食欲魔人日記 00年9月 第4週
9/18 (月)
お祖母ちゃんの
 お赤飯
 きんぴらごぼう
アイス烏龍茶

2合くらいだと思っていたお赤飯は、実は3合以上あるらしかった。金曜の夜にお祖母ちゃんにいただいてきた赤飯は、有り難いことにまだまだまだまだあるのであった。う、嬉しいけどちょっと急いで喰わねばならない。
だんなと私の分の2膳分の赤飯を温め、祖母手製のきんぴらごぼうも合わせて食卓へ。ごま塩をパラパラふって、栗入りの赤飯をたっぷりと食べる。

フレッシュネスバーガーにて
 ネギミソバーガー
 ホットコーヒー

フレッシュネスバーガーにふらりと入る昼休み。
しかし、メニューを見るまで忘れていたのだ。今日はあっさりめな、低カロリーな食事を心がけようと。
オニオンリングはまずかろう。バナナケーキなんてもっとまずかろう。じゃあここで食べるものないじゃん!(←失礼な)とメニューを前に苦悶しつつ、好物のネギミソバーガーを注文。ドリンクは砂糖もミルクも抜きのホットコーヒー。

甘辛いこってりした味噌だれのハンバーガーは相変わらず美味しい。かぼちゃ入りのバンズにハンバーグ、それに長ねぎに味噌というのは良く考えると違和感がいわいわと押し寄せてくるけれどこれが妙に旨いのである。小ぶりのハンバーガーをぺろりと食してちょっと薄目のコーヒーを流し込み、いざいざ午後のお仕事へ。

しゃぶしゃぶ牛肉とアスパラガスのパスタ
キャベツとベーコン入りトマトのスープ
モルツ、アイス烏龍茶
桃、梨

滅多に買わない素晴らしい霜降りの牛肉を、先日お義母さんからいただいた。薄切りのすき焼き用のようなそれは、昨日バターにんにく醤油で炒めたらごっつぅ旨かった。まだ残っているそれを使って、スパゲティを作成。確かあったはず、とインターネットで探して見つけた日高良実さんのレシピを参考に、アスパラガスと合わせたオイルパスタにする。

たっぷりの牛肉はしゃぶしゃぶに、アスパラガスは網焼きに。たっぷりのオリーブ油でにんにく薄切りをこんがり揚げる。皮むき器で薄くこそいだパルミジャーノ・レッジャーノチーズとトマトの水煮缶を少々、バジルペーストとガリガリ削った黒胡椒とをまとめて全部茹でたてのスパゲティと和える。薄切り牛肉はヒラヒラと大量に混ざり、ざく切りしたアスパラガスのこんがり加減も良い感じにできた。

で、缶の1/3ほども使わなかったトマトの水煮缶はコンソメスープと合わせてスープにする。炒めたベーコン、キャベツ、にんじん、じゃがいも入り。酸味の強いトマト缶なので、旨味や甘味を補うべく"どろソース"をひとたらし。トマト色一色のスープにトマト色がほんのり混ざるパスタがテーブルに並んだのだった。

和えられたパスタの鍋を覗いた帰宅直後のだんなが、
「イタリアの匂いがするー」
となんだか嬉しそうだ。
揚げにんにくとトマトとオリーブ油が入っているんだから、それは確かにイタリアの香りだろう。アスパラの焦げの香ばしい匂いとかさっと茹でただけの牛肉の旨味とか、これはなかなか思った以上に美味しいスパゲティだった。

9/19 (火)
フレンチトースト
アイスカフェオレ

今朝はいつもより1時間早く起きてみた。
昼御飯用の弁当を作り、しかる後に30分ほどDDR3rdMIXにて踊ってみる。うむ、健康的な初秋の朝だ。
汗だくだくになってシャワーを浴びて台所に戻ってみると、だんなが卵をカチャカチャと溶いてフレンチトーストを作り始めているところだった。卵と牛乳を溶いて、ちょっとだけ砂糖を入れた卵液で焼いたフレンチトーストが今日の朝御飯だ。

いつもは焼き上がりに更にバターを落として、上からたっぷりメープルシロップなぞかけて食べるところだけど、今日の私はぐぐっと我慢してみる。こんがり良い感じにキツネ色に焼けていたフレンチトーストはアツアツでふわふわでやたらと美味しかった。
そう、フレンチトーストにはカリカリに焼いたベーコンもまた似合うのだ。今日はできなかったけど。

三色御飯
きんぴらごぼう
きゅうりの浅漬け
アイス烏龍茶

久しぶりの手製弁当の昼御飯。本日は鶏ひき肉を使っての三色弁当。
醤油と味醂で炊いた鶏そぼろと塩味の炒り卵を御飯に敷いて、あとは緑のもの。これが、冷蔵庫を覗いてみたらきぬさや無し、さやいんげん無し、ほうれん草すら無し、というちょっと悲惨な今朝の状況なのであった。緑のものはブロッコリーとニラとししとうとピーマン。どれもちょっと違うだろう……と思いつつも検討する私。ブロッコリーを茹でてほぐして乗せてポロポロであろうそれを我慢するか、ニラを茹でて刻んでニラ臭い御飯を不満に思うか、ピーマンの苦さを無視するか。……で、結局"ししとうならまだましかもしれない"という結論に達し、茹でて刻んだししとうに塩をまぶして鶏そぼろと卵の間に帯状に飾ってみた次第。

御飯の脇にはきんぴらごぼうときゅうりの浅漬け。久しぶりに作った割にはなんとなく良い感じの弁当になったのであった。烏龍茶を傍らに置き、弁当を食す。
生姜を効かせた鶏そぼろは結構美味しかった。ししとうは案の定苦くて辛くてどうしようと思ったけど、不味いというほどは不味くなかった。ピリリと辛いきんぴらごぼうに塩気のあるきゅうりの浅漬け。お弁当も良いものだ。

台場DECKS つきじ植むらにて
 しゃぶしゃぶ食べ放題
 冷や奴
 つくね
 牛すじの煮込み
 台場地ビール

台場DECKS ブルイーイングカンパニーにて
 ココナッツジェラート

午後6時半。だんなが予想外に早く帰ってきてくれて、一家が早い時間に集合することになった。
「今、ジョナサンでハンバーグを300円で出しているそうです、奥さん。」
なんてだんなが言うもんだから、夕食は急遽外に出かけることになる。ヘルシー食を心がけて3日目にして早くも破綻の傾向に。

結局、近所の行きやすい場所にジョナサンは無いということが発覚して、何故か台場に向かっている。
「ビールが飲みたい。ビールビール。」
と呟く私に、
「肉が食べたい。がつんと肉を。肉肉肉。」
と腹が空いているらしいだんな。ただただご機嫌な息子。

かくして、「多分空いているからDECKSに入ろう」とDECKS内をうろうろする。AQUACITYに客を取られたか、ヴィーナスフォート方面に女性客が流れてしまったのか、案の定平日のDECKSはガラ空きだった。「欣葉臨海樓」で飲茶っぽいものを食べようと一旦は落ち着いたのであったけど、
"しゃぶしゃぶ食べ放題 \2,500"
の文字に惹かれただんなが「肉、肉、肉」と店頭から動かなくなったので「つきじ植むら」に入店。肉と野菜、ラーメンが食べ放題であるらしい。

席につくなり、速攻ビールを注文する。台場の地ビールに、つまみに牛すじ煮込み。突き出しに冷や奴を貰って、とりあえず乾杯する。
赤色が強い地ビールは少しの甘味とこってりとしたコクがあって悪くない。ぷはーっと半分ほど飲み下して、やってきたビーフシチュー状の牛すじ煮込みに手をつける。

ほんのり味噌味の牛すじ煮込みはあんまりすじすじしていなかった。ゼラチン状のところは少なくて、普通の肉の部位が多いような、上品な印象だ。さらっとしたシチュー状のスープにぷかぷかと十数切れが沈んでいる。上から生クリームの飾りがちらりと。……上品である。牛すじ煮込みは、やはり下卑た風にゼラチン状の肉がごろごろと固まっているようなのが美味しいと思う。

で、しゃぶしゃぶ食べ放題〜♪
1人前あたり80gくらいのしゃぶしゃぶ肉の盛り合わせが1人1つ、野菜の盛り合わせが1つやってくる。ポン酢のタレに、茹でるだしは豆乳炒りで白濁しているものだ。ビールの酔いとコンロの火に汗をかきつつ、肉をしゃぶしゃぶ。ヒラヒラの肉は、高級とは言い難いものだけど、悪くなかった。ぺろりと10枚ほどの1皿を食べ終え、すぐに次の皿を注文。野菜は薄切り大根やにんじん、キャベツや長ねぎが盛り合わせになっている。これもぽいぽい鍋の中に入れてはポン酢をつけてがつがつ食べる。ああ、"肉喰ってます"という充実感が身体中に広がってきてなんともシアワセだ。

2枚目の肉の皿も無くなったところで、"つくねも食べよう"とだんなが注文。ほどなく竹を半割にした筒につみれが詰まったものがやってきて、給仕の人が鍋にぽいぽいと放り込んでくれて去っていった。生姜や香味野菜のたっぷり練り混まれたつくねはすぐにプカリと浮かんできて、噛むとほろりと柔らかかった。んもうビールも止まらなくなり、2杯目の地ビールを流し込む。

最後はラーメン。下茹でされて胡麻油をまぶされたような麺には胡麻がふってある。だしの中でさらりと温め、スープと一緒に器に入れて塩胡椒でいただく。肉の旨味やつくねの香りが染みたスープはとても美味しくなっていた。たっぷりの胡椒をガリガリ入れてひとすすり。一旦引いた汗がまた吹き出してきて全員顔が真っ赤になっている。何だか午後8時を回ったばかりですっかりへべれけのような様相だ。

かくして、肉6皿野菜1皿ラーメン2皿を食べた私たちは店を出る。出たところのジェラート屋で、「デザートォ♪」とか言いながらココナッツジェラートを買っている私を、だんなはちょっと呆れて見ていた。
「おゆきさん……ダイエットは?」
「……忘れてないよ〜」
そう、忘れてはいないのです。考えていないだけで。

繊維たっぷりのココナッツジェラートを息子と奪い合いながら食べ、階下のDELIで好物のオレンジーナを3瓶買って帰宅する。
オレンジーナはフランスの微炭酸オレンジジュースだ。ちょっとチープな味がなんとも好みで、見つけるとついつい買いたくなってしまうのだ。1瓶130円。風呂上がりに飲むのがまた美味しいのだ〜。(←ダイエットはどうした)

9/20 (水)
フルーツグラノーラ with 牛乳

ダイエットを心がけて3日目にして昨夜"しゃぶしゃぶ食べ放題"なぞ行った挙げ句、今日の昼はだんなと待ち合わせて外食する約束なのだ。んもうダイエットの神様を足蹴にしているとしか思えない愚行を繰り返している私。足蹴どころか、鳩尾に渾身の一発、よろめいたところに回し蹴りという感じだろうか。

で、朝はちょっとだけ節制してみる。フルーツグラノーラの箱をパリパリと開け、レーズンやらリンゴやら穀物やらが盛大に混ざったシリアルに牛乳ぶっかけて食べる。

京橋 ドンピエールにて
 鴨カレー \1,500なり
 デザート盛り合わせ
 アイスティー

てなわけで、12時過ぎにだんなと京橋の明治屋で待ち合わせ。明治屋の真横を通って数十メートル入った裏通り沿いの小さなビルの1階が目指す店、"ドンピエール"だ。
カレーが旨いと聞いていた。オムライスも相当イケると聞いていた。そして先日、外出ついでにこの店に偶然たどり着き、一人で食べてきただんなは
「ハヤシライスがめっちゃめちゃ旨い!」
と涙していた。プリンも食べてきたらしい。美味しい、美味しいと言われたら行ってみたくもなってしまう。

10卓ほどしかない小さなレストランだった。3組ほどの客がのんびり御飯を食べている。
真っ赤なテーブルクロスに柄の全く違う皿が各席に置かれていた。染め付けの和皿のようなものもあれば、花柄の洋皿もある。でも何となく調和している感じ。白い布製のナプキンも用意されていて、料理の値段の高さを物語っている。フライやステーキなど洋食屋のメニューが並んでいるけど、カレーやハヤシライスはランチ用に夜の価格から300円ほどが引かれたものになっていた。

だんなはすっかり虜になったらしいハヤシライスを、私は"鴨カレー"を。鴨カレーは\1500。安いとは言えない。
薬味の入った器がやってきた。らっきょうにキュウリのピクルス、福神漬け。そして梅肉ソースのドレッシングがかかっている小さなトマトのサラダ。しかる後に、黒々としたカレーとハヤシライスがやってきた。どちらも良く良く煮込まれているようで、たっぷり入った肉がほろりと崩れている。あああ、良い感じだ。美味しそうだ。

鴨カレーと言ったら、普通のカレーの上に焼かれた鴨肉が薄切りになって飾られているものだろう、と想像していたのだけど、それは全部煮込まれているのであった。塊の鴨肉は、断面を赤く覗かせてほろほろになっている。口に入れるとほんのり甘いカレーは飲み込むとじわりと辛さが染みてくる。スパイスたっぷりの香りだけど、でもそれが馴染んで優しい味になってるのだ。これはうまひー。
で、だんなと皿を交換してハヤシライスも食してみる。真っ黒のハヤシライスはじんわりと旨味と甘味が詰まっていた。やたら上質そうな牛肉の塊は鴨カレー以上にホロホロになっていて、こってり濃厚で、やたらと奥深い味がする。何だか気軽にふらりと食べるようなもんじゃなくて、"ハヤシライス食べさせていただきますっ!ははぁ〜"とひれ伏してしまいたくなるような存在感のあるハヤシライスだった。
ああ、次は私もハヤシライス食べよう。勿論大盛りで。

で、各々カレーとハヤシライスを片づけてシアワセに溜息などついているところに、絶妙のタイミングでウェイター氏が
「食後にデザートやお飲物はいかがですか?」
と聞いてくるのだ。しかもデザートはワゴンに乗って、客席のすぐそばに置いてあるのだ。店に入るとき、平皿に乗った巨大なプリンと目が合っていた私である。そんな抗いがたい誘惑をしてくるとは、恐るべしドンピエール。
……結局ダイエットはまた上空30mほどに放り投げられて、デザートを喰うことになる。

ワゴンが楚々とテーブルのそばに寄ってきて、全部説明が入る。カスタードプリン、ティラミス、ココナッツのブラマンジェ、チーズケーキ、洋梨のタルト、くるみのタルト、洋梨のコンポート……。どれもツヤツヤしていて、そのくせ素朴な印象のお菓子だ。
私はプリンとココナッツのブラマンジェとくるみのケーキを盛り合わせに、だんなはティラミスとチーズケーキを盛り合わせに。

オーブンで蒸し焼きにされたようなプリンはきゅっと身が詰まっていて美味しかったし、クルミのタルトもサクサクでかなりイケた。そしてそして、ココナッツのブラマンジェときたら口に入れた途端にほわんと溶けるような柔らかさで、ひたすら滑らかでトロンとしている。牛乳とココナッツの濃厚な甘い匂いに、上からかけてある葡萄のソースが良い感じに似合っていた。カレーやハヤシライスが旨くて、デザートも美味しいなんて何だかずるい。これでは来る度に毎回デザートを頼まずにはいられないじゃないか。

ずるい、ずるい、とお店にしてみれば理不尽なことを呟きながら午後1時前、店を出る。
午後1時を回ったら、オムライスが注文できるらしいのだ。そのオムライスもすこぶる美味しそうだ。また来よう。

スペアリブのオーブン焼き
豆腐のサラダ
キャベツとベーコン入りトマトのスープ
御飯
モルツ、アイス烏龍茶

ちょっとダイエットを意識した夕食の献立。
ほんの3本買ってきたスペアリブは、"骨をしゃぶれば、充実感も沸くだろうし"というちょっと不穏な理由つきだ。醤油やXO醤、たっぷりのおろしにんにくに、ソースやトマトピューレや隠し味にオレンジマーマレードなどを放り込んだタレに漬けてからオーブン焼きに。

サニーレタスや玉ねぎやにんじんを合わせた中に豆腐の角切りを乗せて、これはノンオイルの胡麻ドレッシングで食べることにする。
趣向はダイエット食品のはずだったのに、こうしてみたらビールに合うおかずのような気になってきた。とほほほほ。案の定、ビールがすすんでしまうのだった。とほほほほほほ。

9/21 (木)
フレンチトースト
カリカリベーコン
アイスカフェオレ

数日前のちょっと固くなったパンでフレンチトースト。
台所のコンロ3つを大活用して焼きたてのトーストを作らんとがんばってみる。奥の小さなコンロで薄切りベーコンをじくじくと焼いてカリカリにし、手前の2つにはたっぷりのバターを落として2人分同時に焼き上げる。猫舌の息子の為には、一番最初に彼の分だけ焼いてやったみた。

卵1個に1カップほどの牛乳、大さじ1ほどの砂糖で適当に作った卵液にパンを浸してバターで焼くと、こんがりふわふわの綺麗なキツネ色になる。更にバターをつけてメープルシロップ垂らして食べるのもとっても良いけど、カリカリベーコンと交互にそのまま食べるのもまた美味しい。

そう、確か香港では2枚のフレンチトーストの間にピーナッツクリームがぎっちり詰まったもの、なんてのが喫茶店メニューにあった。刻んだピーナッツがざくざく混ざったクリームを挟んだフレンチトーストはトーストそのものがまた甘くて、何だか砂糖の塊を食べているみたいだった。何ともカロリーのありそうなトーストだったけど、あれもめっちゃめちゃ美味しかったなぁ〜。

牛肉とブロッコリーのオイスターソース炒め
ニラ入りだし巻き卵
きゅうりの浅漬け
海苔ふりかけ御飯
いぶりがっこ
 緑茶

今週2回目のお弁当。
御飯はまん中に醤油に漬けた海苔を挟んで上からふりかけをかけた"いつもの"もの。おかずはちょっと中華風。
牛肉とブロッコリーとしめじを炒めてオイスターソースとXO醤でちょっとピリ辛に味つけする。ニラを大量に刻んで卵2個で焼いた卵焼きは、だしが多めの柔らかめ。胡麻油を使って香ばしく焼いてみる。作り置きした浅漬けのきゅうりと一緒に詰めたら、3種類のおかずの出来上がりだ。御飯の隅っこには秋田の親戚が送ってくれた"いぶりがっこ"(←桜のチップで燻製にしたたくあん)をちょいと詰める。

で、マグカップに緑茶をたっぷり入れて、弁当包みの布を広げて一人昼御飯。
お弁当はやっぱりちょっと塩味が強いくらいでちょうどいい。甘辛い牛肉を食べては御飯を口に放り込み、卵焼きを一切れ食べては御飯を口に放り込みしていると、たくさん入れたはずの御飯もあっという間に無くなるのだ。

うどんの刺身 (緑あひる)
カマンベールチーズ
牛肉とブロッコリーのオイスターソース炒め(弁当の残り)
うどん"ひやひや" (金魚)
うどん"ひやひや" (緑あひる)
神亀活性にごり酒

このような食べまくり日記をつけていると、思わぬ出会いがあったりする。
「毎日美味しそうだなーと思いながら読んでおります。」
とメールをくれたKさんは、うどんマニアだった。

讃岐うどんML極東支部」やら「麺打ち会」やら、何だか様々な活動・集会が秘密裏に蠢いているのだと氏のメールから知ることができた(いや、別に秘密裏じゃないと思うけど)。讃岐を遠く離れた関東平野でも、うどん愛好家は多数いるらしいのだった。
しかも、氏のメールによると「今日は久しぶりに麺を打たなかった休日で……」なんてあるのである。毎週末にうどん打ってるのかーい!とそのメールに向かって思わずツッコミを入れる私がいたのだけれど、でもそれは本当に本当だったらしい。筋金入りのうどんマニアな氏なのであった。いやー、うちのだんなも麺好きだけど、上には上がいるものだ。

しかも、「今度、私のうどん食べてみますか?」なんて申し出をいただいてしまったりした。そして本日、本当にクール宅急便にてうどんセットが我が家に届いたのだ。「日清製粉の赤・金魚と日讃製粉の緑あひるの二種類」というその2種類の粉を使った2種類のうどんに、「混合節+昆布+味醂+鎌田醤油の淡口出汁醤油」というつけだし。全部手製の麺にだし。すばらしいー。
「通称"うどんの刺身"」なるヒラヒラした長方形の物体もまた、うどんと一緒に包まれていた。要はうどんの生地の切れ端なわけだけど、茹でて冷水で締めてワサビ醤油で喰うらしい。ビールにも日本酒にも、合うらしい。んもう、わくわくしてしまう。

……だが。
本日、だんなの帰りは遅かった。残業確実決定、という状況の中、息子と一緒にそのうどんを先に堪能させていただくことにする。

最初にビールで"うどんの刺身"を肴にしようと、それを茹で始める。弁当の残りのオイスターソース炒めも出した。ビールになら、とカマンベールチーズもちょっと切った。しかし、ビールは冷蔵庫に入ってなかった。
……がーーーーーーん。
昨日飲んだやつで、冷蔵庫のビールは最後だったのだ。黒ビールはあるけど、黒ビールに"うどんの刺身"はちと違う気がする。

日本酒は冷蔵庫に入ってはいる。だんなも私も大好物の、神亀活性にごり酒。これを"うどんの刺身"を合わせたらさぞさぞ旨かろう。
でもこれを一人で封を開けたら最後、
「おゆきさん……こんなに飲んだね?」
と帰宅後直後のだんなに叱責されるのは目に見えている。そこらじゃあんまり売っていない酒だ。大切に保存してあるやつがいきなり空いていたら、きっとだんなはがっくりきちゃうことだろう。
飲むべきか、飲まざるべきか。
しばらく冷蔵庫の瓶の前で固まった挙げ句、封を開けることにした。そもそもは私が買ってきた酒なのだ。残業終えて帰ってきただんなにも飲ませてしまえば全て落着だ。……だんなの状況は考えずに一人落着している私なのであった。

で、にごり酒を一人傾ける私。牛肉の炒めにカマンベールチーズ、茹でたての"うどんの刺身"が並んでいる。ツルンとピラピラした"うどんの刺身"にわさびをちょいとつけて醤油につける。うどんともまた違う、分厚いワンタンのようなものがツルンと喉を滑っていった。これは美味しい!
もちもちキュッキュと歯ごたえがあり、ふんわりうどんの良い香りがする。ほんのり甘味のあるにごった酒と交互に流し込むと、すぐに胃の底が良い感じに熱くなってきた。チーズはちょっと違うだろう、と思いつつつまんでいたカマンベールチーズも息子がバクバク食べる所為もあってすさまじい早さで減ってしまい、結局ダイニングテーブルにチーズナイフとカッティングボードを持ち出して切ったそばから食べることになる。日本酒にうどんの刺身にチーズに牛肉炒め、といういまいち調和があるのかないのかわからない状況の中、酒が程良く回ってだんだんご機嫌になってくる。

2合ほどのにごり酒を飲み、うどんの刺身を食べ、良い感じにほろ酔いになったところでうどんを茹でる。「"あひる"は12分、"金魚"は13分から15分」というKさんの助言に従い、2つの鍋を並べてうどんを茹でる。"あひる"が茹であがって氷で締め終えたところで丁度"金魚"が茹であがりの頃合になる。ザルに2種類のうどんを綺麗に盛り、一緒に送っていただいた薄い色のだしを片口の器に入れておく。
2つの小どんぶりに2種類のうどんを入れ、だしを注いで刻み葱を盛る。あひるはほんのり白っぽく、金魚は僅かに捻れが入っているような感じはするけど、見た目はほとんど変わりない。

どちらも喉から胃にスルスルと降りていく滑らかなうどんだった。噛むと非常な弾力があって、四角い断面の角張ったところも軟弱なところがなかった。大量生産の冷凍うどんよりは当然不揃いだったけど、でも味わいはダントツに上だった。僅かばかりコシと味の良さにおいて"金魚"が秀でているかな、という印象を持った。そこらで食べるものより余程美味しいうどんはキュッキュと良い感じに喉に流れていって、少しばかり酩酊しながらガツガツ食べるうどんは美味しかった。見た目よりは塩気のあるだしも旨味十分でひたひたに注ぐと良い感じに味がついた。

んー、思わぬキッカケで美味しいものが食べられた私はご機嫌だ。
赤い顔の私。私だけなら良いけど、目を離した隙にカルピスと間違えたかお猪口一杯のにごり酒を飲み干した息子もまた目の下を赤くしている。へべれけの母と幼児は意味無くヘラヘラと笑いながら食事を終えたのであった。

9/22 (金)
生卵入りだし醤油うどん
アイス烏龍茶

茹でてしばらく置かれたうどんは通称"うどんのゾンビ"などと呼ばれる。
昨夜、Kさんから送っていただいたうどんを、加減を間違ってちょっと多めに茹でてしまった私は、夜10時を過ぎて帰宅しただんなにその茹で置き麺を喰わせるという暴挙に出ていたのであった。"うどんの刺身"は彼にも茹でたての締めたてのものを食べさせてあげることはできたけど、うどんは正真正銘のゾンビになっていた。くたくたーっと柔らかく、ほにょほにょーと下にだらんとぶら下がった。まるで子供の離乳食だった。すまん、だんな。すまんKさん。

で、今朝はきっちり茹でてみる。タイマーをつけて13分茹でた"あひる"粉のうどんを氷水できゅきゅっと締め、だし醤油をかける。生卵も落とし、くりくりとかき混ぜて食す。そうそう、刻み葱も忘れずに。
やっぱり茹でたての麺は美しかったし美味しかった。卵の黄身でほんのり甘くかんじられる麺をちゅるちゅるとすする。

ファーストキッチンにて
 ベーコンエッグバーガー
 アイスティー

本日は 弁当なし。昨夜も今朝もうどんだったので、御飯を炊いてなかったのだ。
出先のビルのそばにあったファーストキッチンに12時過ぎに滑り込み、混み合った店内で久しぶりのベーコンエッグバーガーを食す。

ベーコンエッグバーガー、大好きなんである。マクドナルドでも"月見バーガー"の季節を実はちょっと楽しみにしている私である。ファーストキッチンと言えば、やはりベーコンエッグバーガーなのであった。
ポテトは抜きで、バーガーとアイスティーの簡単な昼御飯。デザートメニューにもちょっとぐぐっと引き寄せられたけど、ここは我慢だダイエッターせりあ。

丸い型で厚めに焼かれた目玉焼きが美味しいのである。こちらは厚いとは言えないハンバーグに、塩気たっぷりのベーコン。変哲のない味ではあるけど、久しぶりのベーコンエッグバーガーは美味しかった。
……でも、ハンバーガーっていっちょまえにカロリーだけはあるくせに、すぐお腹が空くのである。会社に戻る道すがら、チョウシ屋の前を通りかかってしまった私はコロッケパンやピーナッツバターパンからの誘惑を断ち切るのがそりゃもう大変だったのだ。

かけうどん
さつまいもの天ぷら
海老天ぷら
麦茶

ラッシ

1玉半残る、最後のKさんうどん。幸いというか何というか、だんなは飲み会ということで、サラサラと簡単な夕飯にすることにする。
「天ぷらうどんにしましょー」
と、帰り際近所の生協にてお買い物。2切れのさつまいもとか2尾くらいの海老を自分で揚げるのはちょっと面倒だと、生協の総菜コーナーを覗くことにする。80円の巨大なさつまいもの天ぷらに、150円の巨大な海老天。どちらも巨大なことは巨大だけど、衣が巨大という感じ。本体がどのへんにあるのかが良く分からない物体となっている。しかも使いまくったような質の悪い油の匂いもしてくるし、惣菜コーナー前にて私はちょっと躊躇しているのであった。自分で揚げるかなー、でも一人分揚げるのはめんどくさい〜。

しばらく悩んだ挙げ句、結局それぞれ2つずつ買って帰宅。
ヒガシマルのインスタントだし汁にて"あつあつ"うどんを作り、オーブンで温めた天ぷらをどかんと乗せる。だし汁の味がちと薄かったので、だし汁に醤油と味醂を入れて山盛り大根おろしにかけた天つゆも横に用意した。

どんぶりに溢れんばかりの天ぷらはそれはそれで圧巻だった。案の定、海老の天ぷらときたら長さは20cm中身は5cmという感じだったけど、それもまぁ仕方ない。大体、天ぷらが食べたいというよりは淡泊なうどんに揚げ玉のようなものを一緒に口に入れたかった、という気分だったから問題ない。

そしてデザートは、うどんにいまいちそぐわないけど"ラッシ"。
インド料理店やエスニックレストランのメニューに載る"ラッシ"とは、すなわち"飲むヨーグルト"みたいなものだ。飲んだことはないけど、インド本国では塩を入れてスパイスをふった甘くないものもあるらしい。……でも甘い方が美味しいよねぇ〜。と、食後にボールと泡立て器をしゃかしゃかさせてラッシを作る。

ボールにたっぷりのハチミツ。そしてレモンをたっぷり、ギュッと絞る。それを水や牛乳で適当に伸ばしてハチミツを溶かし、プレーンヨーグルトを投入。滑らかになるまで混ぜたら、更に"飲みやすい"と思われる濃度になるまで水か牛乳で薄めていく。ほんのり甘く酸味のあるこの飲み物は、辛いカレーなぞ喰った後に飲むのがめちゃめちゃ似合う。でも、なんとなく今日飲みたかったので、脈絡なくラッシを作る。

久しぶりに作ってやったラッシに息子は驚喜乱舞した。コップ一杯のラッシを「ぉお〜いっちー!」と目をきらきらさせながら5秒で一気飲みして、2杯目をいただこうと現在台所を徘徊中だ。冷蔵庫を開けては「あれぇ〜?」流し台に背伸びしては「あれぇ〜?」などと言っている。
大きなボールに作ったラッシは、現在冷蔵庫の引き出し状の野菜庫にて冷蔵中なのであった。そう簡単に息子に盗られてはかなわない。私も好物なんだから。

9/23 (土)
上野 黒船亭にて
 ステーキ丼セット

「トンカツを喰いに行かない?」
と発言するだんなに、
「……ステーキ丼の方が喰いたいな。」
と答える私。
土曜日起き抜け、午前10時前の会話とは思えない充実感溢れたやりとりだった。

上野松坂屋に未体験のマンゴプリンを売っている、という話もいただいていたこともあり、私の心は上野へ飛んでいる。晴れていれば上野動物園にでも寄って動物と戯れるもよし、丸井デパートの充実した無印良品ショップに寄ってくるもよし、上野はけっこう好きなんである。しかも黒船亭ではステーキ丼が食べられる。わくわくわく。
という次第で、私の意見が勝って皆で上野へ。しかし小雨が降る今日の天気では、上野動物園は無理そうだた。

午前11時半過ぎ、開店直後の黒船亭は既に満席近くなっていた。入り口そばの席になんとか腰かけることができ、だんなと私はステーキ丼セット、息子にはハヤシライスのハーフポーションを注文。ステーキ丼は前菜盛り合わせと和風スープ、漬物と丼がセットになって\3,300なり、だ。
洋食屋さんにはちょっと見えない、和風がかったモノトーン基調のモダンな店内。ビルの4階の店の窓にはいつも季節の花が綺麗に咲いていて良い感じだ。

ほどなく前菜盛り合わせがやってくる。大きくはないお皿にこれでもかとみっちり前菜が何種類も盛り合わせられている。優しい味のポテトサラダ、甘辛いオーロラソースの絡んだぷりぷりの海老、自家製っぽいチャーシューの切り身、マリネされた貝、テリーヌを鶏肉で巻き込んだもの、きのこのマリネ、タラコのふわっとしたテリーヌ。パセリやサラダ菜が敷かれて、なんだかとても盛りだくさんだ。どれも何というか、懐かしいような知っているような、"斬新"とは対極の優しい味がする。

前菜を片づけたところで息子のハヤシライスがやってきた。どの料理でも少食な人向けにハーフポーションを出してくれるのがこの店のまた良いところだ。ざらりとした陶器の器に牛肉ごろごろのルーが入り、上から生クリームがちろりとかかっている。ハーフにしてはたっぷりめの御飯に、薬味に漬物、らっきょう、福神漬けの大きな容器がやってくる。

息子の分を横から奪って食べたハヤシライスはこってりと甘口だった。良く煮込まれたソースから、バターの甘い匂いがふわりと漂い、生クリームの濃厚な舌触りがある。肉は後から、さっと焼いたものを混ぜたような感じだ。食べ応えのある肉の塊はとても美味しくて、だんなは
こないだのドンピエールより美味しい……。」
といたく感動している。でも私の好みは甘味の少ない肉ホロホロのドンピエール製だ。これもこれでとても美味しいけど、何というか子供が好きそうな味がする。

さて、そしてステーキ丼。ステーキ丼はやはり「超高級バター醤油御飯」であることが望ましい。肉の他に野菜は特に必要なく、味つけはただただ醤油とバターが濃厚であればそれで良いと思う。で、何度かたべてきたこの店のステーキ丼はかなりその琴線に触れるものだ。
肉汁を吸った醤油だれがたっぷり染みた御飯に、一口大に切られたステーキが1枚。白髪葱とかいわれ、青じそが刻まれて混ぜられたものが上にふわりと乗っている。

いつもは絶妙にミディアムレア状態で、中が綺麗なピンク色のステーキが乗ってくるものだったけど……今日はなんだか違っていた。肉が芯までなんか茶色い。絶妙に、どころかじっくりと火を通されてしまったようなステーキは、今日は明らかにウェルダン以上になっていた。……ショック。
そのくせ隅っこはちゃんとミディアムレアっぽくなっていたりして、何だか「本当は1枚しか一度に焼けないフライパン(か鉄板か知らないけど)で3枚同時に焼いたんですぅ」という感じが漂っていた。

肉も御飯もそれなりに美味しかったけど、全然このお店の真骨頂じゃない、って感じ。
うう、たまにはハズレも出てくるのね……。

厚揚げの網焼き
銀ダラの煮込み
にんじんときのこ入り鶏そぼろ
大根の味噌汁
御飯
神亀活性にごり酒・麦茶

上野松坂屋の
 果物屋さんのマンゴプリン

封を開けたにごり酒も残っているしー、と夕飯は"酒飲み"対応メニュー。
銀ダラを醤油と酒と味醂と砂糖で甘辛く煮て、上から山盛り白髪葱を盛ったもの。厚揚げはまん中に切り目を入れて刻み葱とおかか醤油を混ぜ合わせたものをたっぷり詰めてから網焼きに。御飯を食べるときに上からかけようと、にんじんときのこを混ぜ込んで醤油と味醂で炊いた鶏そぼろ。炊きたての御飯と、大根の味噌汁。んー、素晴らしい"日本の食卓"っぽくなった。

辛さが強く、でもほんのり甘い、ふわふわと白いにごり酒を傾けての夕食。表面をこんがりあぶられた厚揚げがなんとも美味しい。シャキシャキの葱と一緒に甘辛い魚も口に放り込んでいると、あっという間に酒も無くなってしまった。
だんなの顔も私の顔も赤いのはともかく、何故か息子の顔まで赤い。お猪口を傾ける私たちに"それそれ、なになに?"としきりに欲しがる息子に"どうせ味見させたら不味いってことがわかるし"と何度か飲ませた結果、お猪口1杯分以上飲ませてしまう結果になっていたらしい。すまん息子。へらへらと異様に楽しそうだからまぁ良しとしよう。(←よくない)

ちょっと濃いめの味になってしまった鶏そぼろをパラパラふりつつ御飯と味噌汁。やはり和食はとても美味しい。

で、デザートは上野松坂屋にて購入してきたマンゴプリン
ちょっと堅めだったけど甘いマンゴーの果肉も乗ったイカすものだった。

9/24 (日)
木村屋の
 チョココロネ
 シナモンロール
アイスカフェオレ

菓子パンにて朝御飯。
昨日、上野松坂屋の食料品売場を歩いていた私たち。"お、美味しそうなパン"と思って視線を向けると、木村屋だった。だんなも同じく足止めて店をふりかえっている。
「……チョココロネ、3つセット……。」
「あんぱん、くりーむぱん……。」
と似たようなことを呟きつつ店にそろそろと後退して戻っていった私たちは、結局5つのパンを買って帰ってきたのであった。3つ入りのチョココロネの袋にシナモンロールにウィンナーロール。

熱いモカコーヒーを煎れてグラスにたっぷり氷を入れたところに注いで一気に冷やして牛乳入れる。苦みのある濃いめのカフェオレでチョココロネを食す。
木村屋のパン生地はほんのり甘い。フランスパンなどに比べると、いかにも御飯のような味と食感だ。ふわんと柔らかいパンの中にこってりとチョコクリーム。親子3人で1つずつのチョココロネの朝御飯なんて、なんだかとてもシアワセじゃーないか。

上海エクスプレスの
 炒飯
 五目あんかけ焼きそば
 天津丼
コーンスープ
麦茶

午前10時半の朝御飯で、私の腹は午後になってもあまり空かなかった。
「おなかすいたー。」
と騒ぐのは食欲大魔人(←だんなだ)約1名。

で、中華もののデリバリー"上海エクスプレス"から3皿取って適当に家族で分けて食べることにする。炒飯とそばと丼ものだなんて、なんだか炭水化物の塊のような選択だ。
で、コーンスープは自作する。クリームコーン缶のでかいのを1つ鍋に入れ、湯を入れて顆粒の鶏がらスープをぶっこんで、塩味足して煮立ったら水溶き片栗粉と溶き卵を入れるだけの異様に簡単なスープだ。簡単だけどいっちょまえに中華コーンスープの味になる。

20分ほどでやってきた店屋物のプラスチック容器をテーブルに並べて、色気も何もないまま料理にかぶりつく。ケチャップの味ばかりがやたらと強い天津丼も、化学調味料バリバリの味がするあんかけの焼きそばも、旨いというほど旨くはない。でも、一番近所にある出前してくれる中華料理店のより安くて美味しいのだから良いのか悪いのか良くわからない。

だんな特製 牛すじねぎスパ
サンミゲールビール(黒)、麦茶

1週間ほど前から、牛すじが食べたくて食べたくて仕方なかった。でも、売っているお店はあんまりないのである。マーケットで見かけるのはいかにも冷凍くさいやつだし、デパートに行ってもいつもあるわけじゃない。
昨日、上野松坂屋の牛肉売場で出してもらったものは松坂牛の牛すじだった。あるだけ出してもらって600gしかなかったけど、100g90円で松坂の冷凍ものじゃない牛すじが買えたことに感謝しつつ帰宅した。

本日の午前中、切らしていた焼酎および万能葱などを買ってきただんなは早速仕込みを始めていた。"その料理に愛のある人がその料理を作るべし"の掟に従い、牛すじ肉料理は大概だんなが担当となっている。たっぷりの焼酎で下茹でし、アクが抜けたら味をつけてじくじくとひたすら弱火で煮ていくのだ。

火を通しまくって5時間ほど、夕飯は"牛すじねぎスパ"と相成ることになった。
醤油と砂糖で甘辛く煮付けてトロトロになった牛すじ肉を炒めたたっぷりのにんにくと合わせ、それを太めのスパゲッティと炒め合わせて皿に盛る。必要なのは山盛りの万能葱の刻みに、七味唐辛子。両方とも上からたっぷりとかけて、しかるのちに口に放り込む。傍らには香港産のSanMiguel黒ビール。甘さのある濃厚な黒ビールはやっぱり同じく甘くて濃厚なスパゲティと良く似合う。

筋肉の部分が良い具合にゼラチン状に溶けてフルフルになった牛すじは、ほんの少しケモノ臭くもあって相変わらず美味だった。他の部位に比べればあまりにも安い牛すじ肉は、なんとなく"貧乏人のお買い物"と思われているようで、すきやき肉やしゃぶしゃぶ肉と並べられることなんて滅多にない。最初は「なんだか貧乏人みたいで恥ずかしいんですが」と恐縮しながら買っていた私たちも、その美味しさにとりつかれてからは
「牛すじ、ありますかぁ?」
と胸を張って言えるようになった。100g5000円級のステーキ肉を売っている店に100g50円のすじ肉が置いてあったりして(しかもそれは同じ牛の肉だったりする)、そんなのを煮込んだ日にはめっちゃめちゃ美味しい煮込みになる。カレーもよし、味噌味で煮込んで酒の肴もよし、シチューもよし、仕込みは大変だけど(そりゃもう泣けるほどのアクが沸いてくるのさ)、そんなの払拭できるほど牛すじは美味しいのであった。