食欲魔人日記 10年3月 第3週
3月15日 月曜日
スモーク塩鯖、作ってみました
「パン・ド・ママン」のトースト
レーズンパン
紅茶(パイナップル&ストロベリー)

「パン・ド・ママン」はじめ、半端に残っているパンがあれこれ。色々出しちゃえと、薄切りのトーストとかレーズンパンをあれこれ出してみる。紅茶は先日の「マンゴー&ピーチ」に続き、「パイナップル&ストロベリー」。ハワイのお土産の華やかな箱のオーガニックティーは、パッケージと同様に華やかな香りがした。
 
「なんでブルーベリージャム出てるの?ヨーグルト?」
「うんにゃ、今日はヨーグルトないけど。トーストに塗るかなと思って。……バターと一緒に塗ると旨いよ」
「旨いか!」
「旨いよ!」
 
なんでこんなにテンション高いんだろーと思いつつ、2人でパンにバターとジャムをコテコテ塗って食べてみた。うまー。

ブロッコリーとじゃがいもの温製サラダ
揚げだし豆腐
塩鯖のグリル&燻製
油揚げとスナップえんどうの味噌汁
いかなごのくぎ煮
羽釜御飯
麦茶

ここ1年ばかり、私とだんなの中で密かなブームが「燻製」。燻製ゆで卵の「スモッち」をしこたま買い込んでみたり、入ったレストランに「自家製燻製盛り合わせ」なんてメニューがあったらすかさず注文してみたり。いっちょう家でも燻してみようかと、東急ハンズで「お手軽香房」なる折り畳み式岡持ち型の燻製器を買ったのは数ヶ月前。
 
でも、これは屋外で使うのが前提の品で、どのくらい煙が出るのか見当もつかないからベランダで使う勇気も今ひとつ出ない。燻製したいのになーとあれこれ本を眺めていたら、「リルスモーキー」なる、小型のスモーカーをみつけた。台所のコンロでも屋外でも使える、コンパクトな薫製器。レポートをあれこれ読むと、そんなに煙まみれになったりということはないらしい。値段はけっこうしたけれど、思い切って買ってみてしまったのだった。
 
最初は何を燻そうかなと思っていたところ、お魚屋さんで塩鯖が安売りになっているのをみつけた。鯖!鯖だよ!と、これを燻製することにした。
 
本格的に燻製料理を楽しむには、「ソミール液」「ピックル液」といった塩水を作って食材を浸したり、乾かしたり、燻製した後も熟成させたりとけっこうな手間がかかるらしい。塩鯖は既に塩が染みているし、塩のおかげで幾分か水分も抜けているしで、"簡単スモーク"に適した食材だとどこかで読んだ。
 
冷蔵庫から出した塩鯖をキッチンペーパーでくるんで水分をなるたけ取り去った後、ヒッコリーのチップを使って燻していく。入れ子になった容器をバラしてコンロの上に台乗せてメインの器乗せて、容器の底にウッドチップを大さじ1.5入れたらその上にトレイと網を重ねて、食材入れたらコンロの火をつける。中火にして蓋はしないまま数分様子をみて、ゆるゆると煙が立ち上ってきたら火を弱めて蓋をして、数十分放置。
 
最初、あまりに火を弱火にしすぎていて、煙がすっかり消えていた。あれこれ試行錯誤して、中火と弱火の間、やや弱火寄りあたりの火力だと、ほどよい量の煙が出続けることがわかった。部屋の中がモウモウになるなどということはなくて(まぁ、家中に燻製臭は多少広がるけど……焼肉している時の匂いの方がひどいくらいで)、蓋を開けるとふわっと煙がたつくらい。
 
この庫内の温度は190度くらいにはなるらしい。だから食材にもじわじわと火が通っていき、40分ほど経つとしっかり中まで火が通り、表面が綺麗に飴色になった鯖ができあがった。おお、期待以上に綺麗で美味しそうなものができあがってきたぞ!
 
買ってきた鯖は、半身が3枚。失敗したら目も当てられないし燻せるサイズは2枚が限界だったので、燻したのは2枚、残り1枚はそのままグリルで焼いて食べることにした。燻した鯖はちょっと空気に晒して落ち着かせておき、スライスして1枚を息子と半分こ、残りは冷蔵庫へ。焼いた鯖も半分こして、今日のメインディッシュは鯖半身分が1人前。
 
鯖に合わせて味噌汁やご飯を用意して、副菜には今日お豆腐屋で買ってきた揚げだし豆腐を。茹でたブロッコリーとじゃがいも、グリンピースをピエトロドレッシングで和えただけの簡単なサラダと、そして春の味「いかなごのくぎ煮」!
 
関西に住む友人が、春到来と送ってくれたくぎ煮。今年は急に温かくなったせいか少し大きく育ってしまっていたとのことで、確かに記憶の中のいかなごよりも若干大きめ。釜揚げしらすよりもちょっと大きく見えるくらいで、生姜たっぷりに甘辛くふくふくと煮られたくぎ煮だった。うまー!あまじょっぱうまー!ご飯に似合うー!と、鯖といかなごをおかずにご飯が止まらないようになってしまった今日の夕御飯。
 
鯖の方も、これは「大成功」と言って良いと思う。以前中華鍋で燻製に挑戦した時は、多分火が強すぎたのだろう、タールのようなえぐいものが鍋の蓋や食材についてしまって、「匂いは悪くないけど……なんか渋い……」とちょっとがっかりな結果に終わっていた。
 
今回は、むしろもっと燻製臭くなっても悪くなかったのだけどな、という印象ではあったけど、燻してすぐに美味しく食べられる具合に出来上がったので、このくらいで燻せば大きな手間なく日常に燻製を楽しめそう。サーモンとか帆立とか、あと手羽先なんかも良さそう。あとチーズ!卵!

3月16日 火曜日
北京ダックですよー1羽買いですよー
イングリッシュマフィンのベーコンチーズエッグサンド
ミルクティー

今日はお出かけ。昼も夜も「がっつり」の予定なので朝は軽めにしておこうかなと思いつつ、「でも切り落としハムの残りがあるしなー」と、パックからベーコン数枚取り出して、ベーコンエッグを用意する。チーズ乗せて焼いたイングリッシュマフィンにベーコンエッグを用意して、お供にミルクティー。
 
苺とヨーグルトを買ってきてあったし、昨日野菜の宅配で(だんな不在なので野菜セットは買わなかったけれど)いよかんが届いたので食後にあれこれ出すものもあったのだけれど、時間的余裕がなくてデザートはなし。
 
明日苺食べないと、と思いながら、淹れたフォートナム・メイソンのクィーン・アンをお代わり〜。

六本木 「L'ATELIER de Joël Robuchon」にて
 MENU DU MARCHÉ \3900
 グラス白ワイン \500

先日来、カラオケ行きたい!歌いたい!と叫んでいたら、「なら行きましょう」「行きましょう」と友人何人かからお誘いがきた。やったやったということで、今日はTさんとカラオケ。人数いたら照れもあるからと、2人きりでみっちりと、いわば「特訓」「影練」という感じ。
 
でも食いしん坊な私たちのこと、「せっかくだから美味しいお昼食べてから行きましょう」「夜も御一緒します?呼んだら息子、合流すると思います」と、「お昼に美味しいもの→カラオケ→夜に美味しいもの」と、濃厚なスケジュールになった。
 
六本木でカラオケにしましょうということで、ランチもディナーもその界隈で。
手早く済ませられるところ、一人ではちょっと気後れしちゃうところ、と考えて、ヒルズの「L'ATELIER de Joël Robuchon」(ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション)に行ってみることにした。
 
ヒルズが開業した当初、「カウンター懐石風のフレンチ」という目新しいスタイルもあって、店頭には行列もできる勢いでの大混雑が続いていた。まぁそのうち食べる機会もあるでしょうと、あっという間に数年経過。今は当日フラリと訪れても入れるくらいの混雑ぶり、でも、ガラガラというわけではなく、カウンターはほぼ満席の盛況ぶりだった。
 
最初は前菜とメインのプリフィクスにしようと言っていたのだけれど、私たちの座る向こうがデザートの作業台。次々綺麗なデザートが出ていくのを見ているうちに、「食べたいかも」「デザートもいっちゃいます?」という話になって、結局3900円の前菜・メイン・デザートのプリフィクスになった。突き出しと、たっぷりのパン、そして食後のドリンクもついてくる。前菜は3種類、メインは2種類(アイナメor鶏)、デザートは3種類からの選択になる。500円でビール、グラスワイン、ソフトドリンクもつけられるということで、私は白ワインを一杯。
 
突き出しには、一口サイズのポークリエット。リンゴのオブジェがあちこちに置かれたカウンター席、お寿司屋さんの冷蔵ケースのような目の前のガラス張りのケースの中には八角がみっしり敷かれていたりして面白い。そのケースの上に置かれた、赤い籠の中にはパンがたっぷりと、5種類ほど。ハードタイプのが3種類、バター多めのブリオッシュ風なのと、もう1つ、柔らかいミルクパン風のものと。
 
私が選んだ前菜は自家製スモークサーモン、メインディッシュはきのこのソースの鶏のグリル。デザートはこのお店の名物なのであるらしいクレームブリュレ。
 
実のところ、その後3時間歌いまくって、更に北京ダックをたらふく胃袋に詰め込んでしまったので、「……あれ?これ、何のソースだったっけ?」と記憶が若干曖昧になっている。メニューは帰宅してからネットで調べれば載っているかなと、メニューを控えてくるのも忘れてしまったので(たいてい、店頭に置いてあるメニューをデジカメでパパッと撮って帰ってきたりするんだけど……)、正式な料理名もわからず。
 
スモークサーモンには、同量くらいのチコリが添えられていた。かなりはっきりと存在感のあるレモン味のドレッシングが添えられて、ガラスの器に鮮やかに散らされていたのは砕いたピンクペッパーと刻んだシブレット。周囲にも、ジェノベーゼソースを飾るような感じにシブレットのソースが少量敷かれていた。あまりに濃厚に「燻製!」という感じではなく、ほのかにスモーク臭が漂う柔らかなサーモン。
 
鶏は骨つきの腿の部分と、鶏のムースを詰めた切り身のものとの盛り合わせ。たっぷりめにクリームソース和えのきのこが添えられている。肉の上には一口大にちぎられたロメインレタスが数枚飾られ、卓上にはフィンガーボールも。
 
全体的に恵比寿のロブション(カジュアルな"LA TABLE"の方)と同じくポーションは若干軽め、でもこちらの方が前衛的な感じはより控えめで、肩肘張らずにちょっと力を抜いて食べられそうな感じが好ましかった。むしろ、料理に比べてお店の内装などの方が、隙のないモダンな感じで、背の高い椅子は特に扱いが大変(これにスタイリッシュに腰掛けられる方がいたら心底尊敬してしまう!)。サービスの方の対応もそつがないな、といった印象だった。それにしても、お客さんに外国人の多いことにびっくり。相変わらずの盛況ぶりにもびっくりだった。
 
品名通りにバニラビーンズたっぷりだったクレームブリュレの上には色鮮やかなフランボワーズのソルベ。エスプレッソをシングルでいただいて、甘いクレームブリュレの後にぐいっと飲み干してから、いざいざカラオケ!と六本木交差点に向かって移動した。

六本木 「中国茶房8」にて
 北京ダック \3680
 (北京ダック・鴨肉と野菜の炒め物・スープ)
 水餃子(干貝柱・セロリ) 2×\105
 西汁泡腐竹(ゆばと香菜サラダ野菜ソース和え) \210
 酸辣白菜(白菜の甘酢漬け) \210
 烙餅(中国ナン) \210
 春巻 \400
 青島ビール、紹興酒など

昼食後は、歌え歌えの3時間。
 
真面目な歌うたったり、そうでないのも歌ったり、後半は「さて何を歌おう」と悩んだ挙げ句に「人面疽(人間椅子)」歌ったり、「蝋人形の館(聖飢魔U)」歌ったり、大変なことに。
 
「せりあさん、何を歌っても中島みゆきに聞こえます」
とお褒めの言葉(?)をいただきつつ、それでミュージカル「オペラ座の怪人」の「Think of me」を裏声で歌ってみたら今度は「詐欺だ」と評された。最後1時間は「私、疲れてきたからせりあさんが2曲歌って、私が1曲、ってくらいのペースがいいわ」と言われ、ならばお言葉に甘えてと更に熱唱。あー楽しかったー!お腹も空いたー!
 
このお出かけの予定が決まった時に
「私、火曜日お出かけするけど、学校終わったら都内まで出てくる?Tさんと夕御飯食べられるとしたら一緒に食べたい?」
と息子に聞いてみたところ、「行く!お出かけする!」とのことで。
 
携帯電話持ってるし、何度も来たことのある道だから大丈夫でしょう、と、電車とバスを乗り継いで六本木まで出てきてもらった。3時間の熱唱の後にお店を出ると、息子の乗ったバスがバス停に到着する数分前。合流して少しヒルズをぷらぷらしてから、夕飯の場所に向かった。
 
北京ダック食べましょう、がっつり食べましょう、ということで向かったのは「中国茶房8」。
 
北京ダックが1羽3680円(1羽買いだから2人で食べても4人で食べても値段は同じ)。
焼き上がったダックを「これだよ」を見せに来てくれて、目の前で皿に盛りつけていってくれる。肉もつけた皮をおおむね全体からこそいだら、残った骨際の肉は後でもやしなどと共にピリ辛の野菜炒めにして、骨でとった濃厚なスープと共に後で出してくれる。
 
卓上には更に、3種類の甘辛いタレ、刻んだきゅうりと長ねぎ、揚げワンタンの皮、そして北京ダック用の小麦粉生地が10枚くらい。
 
ダックが焼き上がるまでの間、箸休めにもなるだろう白菜の甘酢漬けとか、思った以上にピリ辛味だった湯葉と香菜のサラダ、息子のリクエストで烙餅と春巻などを注文していたので、ダックはとうてい全部は食べ切れず。テイクアウトの容器代150円を払えば包んでくれるとのことで、食べ残したダックと炒め物は包んでもらうことにした。
 
ちょっと久しぶりにやってきたこのお店、3個105円の水餃子は若干小ぶりになっていて、しかも今日はかなりしょっぱかった。値段が値段だけに、全体的に上品かつ繊細な味わいなどとは程遠かったりするのだけれど、もう食べられないってくらいに北京ダックが食べられるのはとても幸せ。赤い電飾が店内店外ともに輝きまくるキッチュな雰囲気もかなり好き。
 
早めの夕飯だけれど、今は歓送迎会シーズンだしと一応予約を入れておいたところ、あれよあれよと店内は混雑して、お会計を済ませるころにはほぼ満席となっていた。スープはさすがに飲みきれず、しかも持ち帰ることもできないしで残して帰ってしまったのが非常に心残り。
 
パリパリに良い具合に焼けた皮とその下のジューシーな肉、あれこれ巻いて好みのソースをつけて食べる美味しさ、楽しさも久しぶり。
大人が4人くらいいれば良い感じに平らげることができる(他の料理ももうちょっと色々楽しめる)から、また友人たち誘って来たいお店。

3月17日 水曜日
今日のおやつ、栗のしぶ皮煮
「Joël Robuchon」の
 パン・オ・ショコラ
 4種のチーズのフォカッチャ 半分
カフェオレ

遠い出張先の海外の地で、毎日パンの朝御飯を食べてるんだろうなーとだんなを思いつつ、昨日ロブションであれこれパンを買ってきた。私の分はパン・オ・ショコラ、息子の分はカスタードクリームの乗った丸いパン、あとは「4種のチーズのフォカッチャ」を半分こ。今日はやっぱり紅茶じゃなくてこれでしょ、とコーヒーを淹れた。
 
以前買ったときにはそれほど「すごく美味しい」と思わなかったのだけれど、パン・オ・ショコラはなんというか「間違いのない味」という感じ。安心して美味しくいただけた。お値段も強気なものだったから、これで美味しくなかったら怒ってよいとは思うのだけど、チョコの分量もパンのフワサク感も「これぞ王道」という風のもの、上質な味がした。
 
そして、それよりも「あ、これは大好きだわ」と思ったのがフォカッチャの方。青カビチーズが強い存在感を放っていて、モチモチとした生地の上には香ばしいくるみのトッピング。蜂蜜の甘さも感じられ、しょっぱさと甘さの程良いバランスがとても心地よかった。
 
食後には甘い苺。ちょっとばかりリッチな朝御飯。

「甘納豆かわむら」のしぶ皮栗
抹茶入り玄米茶

今日のおやつは、昨日友人にもらった、栗のしぶ皮煮。
 
金沢の「甘納豆かわむら」というお店の、そのお菓子の名前は「しぶ皮栗」。シックな栗色の紙袋には、そのお菓子の名前と共に「素材は、国産栗とザラメ糖のみ」などと小さく説明が書かれていた。可愛いなぁ。パッケージもとても素敵だ。
 
これはお茶、お茶淹れなきゃね、と、仕事が一段落したところで抹茶入り玄米茶用意してひとやすみ。
 
焦げ茶色の栗は見た目はちょっといかつく、固そうに見えなくもない感じだったけれど、口にしてみるとしっとりと甘く柔らかく、とても上品な味。まぶされたザラメの、じゃりっとした食感も懐かしい感じで、甘さの加減もちょうど良かった。
 
甘納豆そのものも有名なお店だそうで、きっとそれらもとても美味しいのだろうなー。
金沢・富山の方面には一度も足を向けたことがないこともあって、一度行ってみたいなと思っている。金沢21世紀美術館とか、行ってみたいのだ。

「中国茶房8」の
 鴨肉と野菜のピリ辛炒め・北京ダック
スモーク塩鯖
いかなごのくぎ煮
豚汁
羽釜御飯
麦茶

「だんながいない間、豚汁でも作って、ずーっとそれ食べてようかなぁ。一度作っちゃえば、あとはらくちん♪」
と冗談半分言っていたら、
「その豚汁は、俺の口にも入るのかな?」
と、(´・ω・`)←こんな顔をして呟いていた。
 
ああ、出張から帰ったらそういうの食べたいよねと、今日のうちに豚汁を多めに作っておくことに。
 
豚肉と、あとは大根も買わないと……と思っていたのだけれど、今日はやけに忙しくて、夕方になってからまたバタバタ。結局息子に「ゴメン!習い事の帰りに買ってきてちょうだいな」と肉屋と八百屋に寄ってきてもらった。
 
豚汁と炊きたてご飯、あとはありものが色々あるので、おかずはそれらを盛り合わせただけでけっこうな分量になった。
昨夜食べきれなかったのを包んでもらった鴨とその炒め物、先日作ったスモーク鯖。いただきものの、いかなごのくぎ煮は小皿に少しとってご飯に乗せていただいた。
 
鴨肉ともやし、にんにくの芽などが入った炒め物は、見るからに鮮やかなラー油の色をしていて、実際じわっと辛さがある。息子はあまり食べられないだろうなと北京ダックの残りの方を多めに銘々皿に盛りつけてあげたものの、
「ダメ……これ、ちょっと辛すぎる……」
と炒め物には悲鳴を挙げていた。美味しいんだけどなぁ、ダメですか、と、私は鯖つついたりダックつついたり。全体的に塩気のあるものだったので、ご飯が進んで危険な夕御飯だった。だから今日は"桃ラー"(←桃屋の"なんとかラー油")の出番もなし。

3月18日 木曜日
夕飯は、筍山盛りのお弁当だったのでした。
イングリッシュマフィン ハムチーズエッグサンド
アイスカフェオレ
苺 牛乳&練乳がけ

「今日はちょっと時間ありそうだから、苺に牛乳とコンデンスミルクかけて潰して食べる余裕あるかもよ?」
と、昨日は今ひとつ余裕がなくてのんびり苺をつまめなかったから、今日は心持ち早めに朝食の支度。息子はサラダ用の深めの容器に苺入れて、苺スプーンでぎゅうぎゅう潰して、牛乳と練乳かけて食べるのが大好き。私も大好き。
 
ちょっと前まで、「僕じゃ潰せないから、お母さん潰してくれる?」と頼まれて息子の分までぎゅうぎゅうやっていたのだけれど、いつのまにか息子は自分で苺スプーンを操って器用に苺を潰せるようになっていた。じゃあそのうち桃の皮くらいは私の代わりに剥いてくれるようになるかしら……とちょっと飛躍した空想をしつつ、1人1個器抱えて苺をぎゅうぎゅう。これが「苺を最高に美味しく食べる方法」とは思えないけど、苺味のほの甘い牛乳が最高に美味しいんだなー。
 
パンは、あと2切れ残っていたイングリッシュマフィンにハムエッグ挟んで、チーズも挟んで。昨日多めに淹れたコーヒーをピッチャーに移して冷蔵しておいたので、お供はアイスカフェオレにした。

「美濃吉」の春小箱弁当
肉団子・野菜コロッケ
豚汁
麦茶

今日も朝から仕事して、仕事しながら歌っているうちに「ああ!カラオケ行きたい!」とまた思ってしまった。
息子も誘えば一緒に来るけど、でも1時間半もすれば「疲れたー」と言い出すので、もういっそ1人で行っちゃおうかな、真っ昼間だったらお客もそんなにいないだろうし……と考えているうちに息子の下校時間になってしまった。
 
「カラオケ行きませんか!?今からカラオケ行きませんか?」
行く?え、行かないの?行くよね、行くんでしょ?行こうよ、行くっつったじゃん……はい、行くということで!
と畳みかけたら、私のその言葉の元ネタを正確に理解した息子が苦笑いしながら「まかせてくれぃ!」とか言いながら身支度していた。
「俺たちホントは」「試験管ベイビー」「お米と一緒に」「リアルゴールド」などと掛け合いながら今日は千葉駅近くのカラオケボックスに向かう。
 
驚いたことに、目指したカラオケボックスは大混雑。店頭には高校の制服を着た学生さんグループで溢れていて、結局30分ほど待ってやっとボックスに入ることができた。今日もあれこれ歌いに歌って、2時間半ほど。料金が高くなる7時ぎりぎりまで2人で熱唱していた。
 
7時まで歌って、これから帰ると7時半。鍋に豚汁残っているから食べてしまいたいし、
「……お弁当でも買っていこうか。きっとデパ地下、安くなってるよ」
と、閉店間際の三越デパートでお買い物。息子は揚げ物の総菜屋さんの豚肉の生姜焼き弁当、私は「美濃吉」の和風弁当。30%OFFほどの価格だったお弁当と、同じく見切り品だった肉団子と野菜のコロッケを買ってきた。肉団子とコロッケは半分こしながらお弁当もぐもぐ。
 
全体的に薄味、上品な味付けだった私のお弁当は、全体的に筍たっぷり。
筍御飯に若竹煮、木の芽味噌和えの筍をはじめ、里芋と人参、ふき、椎茸、高野豆腐の炊き合わせ、だし巻き卵と塩焼きの魚、わらび餅まで入っていた。これが、本来1200円のところ800円。ちょっとばかりお得な感じだった。
 
……で、カラオケのしわ寄せで、まだ仕事中の私。気分転換に日記書いたけど、ただいま23:30。あと2時間くらい仕事してから寝よ……。

3月19日 金曜日
だんなおかえり!と、豚汁とか、炊きたて御飯とか。
「Johan」のクリームパン
ホットミルク
伊予柑

昨日立ち寄った閉店間際の千葉三越、でもさほど混雑もしておらず、案外とひっそりとしていた。「売れなきゃ売れないでいいやー」と早々に店じまいするお店が多い風に見えたのが、千葉そごうと比べて「あれ?」という感じ。
 
朝ごパンも買えるかなと寄ったJohanも、けっこう色々なパンが残っていて(コーンパンまで残っていた……買って冷凍庫に入れておくべきだったかなぁ)選択肢は案外とたくさん。チーズの乗ってるのもいいなカレーパンもあるなと思いつつ、クリームパンを買ってきた。息子が選んだのはメロンパン。
 
温める必要のないパンだから準備がらくちんだわ、と、
「今日はホットミルク飲みますかー?」
とホットミルクの用意をしつつ、クリームパンとホットミルク、伊予柑の朝御飯。
 
Johanのカスタードクリームも、もったりと濃厚な感じで好みな味。
今日は卒業式なのだそうで、5年生の息子はお手伝いがあるんだよといつもよりちょっとだけ良い格好(ジーンズは履かない、襟つきのシャツを着る、とかそのくらい)をして登校していった。

スパゲッティ (イセエビのトマトクリーム)
コーンスープ
アイスティー

明日から連休なのに仕事はまだすっきりとは終わっていなくて、「あと数点修正点が出る予定です」とwebサイト公式公開前の最終修正連絡待ち。昨夜はトップページのflashの修正が入ったので、今日の午前中にかけてあれこれと手直ししていた。jpgやgifでモノクロ画像読み込んでも、それはマスクにはならないんだねぇ……と、あまり使うことのないマスク機能を前に格闘してみたり。
 
バタバタしていることが予想されたので、もう給食もなく午前中で帰ってくる息子との昼御飯には、あらかじめレトルトのパスタソースを買ってきておいた。昨日駅ビル内のマーケットで2人選んできたのは、息子は大手メーカーのミートソース、私はハインツの「大人むけのパスタ イセエビのトマトクリーム」。
 
「あと、これこれ。これ飲んでみたかったの、ずっと前から」
と息子が「じっくりコトコト 濃厚コーンポタージュ」なるものも籠に入れてきたので、
「うわこれけっこう高いじゃん、2袋しか入ってないのに、他のメーカーの4袋分くらいの値段するよ?」
などと言いながら、まぁいいかとこれも購入。パスタもスープもレトルトな昼御飯になった。
 
なんでも息子、駅のホームにある自販機でこのポタージュ缶を見て、たいそう気になっていたらしい。
「一度飲んでみれば、"ああ、こんなものかな"って思うよ」
「それにね、コーンが缶の内側に貼り付いてなかなか出てこなくて、"イーッ!"って思うよ?」
などと私とだんなが伝えてはみたものの、それで興味が収まることはなくてより一層「一度飲んでみたい!」と思っていたのだそうで。
 
「だってこれ、同じロゴだったもん、同じ会社のスープでしょ?」
と、缶のパッケージを脳裏に焼き付けていたらしい息子。「濃厚」と名が付くだけあって、分量の熱湯を注いでも溶けきらないくらいの大変濃厚なスープだった。おお、確かに美味しいな……すごい勢いでコーンスープだ。
 
もうすぐ父ちゃん帰ってくるよと、外出の準備を始めつつ、お風呂などつけてみる。

「大珍樓」のニラ餃子
茹で豚&茹でほうれん草 手作りラー油添え
いかなごのくぎ煮
豚汁(ラスト!)
羽釜御飯
麦茶

そろそろ夕方、という頃に無事にだんな帰宅。
「これお土産〜」と、スーツケースや紙袋の中から次々にお土産が出てきた。チョコレート♪チョコレート♪その他諸々♪
 
今日帰ってきて、あと3連休のんびりだね……とはいかない今週の予定。
 
久しぶりにうどん食べに行っちゃう?行っちゃおう!と、今日の夜の便で寝台特急サンライズ瀬戸に乗って、連休3日間はうどん漬けになる予定だ。我が夫ながらタフというか……無茶なスケジュール組んじゃったなぁ、というか。「乗り鉄」の気がある私はとにかく嬉しくて楽しみで、ずっとわくわく。
 
今日の夜は外食になるかもしれないし……と、食材を買ってなかったので、ありもので済ませた家族揃っての夕御飯は、「いかなごのくぎ煮乗せた御飯と、豚汁を食べましょう」というテーマで。そういえば冷蔵庫の奥に塩豚入れてあるよ、茹でれば食べられるよ、あ、ニラ餃子もあったあった、と、あれこれ出したらそこ体裁が整った。
 
やや強めにしっかりと下味のついていた塩豚は、茹でてからスライスして、ほうれん草も茹でて添えてみる。そのまま食べても悪くない味だったけれど、ちょうど友人からお手製のラー油を貰ったところだったので、豚と青菜につけつつ食べてみた。ただ辛いだけじゃなくて(というか、そんなにガツン!と辛いものではなくて)、旨味たっぷりの、味わえるラー油。"桃ラー"も悪くないけれど、それよりずっと、なんというか自然な味だった。こう、"化学調味料で旨味増量させてるぜー!"みたいな感じではなくて、じわじわくる美味しさ。
 
まだまだ具が残っていた豚汁もだんなに好評で、鍋が空になったところで片づけ諸々、猫の世話などを終わらせて、東京駅に向かった。
 
初めて乗る「サンライズ瀬戸」の個室寝台。まるでホテルのように廊下を挟んで左右に個室のドアが並び、「B寝台1人用個室シングル」は、やや細めのベッドの他は靴を脱ぐエリア20×40cmほど、あとは小さなテーブルと荷物を置けるベッド脇の細いスペースのみという、思っていた以上の狭さ。それでも大きな窓がついていて、天井高も床から普通に立っていられるくらいの充分なもの。
 
「シングルツイン」サンライズツイン」といった2人用の部屋もあったのだけれど、それらは部屋数が少なくてあっという間に予約が埋まってしまったとのことで、息子も私もだんなもそれぞれ1人個室。「僕の部屋は上だー」「私、息子の真下だわね」ときゃいきゃいとお互いの部屋に行って荷物を置いた後に、1部屋に集まってお酒(息子はジュース)飲みながらちらっとお菓子などつまんだりして、横浜を過ぎた頃に就寝。
 
大きな窓が嬉しいなぁ、全体的に綺麗でとっても素敵……と、毛布かぶって枕抱えて、静かな部屋を満喫しつつすぐに寝てしまった。「A寝台1人用個室シングルDX」になると、部屋の中にテーブルと椅子、小さな洗面所までついているとか。すごいなサンライズ瀬戸。(ちなみにコイン式のシャワー室もついてます←家でお風呂入ってきたから使わなかったけどね……)

3月20日 土曜日
さぬきうどん屋さん巡り、これは「がもう」のうどん。
今日の内容は旅行記に詳しくまとまってます♪
香川のうどん屋さん巡り
「田村」にて
 うどん(小)(温かいうどんに温かいだし・セルフ) \150
 てんぷら(昆布) \50
 
「がもう」にて
小(冷たいうどんに冷たいだし) \130
天ぷら(ゲソ) \80
 
「はりや」にて
 かしわざるうどん \700
 
「池上製麺所」にて
 ひや(冷たいうどん+だし醤油) \150
 
「谷川製麺所」にて
 小(温かいうどんに温かいだし・セルフ) \200

朝7時半頃、サンライズ瀬戸は無事に高松駅に到着した。瀬戸大橋も渡って、瀬戸大橋初体験の私は大興奮。上階だった息子の個室にお邪魔させて貰って、海の上を走る車窓風景を満喫した。
 
今日はレンタカーを借りて、ぐるぐると香川県内を移動しながら、とにかくメインは「うどん屋さん巡り」。
8年前は、「1日7軒」(だいたい1軒1人1玉)なんて強行軍もできたけれど、今はもう、さすがにそこまでの量、胃袋が受け付けてくれない。
 
せっかくの美味しいうどんを美味しくいただけないというのも悲しいことで、
「まぁ、年齢相応に、"無理はしない"ってことで」
「ぼちぼちのんびり回ればいいよね」
と車を走らせ、今日は5軒のうどん屋さんを回ってきた。いずこも、8年前にも訪れた事のある、当時からの有名店ばかり。新しい店を開拓するわくわく感とは無縁の一日だったけれど、どこも幸せに美味しかった。やっぱりすごいわ、本場のうどんはすごいわ。たまんなく美味しいわ〜。
 
最初のお店は「田村」。
 
とても濃厚ないりこだしが素敵なお店で、その濃厚っぷりに対しての好みは別れるところかもしれないけれど、だんな曰く「このだしがたまらなく最高」とのこと。今日を逃すと明日明後日は休業らしいので、まずは開店時間が比較的早めな、このお店に向かってみた。9時開店の店に、到着は8時40分くらい。ぞくぞくとお客さんが集まってくる中(我が家は3組目くらいだった)、ちょっと早めに開店してくれたことを喜びつつ、朝御飯代わりにさらさらっとうどんを1杯。
 
ここは「小」とか「大」とか頼むと、どんぶりにぺろっとうどん玉を入れてくれ、後はセルフサービス。うどんをゆがく鍋のところまで数歩歩き、自分でテボにそのうどん玉を入れて、お湯の中でゆさゆさと揺らして温める。テボを引き上げてざっと湯切りしたらどんぶりに移し、タンクに入っただしを注いだら、葱や生姜、あとは有料の揚げ物を乗せたりして、お会計済ませてテーブルでいただく。
 
うどん玉を貰うすぐ脇では大将がひたすらに鮮やかな手つきでうどんを打っていて、もうなんだかたまらない光景だ。
澄んだ色味の薄いだしは相変わらず濃厚ないりこ風味で、のびやかなうどんはモチモチと素敵な歯ごたえ。切れ目がピシッと整っている、以前と変わらずとても綺麗なうどんだった。
 
他のお店では見かけない、大将おすすめだという「昆布の天ぷら」(甘じょっぱく煮た昆布をぐるりとロール状に巻いて天ぷらにしたもの)が、香りの強いいりこだしに似合うんだわ〜。
 
続いて、「田村」からほど近いところにあったものだから「がもう行こう!がもう!」と、これまた名だたる名店の「がもう」へ。
 
以前から行列のできるお店ではあったけれど、驚いたことに、到着時の9時過ぎで行列は50人以上。数十メートルに伸びる行列のうしろについて、「まぁ、時間あるし、のんびり食べないと満腹になっちゃうし」とのんびり待つことに。食べられたのは1時間ほど過ぎてからで、ここで息子も私も1玉食べたら次の店に差し支えちゃうねと2玉を3人で分ける形でいただいた。
 
ここは、冷たいうどんと温かいうどんを選べる。「温かいの」「冷たいの」と伝えると、それぞれどんぶりに入れられて渡される。だしはお会計を済ませてから、温かいの、冷たいの、だし醤油など、これも好みで。
 
「うう……ここで天ぷら食べたら、絶対後にひくってわかってるんだけど」
「でも食べたいよね……1個だけ」
と、私はゲソ天をトッピング。
 
遠く山や田んぼを眺めつつ(以前はもっと風光明媚な光景が間近に迫ってきていたけれど、駐車場拡充でお店周囲はちょっとばかり殺風景な感じになっていた)、屋外で食べるうどんの美味しさは格別。
 
このお店には冷たいだしがあったので、うどんも冷たいので。透明感のあるえぐみの全くない味のだし、ピシーッと折り目ただしく、でもぬくもりのあるうどん、全てがパーフェクト!という風の、すばらしいうどんだった。
 
人気店になると味が落ちる店が多い中、相変わらずの良心的価格、むしろますます美味しくなった風にも感じたうどんに感動。息子は最初「ちょびっとでいいよ?」などと言っていたのに、私のうどんを食べ尽くす勢いで麺を啜りまくっていた。今日5軒行った中で、息子曰く「1軒目と2軒目が、もう最高だった」のだそうで。
 
いつのまにか店外にお土産物コーナーまでできていて、麺は2玉単位、かけだしは1人分単位で買えるようになっていた。思わず大量に買い求めてしまって、荷物が大変なことに……。
 
「がもう」で1時間くらい並んでしまって、「大変大変、開店しちゃう!」と急いだのは、「はりや」。
 
これまた人気店のひとつで、ここは揚げ物を自分で選んで乗せたりということのない、店舗型のお店。カウンターには15人ほどしか座れず、回転はそれなりに早いものの、「うどん玉だけ貰ってあとはセルフ」というお店に比べると、どうしても待ち時間は長くなる。
 
できれば開店11時の20分以上前には到着して並んでいたかったところだけれど、お店の前に到着したのは開店15分ほど前のこと。店頭には既に10人以上のお客さんが並んでいて、私たちは「空席あと2つ、私たちは3人」という状態になった。ああ、1回転目に座れなかったかー、と数十分待って、むすこはシンプルなざるうどん(\400)、私はかしわざる、だんなは「いか天ざるうどん」(\700)を注文して、揚げ物はだんなと2人で半分こ。
 
ここのざるうどんのつけつゆは、ちょっと甘めさ強めの独特なもの。添えられた葱と生姜、胡麻をつゆに入れつついただくのだけれど、生姜を入れたこのつゆがまた良い感じ。やや太めに見える、どっしりとした麺は断面がこれ以上なくピシーッと美しい感じで、どこもかしこもピカピカしている。料理だけでなく、カウンターの向こうの厨房も、すごくピカピカで、これもまた気持ちがいい。
 
かしわ天は、鶏むね肉の天ぷらがごろりごろりと6個ほど。いか天は、1本ずつバラしたゲソがひと掴み分ほど、たっぷりどっさり揚げられている。天ぷらも、ちょっと胡椒の風味が効いていて、これをつけつゆに浸しつつ食べるのがよく似合う。
 
さすがにそろそろお腹一杯……「はりや」って、けっこうボリュームあるもんね……と車に戻り、でもまだ12時になっていないタイミング、もうちょっと行けるかな?と、車を走らせて今度は「池上製麺所」に。
 
8年前は、小ちゃい小ちゃいお店だった。当時、最寄りのスーパーで買い物ついでに車を駐車場に止めて、その足で美味しいと言われる「池上」を探して歩くこと数分。店の前にちんまりとおばあちゃんが立っていて、「うどん、たべてくぅ?」「これね、あたしンちー」と店に誘ってうどんを食べさせてくれたのだった。その時、他にお客は誰もおらず、ニコニコと話しかけてくるおばあちゃんの前で食べるうどんは本当の本当においしかった。醤油かけただけなのに美味しいと思ったうどんは、このお店の他には2つか3つくらいしかない。
 
あれから「るみおばあちゃんのうどん」は大変な人気になってしまって、その小ちゃいお店では駐車場を作ることもかなわず、近隣からマナー違反の駐車客にたいしてクレームが寄せられることになったらしい。そこで移転して、町から南下した空港寄りの場所が今のお店。
 
あの味がまた食べられるなら、と向かってみたら、そこはなんだかすっかり「観光地」だった。
店頭では若いお兄ちゃんが「食べるなら"ひや"がおすすめ、おすすめですよ〜」と声をかけ、「釜あげ希望のお客の列」「それ以外を希望のお客の列」に整然と振り分けられる。流れ作業のように麺もらって天ぷら、卵などを貰ったら、そのまま出口から外へ出てテーブルが並ぶ一角へ。そこからの出口は更にお土産売り場に続く……と、すっかり悲しい感じの効率化が図られていた。
 
以前は、温かいのか冷たいのかのうどん玉をもらって、だしはなく、味つけは醤油のみ(あと生卵)、という感じだったのに、今は「ひやかけ」「あつかけ」(だしは熱いものしかなく、うどんの温かさを選ぶ)も選べる。「釜あげ」も選べるようになっていた。
 
やっぱり池上ならこの味だよね、と、冷たいうどんにだし醤油をかけていただいたのだけれど……うーん、美味しいんだけど、不味くはないんだけど、でも「普通に美味しいうどん」くらいになっていて、悲しかった。あの小ちゃなお店のうどんは、本当の本当に神がかって美味しかっただけに、残念。次々来る観光客に対して笑顔で写真撮影に応えていたおばあちゃんがまた、なんだか悲しかった。
 
……で、ここで相当お腹一杯だったのだけれど、
「今1時、今から行けば谷川製麺所の営業時間に間に合うねぇ……あそこ2時閉店みたいだから」
近くだし行っちゃいましょうか!と、ここでとどめの1軒。
 
「がもう」に負けず劣らず風光明媚なところにある「谷川製麺所」は、だしが独特で私がたまらなく好きなお店。
昭和の時代にタイムスリップしたような店頭(なんかね、食事用に事務机とか置いてあるんだ……)からニョロリと暗めの厨房に入り、「小で」「大で」などと伝えると、どんぶりに麺を入れてくれる。「田村」と同じくセルフで、麺をゆがいて、巨大な寸胴鍋からだし注いで、葱を乗せたらテーブル(事務机)に移動。
 
自家製のしっぽく風のおつゆは、大根やごぼう、人参、油揚げ、鶏肉入りの優しい味のもの。椎茸入り。甘じょっぱくてなんとも良い味で、冬の季節には大将が捕まえるイノシシもだしに使われるのだそう。
 
うどんは細めで、のびやかだけれどちょっとこう、クタッとなった感のあるもの。「はりや」などが若侍の印象なら、こちらは"熟女の色気"的な感じがある気がする。
そうそう、ここ、食べるテーブルやら椅子やらが"適当なありものをリサイクルして使っています"風なのに加えて、冷水機の横に積まれたコップはなんと「ワンカップ」の空き容器。全体的に笑うしかないような、この商売っ気のなさ、気の抜けた感じが大好きだ。
 
ここでもう、「喉の上くらいまでうどんで一杯です」という感じになってしまい、うどん屋巡りはおしまいにして、あちこち寄り道しながら今日明日泊まる宿に移動した。4軒目5軒目は息子の分は頼まず、2玉を3人で分ける形で食べていたというのに、こんな早く限界が来てしまうなんて。なんだか悔しい。

「一鶴」からテイクアウト
 おやどり \980
 ひなどり \870
 とりめし \450
おつまみチーズ、スナックなど
チューハイ・缶ビール

今回、昔馴染みの知人がご主人をしている宿を選んだのだけれど、繁華街からはちょっと距離があるところで、
「でも今日はもう外に出て夕食って感じじゃないよね」
「早くお風呂に入ってビール!て気分じゃない?」
と、「一鶴」で焼き鶏のテイクアウトをしてきた。これもまた高松本店のお店。関東にも横浜などに支店はあるけれど、あまり行く機会がなくて、でも好きなお店だ。
 
噛みしめのある「おやどり」を1本、柔らかで食べやすい「ひなどり」を1本、あとは「とりめし」を1パック。
スーパーで飲み物購入ついでにチーズのおつまみやスナック菓子も少しだけ買って、宿でのんびり入浴を楽しんだ後に部屋でそれらを分け合いつつ食べた。
 
幸い、宿のロビーフロアに「ご自由にお使いください」と書かれた電子レンジがあったので、これ幸いとあれこれ温めて美味しくいただく。ピリ辛味の、染み出た脂の量がすごい鶏肉は「おや」も「ひな」もそれぞれ相変わらずの美味しさだった。いわゆる「骨付き鶏もも肉」なのだけれど、「おや」はびっくりするほどの歯ごたえがあり(噛みちぎれないから、肉にたくさん切り込みが入っている)、「ひな」は普通にイメージできる感じの「骨付き鶏もも肉」な感じ。
ごくごく軽く、おつまみ程度の夕御飯にしておいて、また明日の朝から全開の予定。
 
朝5時半からオープンしているうどん屋さんなんかもあるんですよ、奥さん……。

3月21日 日曜日
「まえば」で、かけうどん。トッピングは金時豆の天ぷら!(甘いのよ〜)
今日の内容は旅行記に詳しくまとまってます♪
香川のうどん屋さん巡り
 
高松市「うどんバカ一代」にて
 温玉肉ぶっかけうどん(冷・小) \470
 
坂出市「山下うどん」にて
 うどん(小) \150
 
綾川町「松岡」にて
 かけうどん(小) \230
 ゲソ天 \120
 
道の駅「滝宮」にて
 さぬきうどんアイス(さっぱり) \200
 
丸亀氏「まえば」にて
 うどん(小) \200
 ちくわ天
 
綾川町「赤坂製麺所」にて
 冷たいうどん+生醤油 \200
 
善通寺市「長田in香の香」にて
 たらい(小) \1000 を6人で

泊まった宿の一帯には、朝6時と夕方6時に、割と派手な音でチャイムが鳴り響く仕様らしい。
その音で目が覚めて「なんだぁ?」と時計を見るとちょうど6時で、でも外はまだかなり薄暗かった。そろそろ太陽も出ているはずなのにおかしいなと窓の外を見ると、おそろしいほどの強風で、不思議な感じの曇り具合は、どうも「黄砂」が舞っているのであるらしい。午前中はずっと大気が黄色く濁っているような感じだった。
 
そんな中、いそいそ出かけたのは、比較的朝早くから営業している高松市内のうどん屋さん「うどんバカ一代」。
 
大将が空手家だからその店名なのだそうで、キムチ乗せうどんとか梅うどん、山かけうどん、カレーうどん(牛すじ煮込み入り!)などなど、うどんメニューの種類は大変に豊富。加えて揚げ物もあれこれ種類があり、海苔巻きやら稲荷寿司やら、挙げ句にはカレーライスまで、本当に色々なものを朝も早くから食べることができる。やってくるお客さんたち、老若男女(子供連れも)まんべんなくいて、普通に「大」サイズなどをトレイに乗せて、しかも揚げ物も数点盛って……という感じなのが非常に多い。みんな朝からパワフルだ。人のことは言えないけれども。
 
これが今日最初の食事ということですっかり空腹だった私は、ついつい「温玉肉ぶっかけうどん」の冷たいのを、小で。いきなり最初の1杯から肉と卵を乗せてしまった。
息子は「釜バターうどん」の小(\470)という面白いメニューを、だんなは「まだまだ食べるし」と自制してかけうどんの小(\190)に、イイダコの天ぷらを添えて。
 
「空手家の大将が打ったうどん」という印象に違わない、温かいのも冷たいのも、「ピシッ」とした、折り目正しい風だったこのお店のうどん。私のうどんは、麺もだしもうっとりするほどにキーンと冷えていて、上にはどっさりの牛肉の甘辛煮が温泉卵と共に添えられていた。揚げ玉と葱のトッピングは自分で行う。別添で小皿に大根おろしとレモンが1切れも盛られてきた。
 
最初は大根おろしとレモンを添えずにそのままいただき、途中からそれらを加えつついただいてみる。牛肉と卵のこっくりとした味に大根おろしとレモンのさっぱりとした感じが不思議と良く似合って、朝からぺろりと軽やかに平らげてしまった。うん、麺もおだしもちゃんと美味しいお店だ。市内、繁華街近くにこういう幸せなお店があるって、いいなぁ。
 
息子の注文した「釜バターうどん」は、釜あげうどんにバターを1かけ乗せ、生卵を落としたもの。上からは粗挽き黒胡椒が少量、パラリと。
いわば「バター醤油 卵かけ御飯」のうどん版で、うどんの熱で卵にわずか火が通り、「これはちょっと反則だろう!」という美味しさだった。いいなぁ釜バターうどん。家で冷凍うどんで作ってみても美味しく食べられるかしら。
 
今日はお昼頃、関西に住む友人たちと落ち合うことになっている。落ち合う先は丸亀市方面なので、では今日はそちら側のエリアで食べ歩きましょうということで、車を西に走らせた。
 
まず行ってみたのは、坂出市の「山下うどん」。
 
店頭に「郵便局員休憩所」の札が下がっているこのお店、川沿いの風光明媚なところにある。以前から『恐るべきさぬきうどん』あたりの本で存在は知っていたけれど、訪れるのは今回が初めて。なんとも雰囲気のあるお店だった。
 
そっけない風(いずこのものかをリサイクルしたかのような)のテーブルと椅子が無造作に並び、厨房の奥にはどでかい釜がドドンと置かれて次々うどんが茹でられていく。うどんを小とか大とか、サイズで頼むと、テボに入れた玉をその大釜でちゃっちゃとゆがいて丼に移し、渡してくれるのだった。だしと葱は自分でよそう。
 
基本的に、「温かいうどん+温かいだし」でいただくかけうどんのみがこのお店のメニューで、揚げ物は10種類ばかり置かれていて、名物は芝海老たっぷりのかき揚げらしい。他のお店にも行くしと、揚げ物はここでは食べなかった。
 
茶色みが強い、醤油の味が若干強めのだしと、丸みを帯びた優しい味のうどんという組み合わせ。窓から降り注ぐ陽光と、大釜からの熱で暖められる店内の暖かさがなんとも気持ちよかった。しかもお店の中には白に黒のブチの猫までいる。うどんの印象と同じ、人なつっこい猫は
「こんにちは、うどん食べに来ましたよ」
と撫でに行ったら私の膝にスリスリ、腰にスリスリ、そこら中に顔をすりつけた後、玄関先で(いかにも人に踏まれてしまいそうな場所に)ゴロリと横になった。うはー、可愛いなー。猫にもうどんにも癒されました。
 
近隣のエリアの美味しいうどん屋さんを攻めましょうということで、次に目指したのは「宮武系」のお店、「松岡」。
「ひや」では歯をくいしばらないと噛みきれないほどのやや太めのどっしりとした強い麺、力強いだし、味わい深い巨大なゲソ天……といった共通点がある「宮武系」、残念ながらその大元の「宮武」は少し前に惜しまれながら閉店してしまっている。
 
「宮武系」は他にいくつか残っているものの、美味しかったなぁと記憶に強く残っていたのがこの「松岡」。温かいうどんも冷たいのも、腰の据わった"ムチマッチョ"な感じの麺は相変わらずだった。
「やっぱりゲソ天は食べないと……」
と、私はゲソ天をトレイに乗せ、だんなはおでんコーナーから牛すじを1本皿にとっていた。
 
ここは、揚げ物やおでんはセルフだけれど、だしも葱も厨房でよそわれて出てくるスタイル。
透明感のある、えぐみはないのに濃厚なだしの美味しさも変わらずで、息子は「このうどん美味しいね!」とばかり、すごい勢いで啜っていた。息子が好きなお店は、「田村」「がもう」「松岡」だそうで、要するにすっきりとした透明ないりこだしが味わえるお店が良いのであるらしい。わかりやすい。
 
お店の雰囲気もうどんの雰囲気も変わらないことに一安心して、ちょっとお腹一杯になっちゃったねとすぐ近くにある「道の駅」で一休み。
 
大きめないりこの袋が、私たちの住む地元では考えられないくらいに安かったので思わず購入。そして息子が「これ食べてみたい!」だそうで、「さぬきうどんアイス」なるものを1個買って皆で食べてみた。
 
アイスの中に、うどんの切れ端がちらちらと5切れくらい入っていて(もちろんアイスなので凍ってるわけで)、非常に面白いアイスだった。でも、「さっぱり」なら普通に美味しくいただけるかな。
 
うどんアイスは3種類あって、一般向けの「さっぱり」、チャレンジャー向けの「純こってり」「超こってり」という品揃え。「さっぱり」は、甘さ控えめのラクトアイス風の、でも甘いしだしの味はほとんど感じないしで食べやすいものだったけれど、「こってり」になるとかなりしっかりと「味はいりこのだしの味!」という風になるらしい。次回「こってり」食べてみようかしら……挑戦しすぎかしら。
 
友人との落ち合う時間まであと少し。あと1軒くらい行けるかなと車を走らせたのは丸亀市の「なかむら」で、でも今日はあいにくの臨時休業。あいやー、と、落ち合う予定の「まえば」に向かった。
 
友人たち、連休ということで高速道路の渋滞につかまってしまっているらしい。まだ少しかかってしまうようだったので、次の店で落ち合うことにして、私たちは「まえば」でうどんを1杯。
 
以前、友人(=今回宿泊の宿の若旦那)に「ここのだしが、最高に美味しいんです!」と勧められて8年前にも来たお店。相変わらずの繁盛で、駐車場は常に満杯という状態だった。
 
うどん玉を貰って自分でゆがき、トッピングとってだし(温かいののみ)注いで葱乗せてお会計、という完全セルフのお店。
ここは限定個数の「半熟卵の磯部揚げ」が名物なのだけれど、限定個数ということで今日訪れた時には既に品切れだった。私はちくわ天を1本、だんなは「これ……タコのかき揚げかしら?」と、見慣れぬ大きなかき揚げをどどんと丼に乗せて、お会計。
 
「これ、何の天ぷらですか?」
とだんながお店の人に聞いてみたところ、なんと金時豆の天ぷらだった。「最近ねぇ、香川で流行してます」だそうで。初めて見たよ、金時豆の天ぷら。
 
適度にコシのある、強すぎず弱すぎずの舌触りが絶妙な加減の、このお店のうどん。澄んだだしの味も変わらず冴えていた。
 
この、優しい感じのうどんに、ほの甘い「金時豆の天ぷら」が妙に良く似合う。金時豆は甘く煮られていて、それをざっくりとかき揚げにした風のもの。だしでやわやわと衣がほぐれて、甘い豆と衣と一緒にうどんを啜ってだしを飲むと不思議な感じに「しょっぱ甘く」てクセになる味だった。
 
このお店、「谷川製麺所」と同じく水のコップがワンカップの空き容器。
「ワンカップだね」
「ワンカップだわ」
と、だんなとニヤニヤ。
 
そして無事に友人一家と落ち合うことができたのが「赤坂製麺所」というお店。
「陶」の駅前、川沿いの小さな製麺所で、前身はうどんではなく「素麺打ち」のお店だったのだよと友人が教えてくれた。だから麺もちょっと独特で、断面が丸っこくて若干細い、ツルリのっぺりとしたもの。
 
「何人で来た(何玉要る)のか」「あったかいのか、冷たいのか」「だしか醤油か」を順番に伝えると「ぬくいのなー!」と奥で小柄なおばちゃんがシャキシャキと動いてうどんを手渡してくれる。この「チヅコおばちゃん」もまたこのお店の魅力の一つ、であるらしい。
 
私は冷たいうどんに生醤油で、だんなは温かいうどんに温かいだしかけで、いただいてみた。
 
ピョーンと口元で伸びる感じの、表面がトゥルトゥルとした風にも感じる独特な食感の面白いうどん。「断面四角のピシッとしたうどん」とは対極の、やわやわとした外見と食感。でも「しまりがなくてダンゴになります」という風ではない、1本1本が綺麗にバラけた心地よい舌触りのうどんだった。
 
注がれて渡されるだしは、お醤油の色がやや強めの、ぶっかけのだし風なもの。醤油は自分で注ぎ、「もうちょっとあったほうがいいね」と足しに行ったりしつついただいた。
 
友人一家との再会を喜びつつ、子供たちはさっそくゲームに興じていたり。
 
次のお店に行きましょう!と「どこに行こうか」と意気込むものの、そろそろ製麺所などは店じまいの時間帯(うどんの店は午後2時頃を境にあっというまに店じまいするところが多い)。一般店に行きましょうかと丸亀市の「明水亭」に車を走らせてみると、今日はあいにくの休業だった。友人のガイドブックには日曜は休業ではない、と書かれていたものが、いつの間にか変更になっていたらしい。私のガイドブック(私のは2010-2011年版)を改めて開くと、「日曜休業」と書かれていた。車酔いしやすいから車内では極力文字を見ないようにしていたこともあって見逃してました……スミマセン。
 
ましてやこの連休は日曜が休日で月曜が振り替えなので、「今日は日曜扱いなのか、休日扱いなのか」でそれぞれのお店の営業も違っていたりして、なかなか大変なのだった。
 
あそこなら大丈夫、やってます、ということで、車をそのまま同じ方角に走らせて、善通寺市の「長田in香の香」へ。
店頭には30人くらいの行列ができていて、数十分待ってせっかく6人いることだしとたらいうどんを食べてきた。
 
「長田」はもともと以前からあるお店。「釜あげが名物」「だしはとっくりに入ってテーブルにやってくる」「テーブルにはポットに入った大量の葱」といったスタイルはそのままに、善通寺市にも「長田」ができた。だし担当のおばちゃんが独立して?とかなんとかいうのは、ちらっと聞いた話。
 
12玉入る「たらい(大)」もあるけれど、さすがに我が家はそこまでお腹に入らないということで、注文は6玉入り(大3杯相当)の「たらい(小)」で。
うどんが茹であがってくるまでの間、テーブルにやってきただしを蕎麦猪口に注ぎ、卓上の葱をぶわっとそのだしの中に入れて、で、葱を食べつつ待つ。だしの甘じょっぱさが葱の辛さと似合って、「勝手に前菜用意して食べてます」状態。そんな感じのお客が多いからか、卓上の葱容器はどの席もちょびっとになっていて、「ねぎくださーい」と足してもらってはまた食べる(で、また容器が空近くになる)。
 
普通の店で「温かいうどん」というのは、一度水でもみ洗いして締めてから1人分まとめて「玉」にしたものをゆがいて温めたもの。「釜あげ」は、茹で上がったそのまんまの麺で、水にはさらさない。だからなんとも優しい口当たり。表面が水吸ってたぷたぷと柔らかな食感で、中はシュッとしたコシが感じられて、やわやわくにゅくにゅツルツル、うまーうまーという「喉ごしの気持ちよさ」を感じるのが釜あげ、という感じ。
 
長い長い麺をたぐるようにしてつけつゆに浸して啜る「たらいうどん」、たいそう楽しかった。子供たちもけっこうな勢いで食べていて、「あら、これだったら大でもいけたかしら」なんて思ってしまったりして。

宿で
 スーパーのお総菜とか、吉野家の牛丼とか
 缶ビール、チューハイ

ここで、私たちはそこそこお腹も一杯になってしまったし、「今日の最後は"大円"のぶっかけ食べに行こうと思ってるんですー」と友人一家とお別れ。
 
でもここからが大変で、鼻息荒く目指した高松市内の「大円」は玉切れで営業終了、えええー?とがっかりしながらうどんガイド本開いて、「ここなら?」と訪れてみた「麦蔵」というお店は午後3時で営業終了(18時から再営業するような本の記載だったけれど夜の営業はせず、らしい)、それからそこそこ夜遅くまでやっている巨大かき揚げが名物の「もり家」に向かってみるも、店頭の大行列に臆してしまい、「この寒空の中、何十分も外で並ぶのはちょっと無理……」と諦めた。
 
今日は日曜(祝日)ということもあって、夜にやっているお店はいつも以上に少なくて、そのまましょんぼりと宿に帰還。
もともと、「大円でぶっかけ食べたら、お風呂入って軽くつまみましょう」とスーパーでビールと少しばかりのおつまみ(スパゲッティのサラダ、ミニサイズの唐揚げパック、ねぎとろ巻き、おつまみチーズ)を買っていたところだったので、「どこかにテイクアウトのお店ないかなーお弁当屋でもいいけど」と車を走らせているうちに「吉野家」があったので牛丼と豚汁も買い足した。
 
日が暮れてからすっかり肌寒くなってしまっていたので大浴場で存分に温まってから、部屋でちまちまっと軽めの夕御飯。
息子は「僕、まだお腹いっぱいだし、もうそんなに食べられないよー?」みたいな事を言っていたから牛丼も1個しか買わなかったのに、お風呂上がりでお腹も空いてしまったおんか、息子がすごい勢いで食べる食べる。結局豚汁も牛丼も、私とだんなの口にはそんなに入らなかったのだった。
 
あいやー……と、チーズつまみつつ缶ビールとチューハイ(みっくちゅじゅーちゅハイ)を空にして、早めに就寝。今日もおつかれさまでした〜。いよいよ明日は最終日。