになっている。
先日購入した、3尾800円なる格安の鰻の蒲焼きがあったので、これを使って"ひつまぶし"をすることにした。御飯4合も炊けば、多分足りるだろうと米をざくざく炊く。ひつまぶしだけじゃちょっと物寂しいしと枝豆を茹で、茄子の揚げ煮もちょこちょこっと作っておく。午後8時を過ぎた頃に、今日も大荷物なM井さんがやってきた。上着を預かってハンガーにかけると、胸元あたりのミニポシェットからカッターナイフが降ってきたりする(←なんでそんなところにカッターがというと、「使いたいときに5秒以内で出てきてくれなきゃ困るでしょう?」てな理由だそうで、カッターに限らずそれはそれは色々なものが上着の下に隠されている)。

我が家に来ると、串揚げを自分で揚げろだの、生春巻を自分で巻いてみろだの、とりあえずネギは自分で刻めだの餃子包めだのとと色々な体験を余儀なくされるM井さんであるけれども(わざとそういう料理を選んでいたりもする)、確か「ひつまぶし」は初めてだったと思う。我が家最大のサイズの巨大ココットケースにみっちりと、御飯を詰める→刻んだ鰻乗せる→タレかける→御飯詰める→くりかえし、という物体をつくりあげ、
「まず、混ぜまーす」
「そして、最初にまずはそのまま食べまーす」
「薬味乗せて、食べまーす」
「最後はお茶漬けで食べまーす」
「……と、第3フェーズまで移行しながら食すわけですが!各フェーズの滞在時間はご自由に、という感じで……」
とレクチャーしてから、ひつまぶし。

おいしうございます、とさらさら食べ始めたM井さん。
「僕は、薬味乗せが一番好きだけどねー」とだんな、
「いや、うな茶が一番だよね、うな茶が!」と私。
刻み海苔と刻み万能ネギとおろしわさびを乗せた、薬味乗せの状態の碗(うな茶には未移行)をかっこんでいたM井さんは
「うむ、わたくし的には、この薬味乗せがなかなか心に……」
と呟いていたくせに、数分後にうな茶を食べた直後に
「……あ、申し訳ございません。お茶漬けが一番おいしうございます……」
変わり身早いです、M井さん。

食後、M井さんの「やることリスト」メモをちらりと眺めたところ、
「ズボンのすそあげ」
という文字が。え?自分でするんですか?お店で無料でやってくれません?と私とだんなが詰め寄ると、
「裾あげは自分でいたします!」
と大宣言している。ズボン買ったその場ですぐ裾上げしてくれるなら頼むけど、数日後に取りに来いという状況は我慢ならないのだとか。
「んー、でもね、こないだ、裾上げ1週間って言われたんだけど、その店"スーツ2着で1万3千円"ってやってたよ。……まぁ、スーツの柄ってM井さん好みのじゃなくって、すごく地味な無地か、あとはせいぜい地味めなチェックっぽい柄とか……」
「わ、わたくしは!チェックなど着ない!」
今日も名言を残してくれたM井さん。彼はチェック柄の服は絶対に着用しないそうです。好きな色は紫ってことで。

7/18 (金)
色鮮やかなバラちらし (昼御飯)
M井さんと一緒
 ベニエ
 チコリコーヒーのカフェオレ

昨夜遊びに来たM井さんは、やっぱり昨夜も泊まっていった。
朝御飯は、ちょっと珍しいものを食べさせてみようということで、ニューオーリンズ名物の揚げドーナツ、「ベニエ」。これを作ろうと昨日の夜から決めていて、揚げ茄子を作った時の揚げ鍋はそのままコンロの上に置いてあった。

「……で、朝御飯、ちょっと甘いものでも良いですかね?いや、"ダメだ"とか言っても変更できなかったりするんですけれどもね」
起き抜けのM井さんに伝えたところ、「いや、わたくしは、甘いものはちょっと……」と呟く声が聞こえたような聞こえなかったような気もするけれど、そこは気にせずそのままいくことにする。

ベニエミックスに水混ぜてこねてまるめてのばしてカットして揚げるだけ。仕上げに粉砂糖をたっぷりと。同じくニューオーリンズ名物のチコリコーヒーも濃いめに準備し、氷をみっちり詰めたピッチャーに一気に注いでアイスティーに。冷たい牛乳を半々にして飲む。
分量は間違えていなかったはずなのに、今日の生地はやたらと柔らかなものになってしまった。打ち粉をたっぷり振ったのに、まな板の上に生地がぺたぺたひっついてしまい、苦心しながら剥がして揚げたものだから全体的に不格好なベニエになってしまった。味はそれでも、ちゃんとベニエ。薄いと「揚げせんべい」になっちゃうけれど、厚くてちゃんともっちりもったりしたものになってくれた。

砂糖をぱさぱさと払いながら食べていたM井さんも、そこそこ美味しく食べてくれたようだ。ベニエ、美味しいでしょー。朝からこれはどうかと思うけど、我ながら。

新宿 「寿司処しゅん」にて
 ランチ限定 バラちらし

一昨日に伺ったはずの仕事、どうやら些細な設定をやり残してきてしまったらしい。
「では金曜日にうかがってささっと設定させていただきます!」
とお話してあったので、息子と二人、今日もまた人形町に向かった。作業は実際十数分で終了し、午前11時過ぎにはすっかり暇な身に。

「池袋のデパ地下でも探索してみようかなぁ……渋谷とか……あとは横浜?」
なんて考えているうち、
「そうだよ、新宿のOZONEで"大茶会"とか始まったんじゃなかったっけ?」
と思い出し、いっちょ行ってみるかと新宿に地下鉄を乗り継ぎつつ向かう。

道中、息子に
「お昼御飯なにがいいですかー?」
と聞いてみたところ、即答で
「たまごのごはん」
と言われてしまい、電車内でハニワ顔になってしまう私。いや、卵の御飯はね……定食屋とかあるいは吉牛に行ったらありかもしれないけど、ちょーっと難しいかなぁ……とごにょごにょ諭してみたところ、今度は
「じゃあね、たまごのおすし」
と言われてしまった。卵が恋しいのねいいわよわかったわよ、と、とりあえず新宿パークビルに向かってしまい、地下の飲食店街で寿司屋を探す。オフィスビルだし、1軒くらい適度な値段な寿司屋が入っているだろうと踏んでいたところ、ちゃんと1軒そういう店があった。ランチちらしは800円だそうで、「これ!」という感じ。私はバラちらしで、息子には卵の握りを2貫。ほどなく、派手な器がどどんと目の前にやってきた。

山牛蒡の漬け物に、粕漬け、レンコンの酢漬けが飾られ、あとはトビコと卵と各種魚介とキュウリとネギなどがぶわーっと混ぜられた彩り豊かな具が寿司飯の上に乗せられている。白身魚や海老、タコなんかが入っていて、なかなか食べ応えがあるしなかなか美味しかった。かたくなに卵を食べたがっていた息子は、真剣な面もちでサービスでつけてくれた味噌汁を傍らにがっつがっつと卵の握りを平らげていく。「うどんとか、スパゲティとか、コロッケとかー」と色々選択肢を指定してやったのに「卵の握り(と卵の御飯)」が食べたかったそうなので、これからは我が家で飽きるほど卵御飯をやってやろうと密かに決意したりした。

で、食後は数時間かけてその「大茶会」の散策。連休中が一番盛り上がるらしく、まだまだ今日あたりは前哨戦という雰囲気ではあったけれど、館内至るところにお茶グッズ屋さんが出没していて楽しかった。数ヶ月前に、お気に入りだった中華チックな柄の陶器の急須を割ってしまい、その代替品をずっと探していた私。

200ccくらいの容量で、日本茶を飲むような急須ではなくて、かといっていかにも紅茶用というものでもなくて、さりとてバリバリ中国茶用というものでもなくて、できれば陶器で、超シンプルに無地か、あるいは好みの柄がうるさくない程度についていて、変にとんがったデザインではなく、できれば中に好みな具合の茶こしの網がついていて(網部分がやたらと小さかったりするのはパス)……と、細々とした理想があって、あちらこちらでアジアグッズ屋さんとか食器屋さんを歩いていたのだけど、好みのものは少しも見つかっていなかった。
このイベントだったらあるいは、と思ってきてみたのだけど、うれしいことに、私の理想が!

"フロンティア"という会社のブースらしい、小さな販売スペースで見つけたそれは、理想のものより若干小ぶりではあったけれど、マグカップ1杯分のお茶はなんとか一度にいれられそうな感じ。ほんのり青みがかった白磁の急須で、ラインはなんとなく功夫茶のポットのようでいて、でも洋風な匂いもある。片手の手のひらにすっぽり収まる揃いの素材の茶杯も中国茶のそれよりはほんのり大きく、日本茶の湯飲みほどには大きくなく、微妙な具合良さがあった。
何しろ白一色なのが好みだし、しかも、蓋からカップ型に垂れ下がるような茶こしではなく、注ぎ口の根本にぴたっと貼りついている茶こしが取り外し可能な状態でつけられている。しかもしかも、値段は1800円と、お手軽だった。
ああ、新宿に来て良かったよー、とポットと茶杯2つをお買いあげ。イベント散策中に、「ちょっといいな」と思った南部鉄器の急須が5000円は軽くするものだったり、更にいいなと思ったちょっと変わった風合いの金属製のポットが4万円以上したりして、「買えるもの、ないじゃん!」と暴れたくなる心境のところだったので喜びもひとしおだ。

イベント会場内、7フロア分を使ってのスタンプラリーなんかもやっていて、いつもなら「はやく帰ろ?」とつまんなさそうにしてしまう息子も、
「スタンプ!スタンプあったよぉー!」
とおおいにつきあってくれたのも幸いした。楽しいイベントでした。きっと週末はすごい人になるんだろうなぁ……。

「パークハイアット東京」の
 夏野菜のオーブン焼き
 栗のテリーヌ
 白桃のコンポート
枝豆
茄子の揚げ煮
冷やしトマト
パン
ビール

だんなは本日飲み会だそうで、新宿で買ってきたのは「パークハイアット東京」のお総菜類。なんでもつい数週間前くらいに、パークハイアット東京にデリコーナーができたらしい、とどこかで読んだ雑誌に書いてあって、ほんのり気になっていたのだった。好みのポットが思いのほか安く手に入ったことにすっかりご機嫌で、「味見ね、味見。多分買うのはこれ一回だけ。……高いから」と呟きつつ、ちょこちょこっと買い物してみた。陶器の薄いココットケースに収められた夏野菜のオーブン焼き。1切れ800円という値段の栗入りのテリーヌ。シンプルな外見だけど、それはそれは美味しそうに見えた白桃のコンポート。少しずつ買ったはずなのに、会計はあっさり2000円を超えてしまって、ビビりながら買ってきた。白い角皿に、長いままのアスパラガスのグリルがビシーッと並べられていたりして、サラダもディップソースもなにもかも、すんばらしく美しくて、すんばらしく良いお値段。ああ、やっぱり買うのはきっとこれ一回きり。

で、母と息子と3人で夕御飯。昨夜の残りの茄子の揚げ煮と茹で枝豆があったのでそれを出し、トマトをざくざく切って器に盛りつけ、コーンパンとかチョコブレッドとかピーナッツバター挟んだパンとか、これまでの買い置きものの残りを適当に大皿に積み上げ、あとはおとっときの「パークハイアット飯」。

まぁ、なんというか、「日本のお茶の間」にはすこぶる似合わない味だった。いつもカラスや雀がやってきているような我が家に、突然クジャクが降ってきた、みたいな感じの味。すごーくすごーく美味しいけど、家でビール傾けて食べるのは申しわけなくなっちゃう、みたいな。テーブルクロスも使ってなくてごめんなさい、というような。フォークやナイフじゃなくて、箸つかってつまんでてスミマセン、的な。

ほんのりニンニクの風味が感じられるテリーヌは、豚肉がベースと思われるけど肉とか肉でないようなものとかが、みちっと固まった濃厚な味のもの。常温で置いておくと数分で肉の脂がとろーんと溶けてくるような食感で、中には塊のままの栗がごろりと入っている他にも細かな栗がざくざく入っていた。「キッシュの中身」みたいなココットケース入りの夏野菜は、生クリームとチーズの味がこってり濃厚で、甘く火を通した玉ねぎもどっさり。

コンポートは洋酒の香りがきいた、甘いけれども大人な味のものだった。ごろりと桃半個分のサイズのそれを3切れ買ったのだけど、1人1個、工夫もなにもなく、薄くスライスなどもせず、シロップごと各自の小皿に盛りつけ、フォークでがぶりと食べちゃった。「美味しい桃はその生のままの状態で食べるべし」と思っていたし、今もやっぱり思っているんだけど、ああ、やっぱりコンポートもめちゃめちゃ美味しいです。涙出てきそうに美味しいです。
「……こう、丸かじりして良いもんじゃなかったね」
「なんというか……パンナコッタに添える、とかね」
「もっとこう、恭しく食べないとね」
「ぼく、たべちゃったーおいしかったー」
と約1名を除いて、全体的に「まぁなんて高価な食べ物なんでしょ」とおそれおののきながらの夕食となった。こういう味は、わざわざ買ってきて家で食べなくても、外で食べればいいかな、と……。

7/19 (土)
これが新しいティーポット。かわい〜
台湾茶(霧社高山茶)
黒胡麻のクッキー

パン色々(チョコブレッド・コーンパン)
牛乳(ミルメーク・メロン味)

昨夜は日付が変わる頃まで飲み会だったという我が夫。そのまま都内にある友人M井さんの家に転がり込んだらしい。元々そのつもりでジーパンとTシャツも持って、昨日のだんなは出勤していたということだ。一人暮らしのM井さんの家には、なぜか客用布団が3組あり、しかも「客用衣装ケース」も複数存在しているとか(そりゃ、我が家にも通称「M井袋」(着替え入り)は置いてあるけど……)。
「どうせまた泊まりに来るんでしょう?ワイシャツ、置いてったら?洗濯はしておきますし」
と、M井さんは当日着ていたシャツやらなにやらを預かり、朝食も作ってくれたのだそうだ。……妻として、そこは嫉妬しておくべきだろうか。しないけど。

そういう次第で、久しぶりにだんな不在の夜だった昨夜。今朝もだらだら寝ていれば良いのに、8時過ぎに目覚めてしまった。息子が寝ているのをこれ幸いと、洗濯機を回した後、一人のんびりお茶することに。昨日、新宿パークビルの大茶会の出店で買ってきた、小ぶりのポットと、通常の中国茶用のものよりはちょっと大ぶりな茶杯。香港で買ってきた、ボーンチャイナの楕円皿に乗せたら、色合いもサイズもばっちりだった。うれしくてニヘニヘ笑いながら、おとっときの台湾茶、「霧社高山茶」(むしゃこうざんちゃ、と読むらしい)を淹れて飲むことに。薄い色合いの、ふんわ〜っと軽く上品だけど存在感のある香り漂う美味しいお茶だ。そういえば食べかけの黒胡麻クッキーもあったっけ〜っと棚をがさがさやり、「いいねぇ静かだねぇ……」と、一人のんびりお茶。

が、お茶を一口すすり、クッキー一口囓ったところで、
「なに!?おかーさんは、なにを食べているのかな!?ぼくも、ぼくも食べるよー」
と我が家で一番元気な人が甲高い声をあげながら迫り寄ってきた。あああ、朝の静かな時間もこれで終了ですか?と思いつつ、息子も向かいの席に座ってしずしずとお茶を飲み出した。土曜の午前8時半に母子が向かい合って中国茶啜ってるという図は、なんだか変だ。

で、9時過ぎて朝御飯。非常に半端な量で残った各種パンがあったので、適当に一口二口ほどのサイズに切って息子と半分こ。
「いろんな味があるよー。……どれにする?」
と、バナナだのピーチだのイチゴだのコーヒーだのココアだのというフレーバーが集まったミルメークの小袋を息子と眺め、息子はココア味、私はコーヒー味。台湾茶も美味しいけど、ミルメークも美味しいのよね。

稲毛 「高円寺ナイルカレー」にて
 ハンバーグカレー ゆで卵トッピング

午前10時を過ぎて帰宅した我が夫。朝御飯は食べてきたけど、小腹も空いてきたなぁというので、買い物がてらぷらぷらと出かけることになった。向かったのは、お気に入りのカレー屋さん、「高円寺ナイルカレー」。千葉なのになぜか「高円寺」の名がつくカレー屋さんで(元々高円寺にあったお店だから、ということらしい)、15人も入れば満席になってしまう、大テーブル1つにカウンターだけの小さな店だ。床もテーブルも木製の、ログハウスのような印象の店内には、いつも一昔前の洋楽が流れている。メニューは数種類のカレーの他はオムライスと、カレーソースをかけたスパゲティ、あとはせいぜいサラダくらい。こぢんまりとしているけど、店のあちらこちらや食器なんかに小さなこだわりが感じられて、味も好きだけど雰囲気も好きなお店だったりする。

日本に帰ってきて、最初に食べたのはこの店のカレーだった。ただ、タッパー持ってルーを買いに行ってしまい、その時は家で食べてしまったので、お店で食べるのは1年ぶりだ。
「僕、カツカレ〜。大盛りで!」
「私、ハンバーグカレー。あ、ゆで卵トッピングして」
と、各々ボリューム多めなカレーを注文。しばらくすると、奥から揚げ物をやってる音だとかハンバーグを焼いている音だとかが聞こえてきて、15分くらいしてから皿が並べられた。いつもこのお店、出てくるまでに時間がかかる。作り置きのルーをどばっとかけるだけではなく、ごくシンプルなポークカレーであっても奥で色々と仕込まれた後にやってくる。

ひっさしぶりのハンバーグカレーは、以前より輪をかけて美味しくなっているように思えた。ごろりと大きく、分厚いハンバーグはしっかり自家製。フォークで押し切ると中から肉汁がだばだば出てきて、ハンバーグを覆うように黒いルーがかけられている。辛さはほとんどなく、野菜の甘さが感じられるけれど「甘い」と感じるほどでもないサラサラのルーは、色にもびっくりしてしまうけれど、かなり独特。スパイスがっちょり系のカレーを想像して行くと(ていうか、その黒々とした外見にさぞスパイシーかと思ってしまうと)、「えええええ?」と一瞬思ってしまったりするのだけど、どこか懐かしいような優しい味わい。私もだんなもこのお店のカレーの味が大好きだった。多分、私よりもだんなの方がハマッているのだと思う。いつもカレーが目の前に来ると、「うんめえぇぇぇ」とか呟きながら口数減らして必死に食べてるし。

このお店、オムライスとか、エビメシとかも美味しいんだけど、ついやっぱりカレーを食べちゃうんだわぁ。

牛肉の炒め サンチュ巻き
ニラのジョン
枝豆・茹でとうもろこし
羽釜御飯
ビール
白桃

昼食後はいつも色々安い(でも、"安かろう悪かろう"なものもあったりする)スーパーに行き、色々お買い物。安かったので初めての「ゴーヤ」なども買ってみた。沖縄料理というものをちゃんと食べたことがなかったりするもんだから、「ゴーヤチャンプルー」も、どんな味なのかさっぱりわからない。
「でも、美味しいらしいよー」
「あの苦さがけっこう癖になるらしいよね」
「豚肉と炒めたりとかもするとか?」
と、よくわからないまま籠の中へ。数日以内に食べることにしよう。

今日は、「そろそろ食べないとヤバイです」という風情の焼肉用の牛肉を片づけようと、サンチュを買ってきてみた。焼肉をするほどの気力はなかったので、ざざっと炒めて焼肉のタレぶっかけて胡麻ふって、サンチュで巻いて食べる。大量にある卵の消費と、買い置きのニラの消費を両立させようと、韓国風の焼きものにした。薄力粉と卵と水と塩を合わせた中に刻んだ玉葱とニラと赤いパプリカを放り込み、ごま油を敷いたフライパンの上にぺたぺたと流して広げて押しつけて、こんがりと焼きあがったら酢醤油をかけつつ食べる。どんどん安くなっていくとうもろこしと枝豆も茹で、一見品数はあるけど実はかなり適当な夕御飯。

我が母は、自分一人だけの食事だったら毎食「パンとハムとサラダとコーヒー」で全然かまわない人だったりするので、独身時代とうってかわって料理しまくるようになった私や、学生時代からちょこちょこと料理が好きだっただんななどと一つ屋根の下で暮らすことは、毎日驚きの連続らしい。毎晩のように
「これは……なに?」
と聞いてきては、作り方を覚えようとしているけれど、「ナンプラーを使ってね……」とか、「これはね、バジルをね……」とか知らない食材の名前が出てきたところでデータ処理の限界が訪れるようで、ハニワ顔になってしまっている。母が好きなバイキング飯にも、そういう食材使ったのがいっぱいあると思うんだけれども。

7/20 (日)
デパート内のレストランで、「どて焼き丼」。昼からケダモノくさ〜い…… (昼御飯)
とろろうどん
麦茶

いつも日曜の朝はほのかに憂鬱だったりするのだけど(ああ、週末も早や2日目か……みたいな)、今週は連休。
「日曜大工、しませんか?……いや、明日でも良いんだけど」
「明日にやったら!"日曜大工"にはならないじゃないか!今日やろう!」
と、だんなと私は鼻息荒く、以前からやろうやろうと言っていた「食卓の配置換えに伴う食卓用電灯の移動作業」をすることになった。ドリルでギュイ〜ンと穴をあけたりしなきゃならない、ちょっとばかり面倒な作業なのである。

とりあえず食事をしなきゃ始まらないねと、朝食は気合いを入れてとろろうどん。山芋をすり、冷凍うどんを茹でた後水でキュッと締め、とろろをかけたら上からだし醤油をぶっかけて刻みねぎ散らして啜る。山芋、残すには半端な量だね、じゃあ全部使ってしまえ〜、と調子に乗ってどんぶりに放り込んだら、"とろろをかけたうどん"というより"うどんが絡んだとろろ"という、主従逆な様相を呈してしまった。……気にしない。

千葉パルコ内 「バリオ ゴッサム」にて
 限定パスタセット \1,050
 (和風おろし木ノ子スパゲッティ&どて焼き丼(牛スジの煮込み丼))

とろろうどんを食し、ガリガリバリバリと電灯移動作業を終了した後は、「……無印良品にね、お買い物に行きたいんだけど」と、千葉駅方面にお出かけ。千葉に行くとついつい寄ってしまうヨドバシカメラに今日も寄り、ノートパソコンやパソコン書籍をうっとり眺めてしまったり。朝からとろろうどんを食べたものの、午前中にけっこうな重労働をしたせいで私もだんなも、多分息子も、腹ぺこ状態。「これが食べたい!」という案もあまりなく、何も考えずに無印良品が入っている千葉パルコに向かい、上の階にあるレストラン街をぷらぷら。

「とんかつ屋があるよー」
「うーん、とんかつって感じじゃないなぁ……」
「スパゲッティ屋さんもあるけど……」
「ちがうなぁ……」
と、ぷらぷらした挙げ句、「お!変なメニューが!」と立ち止まったのは「バリオ ゴッサム」というお店。ほのかにアジアな雰囲気漂うお店だけれど、メニューはピザありスパゲティありオムライスあり、と洋食ともイタリアンともつかない微妙な感じ。タコライスなんかもあり、ますます微妙。ジャンルとしては「欧風創作」という部類のお店であるらしい。

目を引いたのは、「本日のセット」と黒板にかかれた「どて焼き丼」の文字だった。「牛すじの煮込み丼」と説明書きも記されたそのセットは、ミニ丼のそれとミニスパゲティのセットであるらしい。これこれ、気になるよ、とこのお店に入ることにした。だんなは同じくランチセットである、「バリオプレート」。オムライスとミートソーススパゲティ、サイコロステーキにサラダのセット、息子には卵とベーコンとチーズの具のナポリピッツァ。品名だけ見るとなんだかすごい量のものがやってくるような感じだったのだけど、ちゃんと食べきれる量がテーブルにやってきた。

さらっと、どんぶりに軽く盛った御飯の上には、ケダモノ臭ぷんぷんの牛すじ煮込み。味噌味でこってりと煮られているけれど、その味噌の香りに負けないほどの独特なケダモノの香りが感じられる。いい感じにゼラチン質ぷりぷり♪と思いながら食べたのだけど、「どて焼き丼?なにそれ?スジ?」と知らない人が食べたら、びっくりしちゃうんじゃないかという強いインパクトのある丼だった。
「……デパートの食堂でこういうメニューって……」
「けっこう勇気あるよね、って思っちゃうね……」
と、苦笑いしてしまいながら、丼の周囲1mくらいにもやもやとすじ臭が漂う丼をかっこんだ。醤油味ベースのきのこのスパゲッティには大根おろしが乗せられて、さっぱり味。こちらはごくごく普通の味だった。

で、ちょっと面白かったのが、息子の分にと取ってやった、ナポリ風ピッツァ。"ナポリ風"とは、皮の端の部分が分厚くてモチモチしていて……というのは知っていたけど、やってきたのは想像を超えた皿だった。"もんじゃ焼き"のごとく、土手のようにふっくら持ち上がったピザ生地の中央の"海"部分にはトマトのソースがたっぷり、水紋を作ってしまいそうなほど水っぽいものが入っていて、卵がかぎりなく生に近い半熟状態でいくつも落とされている。「卵とベーコンとチーズのピザ」というのを頼んだので、更にはベーコンもたっぷりと。ご丁寧にペラ紙の説明までついてきて、「端の部分をつまんで中央のソースに浸しながら食べてください。あとはお好みに切り分けて」なんてことが書いてある。……ナポリ風って、こんな感じだったっけ?(微妙に違う気がするんだけど……)。

端をちぎって、卵の黄身を崩すとあっというまに"堤防"が決壊してしまい、
「わ!せき止めなきゃせき止めなきゃ」
「じゃあ別のところをちぎって……うわ!こっちも決壊!」
と、すっかりピザではない何か別のものを食べているノリに。やっぱり、ナポリ風ピッツァなるものは、ちょっとこういうのとは違う気がする……と大笑いしながらも、味はそれはそれで美味しかったのだ。オリーブ油たっぷりのもちもちネトネトした生地も悪くなかったし、ちょっと塩気が強めのソースその他も悪くなかったし。

枝豆・茹でとうもろこし
ぶりの照り焼き
いんげんのおひたし
大根の味噌汁
羽釜御飯
ビール

たいした事はやっていないはずなのに、なんだか疲れた一日だった。私は買い物から帰ってベッドに倒れ込んだ後そのまま数十分意識をとばしてしまったし、だんなはだんなで夕飯後、「考え事してまーす、考え事して……ま…………ぐー……」と器用な眠り方をして数時間眠りこけてしまったり。
「……夏バテかな?」
「そうだ!これが夏バテだ!」
「なんか、ダルいしね」
と夫婦して騒いでいたところ、仕事から帰ってきた母に「それは絶対違う」と断言された。いやー、食欲ないしー(嘘)。

でも一応、夏バテさをアッピールしようということで、夕飯はちょい軽め。枝豆と茹でとうもろこしというここ数週間定番と化しつつある組み合わせに、ぶりの照り焼き、いんげんのおひたし。大根の味噌汁に炊きたて御飯。そしてコップに1杯のビール。
近所のスーパーの安売りで買ってきたブリは安いだけあってか何なのか、今ひとつ脂のノリは悪かった。でも最近しみじみ飽食気味だと思っている胃には、ちょっと脂っけが無いくらいの魚でちょうど良いかも、とも思ったり。