食欲魔人日記 06年10月 第2週
10月9日 月曜日
このすごい色のデザートが美味しかったのでした
当日の模様は旅行記でもご覧いただけます
Palawan 「Club Paradise」にて
 ガーリックピラフ
 マッシュルームのソテー
 ハム・ソーセージ
 ベークドビーンズ・コーンドビーフ
 マンゴー
 マンゴージュース・紅茶

長いようで短かったクラブパラダイスの滞在も、今日で最後。明日の朝にはここを発たなければならないので、遊べるのは今日が最後だ。酔いと疲れで昨日も早々にベッドに倒れてしまったので、今朝は一同6時過ぎに起床。お散歩しながら朝食を摂りにレストランに向かった。

今日のおかずは、いかにも御飯に合いそうなコーンドビーフとか、ハムとかソーセージとか。お粥は明日のお楽しみにとっておくことにして、白い御飯にマッシュルーム炒めを添えたりベークドビーンズを盛りつけたりして、御飯ベースの朝御飯にしてみた。毎日出てくる美味しいマンゴーを、今日も飽きずに全員でもぐもぐ食べる。サファリ島の動物たちも餌のマンゴーをむさぼるように食べていたけれど、この島に滞在している人間たちもマンゴーが大好き。

Palawan 「Club Paradise」にて
 マンゴーシェイク

今日は一日、ホテルでひたすら水遊び。海に行ったりプールに行ったり、一日中体をびしょびしょにして遊び回っていた。波打ち際に70cmはあろうかという巨大な魚の死骸が上がっていたのにちょっとびっくりした。サメとかも……いるのかしら……。

「何か飲まない?」
の母の言葉に思わず注文してしまったのはマンゴーシェイク。今日も焼けるような日差しの下だったので冷たいシェイクが実に実に美味しかった。程良く酸味のあるペリカンマンゴーでとてもさっぱりした味のシェイク。

一休みしつつだらだらしていたら、日本人ダイビングインストラクターMさんが
「巨大トカゲ、もう見ました?今、あの建物の裏手にいますよ!」
と教えに来てくれて、家族でぞろぞろトカゲ見学に。この島一番のサイズのトカゲなのだという、体長1.5mくらいはあるかもしれない巨大トカゲにめでたく遭遇することができた。

Palawan 「Club Paradise」にて
 ミックスサラダ・アーティチョークのマリネ
 フィンガーサンドイッチ2種
 御飯
 八宝菜風野菜炒め
 角煮風の豚バラ煮込み
 ラプラプの蒸しもの
 ハンガリー風ビーフグーラッシュ パスタ添え
 チョコレートケーキ・キャロットケーキ
 ビール(San Miguel)
 紅茶

今日のお昼御飯は、どこか中華寄り。「Buttered Vegetable」はどう見ても「八宝菜」で、「Braised Pork Cutlet Island Style」はどう見ても「豚肉の角煮」だった。ラプラプのガーリック風味の蒸しものもやっぱり中華料理チック。これは白飯に添えるしかないでしょう!と、あれこれ盛り合わせて美味しくいただいた。巨大な、斑点のある魚「ラプラプ」は淡泊で柔らかい身がとても美味しい。

更に「Hungarian Beef Goulash」なる、ハンガリー風ビーフシチューもあって、それはパスタに添えて食べるようになっている。サラダ類やアーティチョークのマリネ、フィンガーサンドイッチなどもビールの肴にちょこちょこつまみつつ、のんびりとお昼御飯。

4日間3食ひたすらブッフェというのは、想像ではもっと飽きが来るかと思っていたのだけれど、どの料理もそれなりに美味しく、メニューにも工夫がある。毎晩のディナーも趣向を凝らした演出があって、初日のモンゴリアンバーベキューがちょっと恋しくなっている私だった。プライムリブもパスタも美味しかったし。

Palawan 「Club Paradise」にて
 酸辣湯(Hot & Sour Soup)
 スモークフィッシュ2種類
 トマトとモッツァレラチーズのサラダ
 マカロニサラダ
 フクロタケの炒め物
 焼売
 "Pata Tim"
 バーベキュー(チキン、ポーク、シーフード)
 フルーツタルト
 "Buko Pandan"
 フローズンマンゴーダイキリ
 ワイン(白ワイン)

午後は雲が出てきて、2時間ほど遊ぶと肌寒ささえ感じる涼しさになってきた。ひと雨きそうな気配もあって、少し早めに水から上がり、夕方は部屋でトランプゲーム大会。私の母は七並べでもババ抜きでも案外と大人げなく勝ちに行く人だという衝撃の事実が明らかになったりした。

今日の夕飯、メインディッシュはバーベキュー類。串焼きにしたシーフード(海老、白身魚、玉ねぎなど)にスパイシーな豚厚切り肉、鶏の塊肉などなど。既に焼かれて保温ケースに入っているそれを皿に盛り、醤油ベースのタレとかチリソースだとかを添えつつ食べる。前菜には焼売やフクロタケの炒め物があり、スープは「Hot & Sour Soup」なる、そのまんま「酸辣湯」的なもの。昼御飯といい、今日は全体的に中華指向の御飯だ。

これが最後の夜ですよとばかりに、食前酒にフローズンマンゴーダイキリなどいただきつつ、ひととおりの料理をもぐもぐ。「Pata Tim」なる料理は
「これは仔豚の丸焼きですよ」
とスタッフが教えてくれた。インドネシア料理で言うところの「バビ・グリン」(バビ=子豚、グリン=グリル)なのだろうけれど、焼いた後に甘辛味の八角風味のタレで煮込まれているようで、実際は「丸焼き」というよりも「煮込み」にとても近い味。皮のゼラチン質がぷるぷると心地よい肉が美味しくて、バーベキューそっちのけでついつい「Pata Tim」コーナーをうろうろする私。

そしてデザートコーナーにあったのは、カラフルなフルーツタルトと「Buko Pandan」なるタルトに負けないカラフルなムース状のもの。パステルグリーンのムース状の生地に緑色のゼリーが混ぜ込まれたそれは「……ミント味かなぁ?」と私の不安を煽るものだったのだけれど(←私はミント味のものが苦手……)、試しにとだんなが一口食べてくれたところ
「……!これ、おゆきさんが大好きそうな味がする……」
とのこと。私も一口もらってみたら、大好きなココナッツの味のするデザートなのだった。緑の色こそついているけれどメロンでもなくミントでもなく、ココナッツ。こココナッツミルクとココナッツの果肉が混ざった、濃厚に甘いデザートだった。よくよく調べてみると「Buko」は「ココナッツ」の意味なのであるらしい。「Pandan」は植物の名前で、このPandan(パンダン)の葉を加えてココナッツジュースと寒天を煮てゼリーを作るため、綺麗な緑色がつくのだそうで。練乳の甘さを感じるような、ミルキーなとろんとしたデザートだった。

ああ、明日で帰国なんだねぇとしみじみ食事をしていたところ、「明日帰っちゃうのねぇ?」とテーブルにやってきたジョニーとマリア。2人組の彼らは、リゾートにやってくる客たちを出迎えて歌を歌ってくれ、ディナータイムにも毎晩歌を歌ってくれる。「日本人だわ」とばかりに、数日前には「二人でお酒を」などを聞かせてくれたのだけれど、今日の夜は「コモエスタ赤坂」。汗が垂れてくる気温30度弱のねっとりした気温の中で聞く「コモエスタ赤坂」はなんだか不思議な気分だ。

10月10日 火曜日
滞在中、何度も食べたお粥。今日はピータン入り!
当日の模様は旅行記でもご覧いただけます
 お粥
 サラダ
 スパニッシュ サーディン
 "Tocino"
 パイナップル、スイカ
 マンゴージュース、紅茶

当初の旅程では、今朝は5時半頃に起きて6時過ぎの船に乗らなければならなかった。午後便のマニラ発成田着便に乗るためには午前8時過ぎの国内線に乗るしか選択肢がなくて、そのためには朝6時過ぎにリゾートに出るしかない、と。
が、数日前にリゾートのスタッフから
「飛行機の便が変更になってしまったけれど、良いかしら?」
と告げられて、それによると午前8時の国内便がなくなり、代わりに午前10時半発の国内便が出ることになったとのこと。当初の予定ではマニラ空港で4時間以上も時間をつぶさなければいけなかった私たちにとっては願ってもない申し出で、リゾート発の船は8時ということになり、最後の朝食もリゾートで摂れることになった。良かった良かった。

「やったよ、最後の最後にお粥食べられるよ〜」
と、毎日のように少量ずつ楽しんでいたお粥を今日はたっぷり食べることに。塩味はそれなりについているけれど、マニラのホテルで食べた「スペイン風お粥」のように生姜や鶏肉は入っていないシンプルなお粥に肉味噌や葱、フライドガーリックなどをかけて食べる。今朝はピータンまで用意されていて、どっさりピータン入れたピータン粥を楽しむことができた。うまい、うまいよ。

あとは一昨日の朝御飯にも口にした、温かいオイルサーディンと、真っ赤なチャーシュー「Tocino」(トシーノ)。お粥に添えるように少しずつつまみ、食後のパイナップルとスイカもしっかり平らげた。

マニラ空港にて
 チーズバーガー
 ココナッツシェイク
 Leche Flan

JAL機内食
 牛肉のソテー 照焼きソース添え
 スモークサーモンとコーンサラダ
 そば
 ミルクフラン
 ソフトロール バター
 白ワイン・煎茶

ホテルに来るまでは、ジープニーに乗る時間が長いなぁとか、船もけっこう長く乗るなぁと、「リゾートホテルはまだかまだか」という気分だったのだけれど、帰り道は早い早い。行きと同じ船に乗って20分揺られ、ジープニーに45分ほど揺られ、そして空港とは思えない簡素な建物のある「ブスアンガ空港」にたどり着いた。職員の手で手荷物検査(金属探知器などはないので、がさがさと鞄の中身を手で探られた)をされ、壁のない吹き抜けのベンチ席で待つこと1時間。空港近くの土産物屋兼休憩処で飼われていると思われる白猫とブチ猫の2匹が入れ替わり立ち替わり待合室にやってきて、息子の良い遊び相手になってくれていた。

そしてなんとも頼りない19人乗りの飛行機でマニラに帰還。ちょっと雲に突入するだけでガタガタと揺れる機内を行きと同じく半ば放心しながら1時間を過ごし、曇天のマニラに無事に戻ってきた。客席と操縦席の区切りには小さな申し訳程度の衝立がある程度で、2人の操縦士が飛行機を操縦する姿がよく見える。空港に無事ついてエンジンが止まるなり、サングラスをかけた機長はくるりと後ろを振り返ってこちらを見渡し、
「本日はSEA AIRをご利用いただきありがとうございました。マニラにようこそ!」
と英語で話し、白い歯を見せてニカッと笑ったのだった。

離陸の時も離陸の時で、
「はーい、飛行機乗って良いですよー」
「全員乗りましたねー?じゃ、飛びます」
とばかりに、遊園地の乗り物並の気軽さで出発した。そして着陸時もこんな感じで、全体的にゆるいゆる〜い国内線フライトだ。ジュースなどは何も出ず、ただ「気圧の変化で耳が痛くなったらこれ舐めてねー」とばかりにチョコレートキャンディーが数個配られただけ。

国内線から国際線の空港は少しばかり離れているので、クーポン制のエアポートタクシーに乗って移動(150ペソ)。もう国際線の離陸まで2時間ほどしかないタイミングだったので、早々にチェックインして出国手続きをした。時刻は既に1時を回り、さすがに腹ぺこ。飛行機に乗ったらほどなく機内食が出てくるんだろうなぁと思いつつ、それでも我慢できなくてカフェテリアでチーズバーガーなど買ってしまった。息子の手では両手でしっかり支えないといけないほどの大きなチーズバーガーは1個110ペソ(=275円ほど)。ココナッツシェイクと、いかにも美味しそうだったプリン(Leche Flan)を1つ買い、搭乗ゲート前まで移動してからもぐもぐ食べた。でっかいハンバーガーにはケチャップは使われておらず、良い感じに溶けたチーズと甘いマヨネーズのような白いクリームソースが添えられていた。ココナッツシェイクはひたすら甘かったけれど、それもまたフィリピンぽい味だなぁと思いつつ。

予定より少しばかり遅れて離陸したJAL便、機内食はさすがに全部は食べられなくて、白ワインを飲み干した後はひたすら寝て成田に戻ってきた。秘境ホテルを出てから12時間きっかりで成田着。

成田空港内「ロイヤルカフェテリア」にて
 牛丼
 生ビール

東京行きの総武線快速、次はちょうど1時間くらい後だよ……という事になり、夜8時の成田空港をうろうろ。夕飯食べつつ電車の時間を待とうかねということでカフェテリアに寄ってきた。母と私はねぎとろ丼を所望し、息子はラーメン、だんなはオムライス。残念ながらねぎとろ丼は1つ買ったところで売り切れになってしまったので、私は牛丼をつつくことにした。
「やっと日本に帰ってきたよー」
「はぁー、やっと英語を話さずに済むよ」
なんてため息つきつつ、半熟卵の乗った牛丼をだんなのオムライスや母のねぎとろ丼と交換しつつ。1週間ぶりの味噌汁が染み渡るように美味しかった。

10月11日 水曜日
こういう味のものが、もう懐かしくて
日清のどん兵衛 関西味
麦茶

昨夜の帰宅は10時過ぎ。パンも御飯も肉も野菜も家にはほとんどないのがわかっていたけれど、何も買えずに帰ってきてしまった。朝御飯はありものを見渡して、
「……きつねうどんなんてどうでしょう?」
と、友人に以前もらった関西味の日清どん兵衛。関東味は濃口醤油が使われていて、つゆの色はかなり濃いめ。関西味は、見るからにスープの色が薄かった。薄口醤油を使用、なのだそうだ。関東味の「甘じょっぱい」感じも私は好きなのだけれど、薄味の(でもちゃんとだしっぽい味のする)関西味も甲乙つけがたく美味しい。息子が実に嬉しそうに大きな揚げを噛み締めていた。昨日で息子の秋休みも終了。今日から学校だ。だんなも仕事。私も仕事。そして、楽しそうな母。

稲毛 「葡萄亭」にて
 茄子とモッツァレラチーズのトマトソースパスタセット \980

2学期登校初日の今日、給食はなしで午前中に帰ってきた息子。息子が帰ってきたらどこかにランチ食べに行こうか?と母と話しつつ、私は午前中は必死でお仕事していた。帰った息子に
「……というわけで、何食べたい?どこ行きたい?」
と聞けば、即答で
「ピザ!」
と。

そうだねぇ、ホテルの御飯でピザは登場しなかったものねぇ……と苦笑いしつつ、でもこの近辺で美味しいピザを食べられる店と言えば1軒しか心当たりがなく、しかもその店は旅行に出発する当日に行ったばかり。それでもいいか、と、「Trattoria Vino」に向かったのだけれど、あいにくタイミングが悪くて満席だった。あまり席数も多くないお店だし、席が空くのを待っていても30分はかかってしまいそう。それじゃあ、夕飯時に行って一度ピザを食べた店があるからそこに行ってみよう、と、駅前の「葡萄亭」というお店に行ってみた。……残念ながら、ランチタイムはスパゲティメニューだけの提供らしい。「カルボナーラ」の文字を見て、息子が「これでいい!カルボナーラ!」と言ったので、この店で食べることにした。ランチタイムはパスタ30種類のみのメニューになり、紅茶コーヒー飲み放題、パンとサラダがついてくる。「茄子とモッツァレラチーズのトマトソースパスタ」なら980円だ。

「カルボナーラカルボナーラ……あ、やっぱりたらこ」
と、息子はたらこ。母はアサリとウニのクリームソース。角切りモッツァレラチーズがたっぷり乗った濃厚なトマトソースのスパゲティは、しっかりと食べ応えがあった。トマトの乗ったレタスのサラダも平らげて、すっかり腹一杯。

「マダム ボンボニエール」のモンブラン
ミルクティー

旅行中、地味に恋しかったのが生クリーム系のケーキだったりした。毎日美味しいフルーツも出ていたし、ランチタイムとディナータイムには焼き菓子なども出ていたけれど、ホイップクリームを添えたデザートなどは全くなかった。カスタードクリームが恋しいなぁ、そういえばモンブランの季節でもあるなぁ、と、昼食後に皆でうきうきしながら洋菓子屋さんを回って、おやつのケーキを買ってきた。私と母が選んだのは、千葉のケーキ屋さん「マダム ボンボニエール」のモンブラン。息子は陶器製のハロウィンカップに入ったミルフィーユにしていた。

淡い色のマロンペースト、中に詰まるのはホイップクリームとメレンゲ生地。スポンジは一切使われていない"イマドキ"のモンブランで、こってり多めのクリームがしみじみ美味しかった。

ラスク
薫製比内鶏
サラダ
常夜鍋(ほうれん草・豚肉・うどん)
ビール(キリン樽生 ブラウマイスター)

ほうれん草が食べたいねぇ、火を通したやつが良いよね、と、夜は常夜鍋の準備をすることに。

今日はやけに蒸し暑くて半袖でも心地良いくらいの気温だったのだけれど、それでもほうれん草が食べたいなと土鍋を出した。ほうれん草と豚肉をただただ茹でて、胡麻だれでいただく我が家の常夜鍋。ビールの肴にと、最初は薫製比内鶏とミックスサラダ(レタスときゅうりと玉ねぎ、トマト)、パン屋さんで買ってきたバター風味のラスクをまずはテーブルに並べた。それからおもむろにほうれん草2束分ざくざく刻んだ、野菜たっぷりの常夜鍋を。生のほうれん草をサラダ仕立てにしたものも美味しいけれど、やっぱり野菜は火を通した方がたくさん食べられるし、何より美味しい気がする。

このあたりでは、夏からずっと葉もの野菜は高値が続いている。水菜やニラはともかく、小松菜とほうれん草の値段の高さはびっくりするほどで、一時期はやけに少ない1束が298円したりしていた。今日買ってきたほうれん草は、たっぷりな1束で225円。安くなった!と八百屋さんの店頭で喜んで2束籠に入れたのだけれど、
「えー?ほうれん草なんて、うちの近所じゃ100円以下で買えるくらいよ?」
と母はびっくりしていていた様子。

10月12日 木曜日
唐突に、松茸。
「サンジェルマン」のクリームパン
カフェオレ

嬉しいことに、近所にパン屋が1軒増えた。チェーン店の「サンジェルマン」。昔々、私が中学生だった頃に住んでいた町の駅前のパン屋さんが確かサンジェルマンだった。コーンマヨパンとか好きだったなぁと思い出しつつ、オープン間もないそのお店で昨日お買い物してきたのだった。私はもとより母が喜んでしまって、ついつい買い込んだパンは1700円分ほど。近所で「ミートパイ」が売られているお店が1つもなかったのだけれど、サンジェルマンには置かれている。だんなの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。

というわけで、だんなにはミートパイ、息子にはメロンパン、私の分はクリームパン。美味しそうなコーンパンも買ってきたのだけれどそれは明日の朝御飯に回すことにして、1人1個のパンで朝御飯。昨日母が買ってきてくれた巨大な梨も1/2個分剥いた。

私は、初めてのパン屋さんで買い物する時にはついついクリームパンが気になってしまうのだけれど、私にとってのクリームパンが息子にとってのメロンパンなのであるらしい。私が売り場を見渡して「あ!クリームパン……」と棚に近寄っていくのと同じタイミングで、息子は「あ!見つけた!」とメロンパンの棚ににじり寄って行くのだった。

甘さちょっと控えめの、でも良い感じにもったりとした濃厚なクリームが詰まったクリームパンは、なかなか素敵な味。品揃えも豊富で、嬉しいお店が近所に増えて良かった良かった。

千葉そごう内「美濃吉」にて
 松茸すきやき御膳 \3,675
     丹波栗豆乳豆腐
     鯛のお造り
     松茸と和牛霜降り肉のすき焼き
     (九条ねぎ・京水菜・白菜巻・栗麩・玉子)
     白御飯(魚沼産こしひかり)
     京漬物・赤出汁
 生ビール(小)

今日も一日鋭意お仕事……のはずが、10時になろうというあたりに、母が私に話しかけてくる。
「今日も仕事?たくさんあるの?忙しいの?お出かけは……できそうにないわねぇ?」
できそうにないわねぇ?なんて言われると「いいえ、できますよぉ?」と答えたくなるのが人情というもので、まぁいいやと仕事は置いておいて母と2人千葉にお出かけした。

5月下旬にリニューアルした千葉そごうは、レストランフロアがかなり充実して、食料品売り場も上階にあるLOFTもなかなかに魅力的。レストランフロアの真下には「こだわり趣味の街」なるちょっと変わった専門店街があって、
「あーら、ステキ、ほんっとにステキ」
と、母はその売り場をぐるぐるぐるぐるブラウン運動していた。

「お昼はね、和食だわね」
母の宣告に、そうですか和食確定ですか、と苦笑いしながらレストランフロアマップを眺める。いくつかのお店の店頭に行ってみて、
「ヤ。今はお肉って気分じゃないわ」とか「……ここは隨分安っぽいわねぇ」などと容赦のない感想をいただきつつ、結局入ったのは「美濃吉」という京料理のお店。この時期ならではの松茸料理がいろいろとあって、私は「松茸すきやき御膳」、母は「鴨川懐石」なるコースもの。私にはその名のとおり松茸入りのすき焼きが出てきて、母には松茸のどびん蒸しとか松茸御飯などがついてくるそうで。階下に千葉の町並みを眺めつつ、ついついビールなども取ってしまってのんびりとしたお昼御飯。

値段が値段だけあって、どれも手の込んだ料理ばかり。食感が残る程度に栗の存在感があるモチモチとした豆腐に、御飯は店内の羽釜で炊かれているこしひかり。卓上には小さなコンロに紙製の鍋がセットされ、上品な味の割り下に松茸やお麩などが盛り込まれていた。肉は別皿にうやうやしく盛りつけられてきて、1枚ずつ火を通しながら3枚の肉をぱくぱくと。こんなにお上品なすき焼きを食べたのは産まれて初めてだった。分量も上品、味も上品。とろけるような柔らかい肉を溶き卵につけて食べつつ、「……この残った卵、御飯にかけたら……やっぱりはしたないわよねぇ……」と内心思ってしまいつつ。

母の料理にはデザートのくずきりもついてきていた。「私、くずきりはあんまり好きじゃないのよね」という母からくずきりをいただいて、代わりに母はオレンジシャーベットを美味しそうに舐めている。田舎暮らしから抜け出して、今日も母は絶好調なのだった。

枝豆
ミックスリーフのサラダ
「柿安ダイニング」のサラダ2種
冷や奴
鶏肉のオーブン焼き
わかめと卵の味噌汁
羽釜御飯
ビール(キリン樽生 ブラウマイスター)

私はまだちょっとぷらぷらしてから帰るからね、あなたは先に帰っていれば良いわ、と母に言われ、息子も帰ってくる時間だしと私は先に帰宅。ひととおり散策してきたらしい母は、デパ地下でサラダや豆腐を買って帰ってきた。美味しそうなざる豆腐は500円もしたそうな。

夕食用には鶏肉を買ってあって、油淋鶏風にしようかクリーム煮にしようかと色々考えたのだけれど、ものすごーくシンプルな味のものが恋しい気分だったので、単なるオーブン焼きに。そして単なる冷や奴、ミックスリーフを使ったサラダ。冷や奴を用意してしまったので味噌汁の具に豆腐を入れるのは止めようとあれこれ考え、卵を溶いてみることにした。澄まし汁に溶き卵ももちろん美味しいけれど、味噌汁に卵もなかなか美味しい。ごくたまにしか食べないけど、私はけっこう好きだ。

母が買ってきてくれたサラダも並べ、田舎のおばが母に持たせてくれた枝豆も。
「由紀ちゃん、枝豆好きって言ってたべな?」
などと言いつつ、自家栽培の枝豆の熟れたやつをうんと持たせてくれたのだそうで、10月4日に母がやってきた時にビニール袋一杯に手渡された枝豆だった。翌日から旅行が決まっていたので全部とりあえず茹でて冷凍庫に入れておいたのだけれど、この枝豆が素晴らしく美味しい。自宅用に栽培しているものなので無農薬の枝豆で、形は不揃いだけれど濃い豆の味がする。

今日の夕飯のメインディッシュは肉でもサラダでもなく枝豆だなぁと思ってしまいながら、枝豆もぐもぐ。まだまだ冷凍庫に残っているからしばらく楽しめそうだ。

10月13日 金曜日
なーにを食べようかなー……と、揚げダネショーケースを眺める
「サンジェルマン」のコーンパン
アイスカフェオレ
カスピ海ヨーグルトwithはちみつ

駅前にできたパン屋さんで買ってきたコーンパンを温めつつ、カフェオレとヨーグルトの朝御飯。旅行中にどうなることかと思っていた培養中のカスピ海ヨーグルトは1週間くらい放置してもまだまだ元気な様子でひと安心。蜂蜜を軽く垂らして私は食べたのだけれど、息子は
「たまには、砂糖だな。うん、砂糖入れるぞー」
と、白砂糖をぱらぱらかけてヨーグルトに混ぜていた。しばらくおとなしく食べていたのだけれど、突然瞳を輝かせて
「ウホー!」
なんて叫んでいる。一体何なんだと思っていたら
「砂糖のかたまり食べた!甘いの!ジャリッて!」
と、甘い砂糖の塊を囓ったのを喜んでいる様子。「うん、今日は大吉だ。行ってきまーす!」と元気に登校していった。そうか、砂糖の塊を囓ると大吉なのか。

ふりかけ御飯
麦茶

今日の母は「ちょっとお友達と会ってくるわね〜」と一人お出かけしていった。ここぞとばかりにお仕事をして、ここぞとばかりに軽い昼食で済ませてみる私。冷凍御飯があるな、卵もあるな、でもまぁふりかけ御飯でいいかなと、昼は「ふりかけ御飯+麦茶」というこれ以上なくやる気のない内容。仕事はたいそうはかどった。

千葉 「串家物語」にて
 飲み食べ放題 お1人様120分3000円也

夕方息子を音楽教室に連れて行き、教室が終わったところで帰ってきた母と合流。息子は
「今日はお外で御飯するの?みんなで一緒に食べるの?」
となんだかうきうきしているし、母もデパートを歩き足りない様子。だんなも帰ってくるということだしと相談の結果串家物語に行くことになった。母も息子もこのお店が大好きだ。小さな具の串揚げバイキングに、それなりに種類のあるサラダ類、おでんにシューマイ、お茶漬けバイキングに豊富なデザート。色々と飽きさせない内容がお客の心を掴むのであるらしい。

母が今日会ってきたのは私も子供の頃からお世話になっている馴染みの人で、息子にと図書券を母に託してくれていた。数千円分の図書券、
「わーい!本買うよ!好きなの買っていいんだよね?」
と息子はたいそう喜んで、大型書店でしばし売り場を眺めた結果、『科学ずかん』なる分厚い理科の百科を選んでいた。良かったねぇ。

で、揚げ物バイキング。野菜が食べたいなぁ、くどくないのがいいなぁとサラダもせっせと持ってきつつ、茄子やかぼちゃ、さつまいもや蓮根などを素揚げにしておろし醤油で食べてみる。……うまー。
いつもながらの鶏肉や豚肉、ベーコン、ささみやサーモン、ホタテや海老などもいただきつつ、今日はどちらかというと野菜寄りの品を多めに選んでビールや梅酒傍らにもぐもぐと食べた。スモークチーズに衣つけて揚げたのが危険なほどに美味しくて、息子がこれに夢中になるのもわかるなと思ったり。

そして明日はヌーベルシノワの豪華中華のディナーの予定。母はまだまだ絶好調。
私の方は……そろそろ胃腸薬を手元に置いておく必要があるかしら……。

10月14日 土曜日
あわび!!!
汐留 カレッタ汐留内「/so/ra/si/o/」にて
 VALUE LUNCH COURSE \2,625
     野菜のテリーヌ
     きのこのスープ
     豚バラ肉のトマト煮
     クレームブリュレ
     パン
     紅茶
 グラスワイン(白) \525

今日は母と2人で観劇。息子とだんなには留守番をお願いして、夕食は皆で一緒にホテルの中華料理を食べに行くことになっている。うっかり寝坊してしまったので、朝御飯は何も食べずに急ぎ支度して出発した。

向かったのは汐留。「オペラ座の怪人」を一度見てみたいと以前から母に言われていたので、秋休みの旅行後のチケットを半年ほど前におさえてある。汐留の劇場で見るのは私はもう4回目になるのだけれど、毎回楽しい。何度見ても見飽きない。なので私もとっても楽しみ。

お昼の回なので、どこかでお昼を食べてから……と11時半に汐留に到着した。
以前食事した「ドンピエール」という洋食屋さんが美味しいし手頃だし良いかなと思っていたのだけれど、残念ながら撤退してしまったようで、「……どうしようか」とレストランの案内ペーパーを眺める。

「あらぁ、上の方にもレストランがあるじゃない?」
高層階からの眺めが大好きな母にそう言われて、今回初めてカレッタ汐留の高層階に足を踏み入れてみた。ちょっとお高めの価格帯の和食屋さんとか、韓国料理屋さんなどがあり、昼は洋食が良いわねと「/so/ra/si/o/(ソラシオ)」というお店に。前菜やスープが出てくるコース料理をいただくことにした。グラス白ワインをちびちび舐めつつ、レインボーブリッジを見下ろす眺めの良い席(でも日当たりも良い席……暑い……)で、観劇までの1時間半ののんびりランチ。

前菜のテリーヌと豚バラが共にトマトソースだったのが少し疑問に感じるコースだったのだけれど、デザートのボリュームもたっぷりな満足な内容だった。ショートケーキのような三角柱型の野菜のテリーヌは、ほうれん草の層の色も鮮やかな、カラフルなもの。ルッコラの若葉がこんもり盛られたサラダ仕立ての前菜だった。続くスープはきのことひよこ豆入り。あっさりしたコンソメスープ。

そしてメインディッシュは、キャベツがたっぷり敷かれた塊の豚肉。思っていたよりもあっさりとした味のトマトソースと共に肉が深皿に盛られ、適度に脂の落とされた肉が2切れ盛られていた。「ハイジの白パン」的なふかふかした白いパンも添えられて、「あー、船だ」「あー、飛行機だ……」と窓の外を眺めながらの食事は地上46階の眺めもまた御馳走だった。天井もすごく高くて良い気分。

嬉しいことに、デザートは母の大好物のクレームブリュレだったのも嬉しかった。カラメル味のほろ苦いアイスクリームも添えられて、表面のパリパリをスプーンで崩しつつ紅茶をいただいているうちに開場時間に。気合い入れて予約開始日に取ったチケットは、シャンデリアが頭の真上を通過する前から5列目くらいの舞台正面の席。楽しんでくれると良いなぁ。

汐留 CONRAD TOKYO内 「CHINA BLUE」にて
 Splendid コース \15000
     稚鮑の冷製
     ふかひれの姿入り きのこのスープ
     鮮魚の照り焼き入り 笹の葉ちまき御飯
     スペアリブの揚げ物 マンゴーソース和え
     アスパラガスの干し貝柱あんかけ
     洋梨の白ワインコンポート ウーロン茶シャーベット添え
 XO醤入り 海鮮焼きそば \1500
 ビール・ロゼワイン

今日のオペラ座の怪人、怪人役は初めて見た佐野正幸さんという方で、ちょっと若手っぽい怪人だった。クリスティーヌ役は沼尾みゆきさん、ラウルは北澤祐輔さん。少々強気な風のクリスティーヌに「良いとこのお坊ちゃん」風のラウル、そして怪人はなんだか「やんちゃ坊主」のようで、とても新鮮な舞台だった。私の中では怪人はもっとどっしりした骨太の人……というイメージがあるのだけれど、華奢な感じの、どこかはっちゃけたところのある怪人もそれはそれで良いのではないかと。……でも、後半の怪人が、どこがどうなってしまったのかどうしてもインパルスの板倉さんに見えてきてしまって……時々顔がニヤけてしまったりした。俳優さんたちはロングラン公演中で良い具合に力も抜けてきたらしく、随所に小ネタも増えていた模様。来年の3月にはとうとう千秋楽を迎えるそうで……もう一度くらい見に行けると良いな。
母も終演後にパンフレットを買い、怪人マスクのキーホルダーも買い、楽しんでいた様子。

観劇終わって4時。
「品川の、新しくできた水族館も見てみたいわぁ」
と言う母を連れてエプソン品川アクアスタジアムをちらりと眺めに行き、数時間後に再び汐留に戻ってきて、夕食はコンラッド東京の中華料理店「CHINA BLUE」。

「ここ!このお店行ってみたいわぁ!」
と我が家にあった雑誌か何かをめくっていて、母がそう言っていたので予約してみたお店だ。ヌーベルシノワらしいよ、私もだんなもヌーベルシノワはよくわからないんだ……しかもけっこうお高いらしいよ……などと母と話しつつ「それでも行ってみよう」と予約して少なからずな期待を抱いて行ってきたのだけれど、この夕飯は、ちょっとがっかりする内容だった。味は悪くない。悪くないんだけど、価格は全体的にあまりに高すぎで、その価格の高さに見合ったサービスが全然受けられなかった。たとえ高くてもそれに見合った味とサービスだったら「高かったけれど美味しかったね、楽しかったね」で済むのだけれど……もうもうがっかり。せっかくの料理の美味しさ、眺望の良さもかすんでしまうほどのサービスの悪さだった。

予約がある旨伝えて席に案内してもらってその後10分。テーブルにはフードメニューもドリンクメニューも何もやってこない。しびれを切らしてこちらからお店の人を呼び止めようとしても、目配せも通じない。窓に向かって座っている私や母が振り返ってまで目配せしても気がつかない始末。手を挙げて(しかもかなり高く挙げて)「……メニューを見せていただけますか?」と伝えたところで、やっとメニューが手渡された。

コース料理は12000円から。全体的にフカヒレや鮑などの豪華な食材が使われており、1500円ほどからある一見安価に見えるアラカルト料理は全て「おひとり様分」とのこと。各自、数品ずつアラカルト料理を組み立てようかどうしようかと相談しつつ、結局コース料理をいただくことにした。「スペアリブの揚げ物 マンゴーソース和え」が美味しそうだねということで、15000円の「Splendid」を。

ワインもびっくりするような値段が並ぶ。4桁価格のものはほとんどなく、2万円台のワインばかりという印象。そんなにお高いワインは要らないなぁ(同じ銘柄、よそのお店だったら半額くらいでいただけるはず……)とワインリストを眺め、おそらく他店だったら2〜3千円でいただけるだろうボルドーのロゼワイン6500円也を1本開けてもらうことにした。

最初に「突き出し」でピータン豆腐がやってきた。一口大の豆腐の上に、ピュレ状にしたピータンがソースのようにかけられ、赤味のあるオイルソースと刻み葱が添えられている。ケーキのような外見のそれを一口でいただいた後にやってきたのが、この店のスペシャリテのひとつであるらしい、稚鮑の冷製が。

直径10cmほどのミニ鮑が3個角皿に並べられたそれは、左から梅ソース、ガーリックソース、チリソースが添えられている。コリコリして磯の香りがして、美味しい鮑だ。美味しい……美味しいけど、なにも鮑を3個一気に食べなくても、という気がしないでもない。続く料理はふかひれの塊が沈められたなめこ(!)のスープ。沈められたふかひれが透けて見えない褐色のスープは、ナッツ類(くるみ??)が入っているのか、粒を感じるちょっと不思議な食感。おそらく手をかけて作られているだろう上湯(スープのベース)は、でも、なめこの存在感が強すぎて今ひとつ風味が感じられず。

そして魚介料理と肉料理、魚介に御飯が含まれているからか、最後に野菜料理と続く。
魚介料理は「ちまき」で、中には薄甘い味のついた長米のおこわが入っており、その中央にムツの照り焼きが。添えられているのは海鮮醤ベースの甘いソースと、なぜかピンク色のガリ(しかも、何というかごくごく普通のガリ……自家製というわけでもなく)だ。骨付き肉が来るのかな?と楽しみにしていた「スペアリブの揚げ物」は、一口大に細くそぎ切りされた、酢豚状の揚げ物。甘酢で和えた肉の下には角切りされたマンゴーの果肉入りピリ辛ソースが敷かれている。上からは芽葱と共に菊の花の花びららしき黄色いものが色鮮やかに散らされている、といった具合。その後には不思議とボリュームたっぷりなアスパラガスの炒め物。上からはきのこと干し貝柱で作った甘辛いあんがかけられ、和えられていた。

各皿煌びやかな盛りつけの、いかにもな「ヌーベルシノワ」的料理だったのだけれど、なんだか味にメリハリがない印象。魚、肉、野菜と続く料理の味付けは基本的に「醤油ベースの甘辛味」という感じで、途中でシンプルな塩味のものが恋しくなったりした。息子用に注文した2色米の塩味炒飯がものすごく美味しかった(鮑とか入っていた……らしい……)ので、基本的には美味しいお店なのだと思うのだけれど、なんだか変にがんばりすぎというか、とんがりすぎというか。コース料理15000円という価格の割に、手をかけるべきところがかけられていない印象もあるような……。
やっぱりヌーベルシノワは私たちの好みとは違うところにあるのかなぁと思いつつ、でも母も今ひとつ釈然としない表情になってしまいつつ、最後には口直しのパッションフルーツのジュース、ウーロン茶のシャーベット(本当にウーロン茶味!)を添えた洋梨のコンポート、そして焼き菓子2種類(笑口棗とココナツタルト)をいただいた。

窓からの眺めは本当に綺麗。夜景を楽しませるためにかかなり落とされた照明に映える木目鮮やかなテーブルなども良い感じ。料理もスタイリッシュな盛りつけに独創性溢れる味。
でも、食事中「お茶が欲しい」「これを追加注文したい」といった時に何度目配せしても手を挙げても、あげく声まで出しても気がつかないスタッフの対応や、そうしてテーブルに"来ていただいた"スタッフにリクエストを伝えても「はいはい」という対応で、聞いている途中から足の先は他の方向に踏み出しかけているような具合で、本当にがっかりだった。香港のコンラッドホテルではこんな不快な思いをしたこと、1回もないのだけれど……何がどうしてこうなっちゃっているのか、東京コンラッド。

少なくない勉強代になってしまったね、と苦笑いしながら帰宅。
盛りだくさんな1日だった。

10月15日 日曜日
久しぶりの牛タン♪厚切り♪
「小麦と酵母 満」の
 クリームパン
 茄子おやき
 揚げ玉子
カフェオレ

昨日の夕方、母と歩いていた品川。
「今ね、あちこちの駅構内が大変なことになってるんだよ、ほらほら」
と話題の場所としてecute品川も案内してあげてみたのだった。本屋に喫茶店、ケーキ屋さんに花屋さんに総菜屋さん、と、そのへんのデパ地下もびっくりな品揃えのこのモールは、魅惑的なお店も多い。見たことないお店も多いんだよねぇとそれぞれのお店をじっくり眺め、「朝御飯にこのお店のパンはどうでしょ?」と「小麦と酵母 満」なるお店のパンを買ってきてみたのだった。

「おやき」が目玉商品らしいこのお店、他の品揃えもあんぱんであったりジャムパンであったり、全体的に和風な感じ。素朴な風合いのクリームパンが美味しそうだなぁと、1個ずつ色々なパンを買ってきてみた。「おやき」も、高菜、茄子、きんぴらなど数種類の中から茄子ときんぴらを。

温めると美味しそうなパンは温めて、全部のパンを適当に2等分、3等分してでかい皿に盛りつけてみる。「さぁお食べ〜」とテーブルに中央に出したところ、息子は速攻でクリームパンに手を伸ばした。だんなもクリームパン、私もクリームパン、母だけあんぱん。あとはおやきも食べてみたり、「揚げ玉子」なる謎揚げパンも食べてみたり。カレーパンのすぐ横にあったパンなのでカレーパンの仲間かと思いきや、「揚げ玉子」は「揚げ玉子」。カレーパンのパン生地様のものに、ゆで卵が丸々1個包まれたものだった。妙なパンなのだけれど、これがなかなかどうして美味しい。揚げ玉子は2等分したのでだんなと私で1個ずつ。

「焼肉 やまと」にて
 Aプラン \4,500
 (キムチ盛合せ/チャンジャ/ナムル盛合せ/サンチュ/上タン塩/ロース/カルビ/ホルモン焼/冷麺/杏仁豆腐)
 しゃぶ焼 \2000
 イベリコ豚の炭火焼 \1300
 ビール・レモンハイ
相変わらず美味な焼き肉でございました……。

母が「行くわよー、焼き肉行くわよー」と、こちらに来てからずっと言っていたのだけれど、でも今週末を待たずして母は秋田に帰るらしい。母が言う焼き肉とは、おそらく以前行った「焼肉やまと」のことをおそらく指しているのであって、それは平日に行くにはちょっとつらい場所にある。行けるチャンスは今日の夜くらい。

「そういうわけで……今日ですか?」
今日なんですか?今日しかないわけですか?と話し合いの後、今晩は焼き肉!ただし、前回食べたとんでもなくリッチな味の(リッチなお値段の)肉の注文は止めようね、と誓い合った。すごく美味しい肉だったけど、あまりにサシが入りすぎてほんの数切れでお腹一杯になってしまいそうな肉だったのだ。焼き肉には適度に脂のない肉の方が美味しいと思う。

で、4500円のセットプランを皆でもりもりと。超厚切りのタン塩に、カルビにロースにホルモン焼き。それぞれしっかり分量があって、更にキムチやらナムルやらも色々ついてくる。シメには2人に1個ずつのビビンバもしくは冷麺がついてきて、デザートには杏仁豆腐も。これで4500円はなかなかお得だと思う。店にはいくつも個室があって、空いてさえいれば室料なしで使うことができる。午前中のうちに「個室空いていたらよろしく!」と予約してあったので、静かな個室で存分焼き肉を味わえた。

肉はどれも嬉しい具合の厚切りっぷり。その中で異彩を放つ薄切り肉は「しゃぶ焼」なる新メニューで、しゃぶしゃぶ肉のような薄切り肉を網の上でほんの数秒、温める程度に焼いて、わさびあるいはおろし醤油などを添えて食べるようになっているものだった。ユッケとはまた違う、肉の半生の食感ととろけるような肉の甘さがとっても美味しい前菜代わりの料理。つい、イベリコ豚なども注文してしまって、今日も大変にお腹一杯になってしまった。

「な、なんかさ、前回もこんな感じだったよね……」
「そうそう、前回もこんな感じに動けなくなってさ……」
個室だったのを良いことに、冷麺をやっとの思いで平らげた後には板張りの床に倒れ伏してみたりして。
あああ、お腹一杯。超幸せ。